こんにちは、Jayです。


錦織選手、全仏は残念でしたねぐすん
しかし日本人選手としては82年ぶりに準々決勝に進出しましし、直前の4月のバルセロナ・オープン(全仏と同じクレーコート)では見事優勝して2連覇を達成しました!!
今日はその優勝を決めた決勝戦(対アンドゥハル)のプレーを解説します。(最初の2ポイント)

↓こちらがその試合です



1.第1ゲームの錦織選手サーブで“15-40”の場面(0:33から)
試合始まった最初のゲームでといきなりのピンチ&相手にとってはチャンス。(プロの世界では自分のサービスゲームを確保するのが勝利への欠かせません)
ですので、スコアに余裕があるアンドゥハル選手はリターンから攻めて見事錦織選手をコートの外へ追い出しオープンコートを作りました。(本来はサーブを打った人が“攻”のはずなのに良いリターンのため攻守が逆転)

なんとか相手コートに返した錦織選手でしたが、相手はさらに反対方向へ打ってネットに詰めてきました。
ここで錦織選手は最初の賭けに出ました。
“決まればニュースで観るようなスーパーショット”を打ったのですが、返されてポイント&第1ゲームを失い、試合の流れは相手に傾きました。

ここで最後に錦織選手が打ったボールの軌道をご覧ください。
コートギリギリで文句のつけようがない素晴らしいショットなのになぜ相手に取られたのでしょうか
2つほど要因があります。

一つ目:錦織選手が走りながら打つ事により打てるコースが限られた
テニスは本来“止まりながら”打てると力強いショットだけでなく、打てるコースの選択肢が広たくさんあります。
しかし錦織選手は攻められて左右に動かされたので止まって打つ事が出来ません。(止まりづらいクレーコートならなおさら)
こうなると一般的にはクロスコートへ打つよりも、ダウン・ザ・ライン(ストレート)に打つ方が入る確率は上です。
スコアの状況、クロスかストレート成功率などを考慮するとストレートは最良の選択だったと言えるでしょう。

二つ目:アンドゥハル選手がネットに詰めた後に構えた位置
「打ったら常にコートの真ん中で次のショットを待つ」と習った事あるかと思います。
とても的確なアドバイスですが、上級者になるにつれ“必ずしも真ん中ではない”事を学ばなくてはいけません。
ネットに詰めた時は“真ん中”ではなく、“少しボールを打った方へ寄る”とより相手が打てるコースが限定されます。
錦織選手が打った瞬間をご覧ください、相手は真ん中ではなく少し左に寄って待ち構えているのがわかります。

錦織選手は最大のピンチにも関わらず、そこで出来る最良のショットを打ちました。
しかし相手が構えていた位置が完璧だったために紙一重で返されてしまいました。
おそらく相手がコート真ん中で構えていたら錦織選手のポイントだったでしょう。


2.第2ゲームのアンドゥハル選手サーブで“0-40”の場面(0:53から)
最初のゲームを落として流れが相手に行ったかに見えましたが、挽回のチャンスがやってきました。

まずは二人の選手の立ち位置をご覧ください。
錦織選手はベースラインのすぐ後ろに対して、相手選手は錦織選手よりも後方にいる事がわかり、“これは錦織選手が攻めている”のを表しています。
攻めの状況を続けるには相手を左右に振らしたり(↑最初の相手のプレーのように)、深いボールを打つなどする必要があります。

守備に徹していた相手選手が“0:56”に打ったバックハンドは深く“形勢逆転だ”と思ったのか、今までよりベースラインに近づこうとするのがわかります。
しかしここで彼の誤算が生じます。
たしかに深くて良いショットを打てたのですが、錦織選手は早い段階で“深いボールが来る”と判断し、“攻→守”の切り替えが出来たのですぐに後方へ下がっていつも以上に早めに打つ準備をした結果、(スピードはありませんでしが)深くて相手が攻撃しにくいショットを打つ事が出来ました。

どんなボールが来ても臨機応変に対応出来た錦織選手とは反対に、相手は“良いショットを打つ=チャンスボールが来る→周り込んでフォアでさらに攻めよう”と想定していた事でしょう。(映像を観ての予想w)
しかし予想以上に良い(深い)ボールが返って来たので、周り込む事は出来ましたがバックスウィング(テイクバック)が大きすぎて対応できずに逆に錦織選手にチャンスボールを与えてしまいます。

その後錦織選手は2本連続でバックハンドをクロスコートに打って決めました。
でもその2本のボールの落下地点をご確認ください。
ほとんど同じ所ですよね。
1本目は相手は返せたのに、なぜ2本目は触る事が出来なかったのでしょうか

錦織選手がボールを打った時の位置をご確認ください
1本目より2本目の方がコートの外寄りで打っているのがわかります。
コートの外へ行けば行くほど角度がついたボールが打ちやすいのです。
さらに相手は1本目のボールの軌道が残像で残っていて、2本目も似たような感じだと錯覚したのでしょう。
しかし2本目は1本目以上に角度がついていたので触れずに終わりました。

このゲームを取った事により、相手に傾きかけた流れをすぐさま錦織選手は取り戻したのです。

やばい、すごく長くなりましたねえへへ…
1ポイント目も2ポイント目も攻めている側がちゃんと攻め切れた見事なポイントでした。
しかしアンドゥハル選手は錦織選手の守備能力を適正に認識出来ていなかった事と、状況判断能力が充分でなかった事がゲームを失った原因かと思われます。

私の解説はいかがでしたでしょうか?
もしご好評いただければテニスのプレー解説をたまにやっていこうかなと思います。(でも長さを考えなくては…)

錦織選手は来週はドイツで、そして今月29日からはウィンブルドン(全英オープン)に出場します。
ぜひ頑張ってもらいたいですね!!

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Have a great afternoon テニス