(13)奇恒の腑 二

 

承前

 

従って、常に充実していて、空虚になる事はありません。しかし、五臓と同列に置けないと言います。奇恒とは異常ということで、形体は腑に類していますが、機能は臓に似ていて、純粋の臓とも腑とも言えない異常な器官と言う意味です。

 

脳は、頭蓋内の器官で、「脳は髄の海なり」といい、髄の総括は脳にあります。髄と脳とは本質的には同一のものと認識されます。

 

「腎は骨髄を生ず」といい、腎と関係が深いです。脳髄の正常・異常は、腎の精気の状態により変化します。脳髄の成長には、先天の精()の外に、後天の精(脾・胃)も必要です。脳・髄は体力を充実させ、全身の運動をスムーズにし、目や耳の働きを盛んにします。脳の機能が高ぶりますと、筋力が強くなり過労となり、また、働きが低下しますと、思考力が低下して、倦怠感や疲労感が強まり、耐久力がなくなってきます。更に、聴力や視力が衰え、眩暈、耳鳴り、しびれ感などが現われます。

 

「髄は骨の充なり」といい、骨の内部を満たすものが髄で、骨髄は骨を滋養します。骨は、腎に包含され、腎の病と骨の病、歯の良否とは密接な関係があります。

 

脉は、気血の運行する通り路、水穀の精微物質を全身に運ぶ管で、心は脉を主るといい、心と関係が深いです。

 

胆は肝と表裏する臓腑ですが、ここでは陰器としています。それは、胃や腸のように食物の輸送器官ではなく、他の器官に対して、適度の機能を発揮させる支配力を持っていて、常に水穀の精汁を蔵していますので、陰臓として取り扱われます。