京都大学の山中教授がノーベル医学生理学賞を受賞されたビッグニュースはすでに皆さんご存じのとおりです。

本当にすごいですね。


教授は、研修医の頃は整形外科医を目指されていたとか。

けれど手術が得意ではなく、時間がかかったりしていたそうで、周りからは「山中」という名前ではなく

「じゃまなか」(手術の邪魔だから)と呼ばれていたとのこと。

そこで整形外科医をあきらめ、他に患者さんの役に立つこと、自分にできることは何かと考え基礎研究に集中されることを決意されたとおっしゃっていました。


その話を聞いた私は、少なからず感動しました。

ノーベル賞を受ける医師が、実は手術が苦手で別の道を選んで、その道で素晴らしい研究の成果をあげられたというところ。


じゃまなかなどと呼ばれる中で、先生は道を切り替え、患者さんのためにという目的に今までとちがうアプローチを試み、そして長い年月の地道な努力の末、IPS細胞作製という画期的な研究を成功させたのです。

全然レベルはちがうけど、私は自分のことを考えました。

苦手だから、辛いから、と現実逃避ばかりを考えている自分に、何か大切なことを教えていただいた気がしました。


華麗なメスさばきで見事にオペをして患者さんを治療する臨床医も、地道に研究を続ける研究者も、病気に苦しむ人々を助けたい、治したい、というところでは目的は同じです。

ただし、どの分野でどう力を発揮するか、その方法や場所が違うだけです。


山中教授はオペが苦手で、ならば研究という道で患者の役に立とうと思われ、努力された・・・

自分に限界をつくらなかったということですね。この道がダメだから医師になれない、患者さんの役に立たないと思うのではなく、研究を通して、しかも本当に大きな仕事をされました。

IPS細胞は様々な難病に希望の光をともすものです。すぐに実用化には至らないものの、研究が進めば今まで治すことのできなかった病気を治すことができる・・・その可能性があります。


患者さんもあきらめずにいること、そうすれば必ずこの研究が光をもたらしてくれると思います。


自分の中に眠る本当の力を目覚めさせ、世界的研究成果を得たこと、それは「じゃまなか」などと呼ばれた日々がきっかけになっています。そこで腐らずあきらめずに自分の力を発揮できる場所と目標を見出された先生の生き方は、私のような者にも勇気を与えてくれました。


何が大事か、何のために生きるのか、その道しるべを与えてもらったような気持ちになりました。

自分に自信もなく、取り繕うような日々を過ごす私にとって、山中教授のこのお話は心に光をぶつけてくれたように思いました。

誰にでも得手不得手はある、けれど本当の底力はいったい何か、その力をどう発揮するかを決してあきらめずにいること、そんな大切なことを教えていただきました。


できない自分を責める前に、自分には何ができるのかを考えること、それが大事なんだと思います。

その底に流れるものは「誰かのために」という思い。


IPS細胞はまだまだこれからとおっしゃっていましたし、これまでの研究も9失敗して1の成功を得る日々だったとおっしゃっていました。とても苦しい作業だったと。

9の失敗でも一つの成功。失敗を重ねたから得られた成功。人の生き方もこれにあてはまると思います。


少しでも早く、IPS細胞により特効薬ができたり、いろんな治療ができるように、私も祈っています。