2.五臓・六腑 二十六

テーマ:

(13)奇恒の腑 二

 

承前

 

従って、常に充実していて、空虚になる事はありません。しかし、五臓と同列に置けないと言います。奇恒とは異常ということで、形体は腑に類していますが、機能は臓に似ていて、純粋の臓とも腑とも言えない異常な器官と言う意味です。

 

脳は、頭蓋内の器官で、「脳は髄の海なり」といい、髄の総括は脳にあります。髄と脳とは本質的には同一のものと認識されます。

 

「腎は骨髄を生ず」といい、腎と関係が深いです。脳髄の正常・異常は、腎の精気の状態により変化します。脳髄の成長には、先天の精()の外に、後天の精(脾・胃)も必要です。脳・髄は体力を充実させ、全身の運動をスムーズにし、目や耳の働きを盛んにします。脳の機能が高ぶりますと、筋力が強くなり過労となり、また、働きが低下しますと、思考力が低下して、倦怠感や疲労感が強まり、耐久力がなくなってきます。更に、聴力や視力が衰え、眩暈、耳鳴り、しびれ感などが現われます。

 

「髄は骨の充なり」といい、骨の内部を満たすものが髄で、骨髄は骨を滋養します。骨は、腎に包含され、腎の病と骨の病、歯の良否とは密接な関係があります。

 

脉は、気血の運行する通り路、水穀の精微物質を全身に運ぶ管で、心は脉を主るといい、心と関係が深いです。

 

胆は肝と表裏する臓腑ですが、ここでは陰器としています。それは、胃や腸のように食物の輸送器官ではなく、他の器官に対して、適度の機能を発揮させる支配力を持っていて、常に水穀の精汁を蔵していますので、陰臓として取り扱われます。

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2.五臓・六腑 二十五

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(12)三焦 三

 

承前

 

諸臓器の機能の総称とも、発生する熱源とも解されます。故に「名のみありて形なし」と言われる所以です。三焦の臓腑の外衛であり、心包は心の外衛で、両者は表裏関係にあります。例えば、神経を使うと、胃部が痛んだり、興奮しますと、心部がドキドキするのは、それぞれ三焦。心包の関係と考えます。

 

温病弁証では、上焦証は邪が肺に入り外感熱病の初期で、中焦証は邪が胃・脾に入り外感熱病の中期に属し、下焦証は病邪が肝・腎に入り外感熱病の晩期に属します。

 

三焦の兪は第一腰椎の傍にあります。

 

三焦については、内分泌系臓器の総称、網膜説、リンパ系統説、体液平衡調節系統説などがありますが、要するに五臓六腑は、この三焦により連係させられて、一つの有機的なバランスの取れた、正常な生命現象を営んでいます。

 

現代医学的には、胸膜、腹膜(臓腑の外営となす)とか、消化管、膵臓、乳糜糟、乳糜管(水穀の通路)とも解釈できます。

 

上焦の虚寒:精神不安、呼吸困難、声が出ない、喘満。

上焦の実熱:胸隔悶、額に汗、舌乾、喘満。

中焦の虚寒:腹痛、腸鳴、下痢、腹満喜按、水飲留滞。

中焦の実熱:腹満膨脹、吐せず、下痢せず、喘急、水飲留滞。

下焦の虚寒:下痢、小便清長、遺尿体腫。

下焦の実熱:大小便不通または下痢膿血などの症状を呈します。

 

(13)奇恒の腑

 

奇恒の腑とは、脳、髄、骨、脉、胆、女子胞(子宮)の六つを言い、『素問』の「五臓別論篇」では、以上の六つは地の気(陰食物の精)を受けて発生し、陰の精気を貯えて同化したもので、その点大地に似ています。

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2.五臓・六腑 二十四

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(12)三焦 二

 

承前

 

三焦は『闕●「さんずいに讀のつくり」の官、水道出ず』といい、決は血を切り拓ていて水を導き流す事、●「さんずいに讀のつくり」は濁った水を流す溝(みぞ)の事です。

 

また、上焦は露の如く(蒸気様に気化する事)、中焦は●「さんずいに區」の如く(水に浸し付ける事)、下焦は●「さんずいに讀のつくり」の如しと言われます。即ち①気血・津液をよく巡らせる作用、②水穀の証作用、③水道を通調する機能があります。

 

上焦とは、横隔膜から上の舌下から胃の上口までの心・肺を含み、天地の気を取り込み、呼吸により全身に巡らせ、中焦から送られた営血を全身に巡らせ皮膚を潤します。上焦に異常が生ずると気の運行に障害が現われて、肌肉に暖かみがなくなり、汗口の開閉が悪くなって、悪寒戦慄や発熱などの症状が起こります。

 

中焦は、横隔膜から臍の間、胃の上口から下口間で、脾、胃を含み消化吸収を行います。中焦に機能異常が生ずると、消化不良が起こり、気血の生成が低下します。

 

下焦は、臍から肛門、尿道までで、肝・腎・大腸・小腸・膀胱を含み、消化した糟の固形物と水分を分け、排泄し、その間に衛を生じ、全身の防御作用をします。下焦の疾患が生じますと、尿閉・夜間尿などが現われます。

 

即ち、三焦は、陰食物を消化し、それを気血と化して気血津液となして全身を栄養し、不用な物質は大・小便として排泄させる総合的な機能、働きを指し、また、火が燃えて出来るエネルギー源を意味し、身体の種々の生命活動のエネルギーを供給する働きを持ちます。

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2.五臓・六腑 二十三

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(10)膀胱 二

 

承前

 

「膀胱寒証」は、尿白く頻数、あくびを起こし、「膀胱熱症」は、排尿時疼痛し排尿し難い。「膀胱虚証」は、尿意尿量ともに多く遺尿します。膀胱虚寒証は、小便不利あるいは遺尿し、浮種、小便の色は清澄です。「膀胱実証」は、尿閉し、少腹腫痛します。膀胱実熱症は、小便普通、発熱下腹部の張満痛、尿の色は、赤濁し膿血を見ます。

 

(11)心包

 

心包の心包絡、心主、●「にくづきに亶」中ともよばれ、心を包む膜で、心と肺を連ねています。

 

●「にくづきに亶」中は「臣使の官、喜楽出ず」といわれます。臣使の官とは、任務を帯びて使いを出す器官で、喜楽出ずとは、精神的な感情を代行して現わすことで、心包は苦君主である心(君火)の代行器官として、宰相(相火)の働きをします。外邪が心を侵犯する時、まず、心包が替わって病気になると考えられ、臨床上は非洋の機能に含まれると見られます。患者が意識不明、譫言(うわごと)を言うような場合、これを「熱入心包」と言います。

 

心包の兪穴は闕陰兪と言い、第4胸椎に付きます。心の病の時、心経とともに心包経もよく用いられます。

 

現代医学的には、心嚢とも心嚢胸膜とも心筋とも考えられます。

 

心包は、五臓六腑というときには一臓とは看做さず除外されています。

 

(12)三焦

 

三焦とは「名のみありて形なし(『難経三十八難』)」といわれ、焦とはこげ焼く、燃える事で、三焦とは「上焦」、「中焦」、「下焦」、の三つのことです。

2.五臓・六腑 二十二

テーマ:

()腎 五

 

承前

 

腎陽虚症は、遺精、早漏、インポテンツ、腰膝力が入らぬ、腰冷え、眩暈、耳鳴り、明け方の下痢、腹部脹満、足冷え、顔色黒ずみ、消極的で精神萎縮し、脉沈遅虚、舌色黒潤、舌質淡、時に歯痕あり。「腎実証」は、奔豚(腎積のことで、下腹部より起こり、上がって喉を衝き、発すれば死せんと欲して復環り止むとある)、腰背強急(ひきつけ)を起こします。

 

(10)膀胱 一

 

膀胱は、重さ9両2朱、高さ9寸、下口のみある袋で、第2仙椎に付きます。それで、膀胱兪穴は、第2仙椎の外方にあります。膀胱の上際は、臍下一寸の陰交穴のあたりです。

 

膀胱は、「州都の官、津液を藏す、気化するときはよく出ず」といい、州都とは、周りを取り囲んで水を集めるところで、即ち漏れてきた体液(小腸の下口、水分穴の処で分離された水分が、膀胱の上に注ぎ、膀胱にしみ込む)が、腎陽の作用により、不用な水分を尿として排泄する機能で、即ち、貯蔵排泄する作用で、尿道が膀胱の下に口を開き、その押しつぶされた口から尿が出て来るので、現代医学の腎と膀胱を繋ぐ尿管を認めず、そのため膀胱を尿生成器官と看做したと思われます。

 

体が、必要とする体液には、一定の限度があり、飲んだ水分の余りと、血中に入った水分が水分代謝により、三焦の水道を経て膀胱におくられます。小便が多過ぎれば、胎内津液は減少し、多汗、吐瀉などで津液が減少すれば、小便は、減少します。

 

腎は膀胱に合すといい、表裏関係にあり、腎気が充足すれば、膀胱はよく機能し、不足すれば、機能低下して、尿の停滞、尿の失禁、頻尿などの症状が起きます。

2.五臓・六腑 二十一

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()腎 四

 

承前

 

「腎は二陰に開竅す」といいます。二陰とは、前陰(生殖器、排尿)と後陰(肛門部)の事で、生殖や便・尿の排泄に関係します。尿の貯蔵、排泄は、膀胱が行いますが、その原動力は主に腎陽によります。腎陽不足は小便失禁などを起こします。津液不足により便秘になりますが、大便排泄は主に脾、大腸であり、その原動力は腎陽によります。

 

「腎は耳を開孔する」といい、聴覚は腎と関係が深く、難聴、耳鳴りは腎気の衰えによります。しかし、難聴の多くは肝も関係します。

 

腎は気を納めます。「納気」とは、吸う息を意味します。呼吸は肺が主りますが、吸入された気は腎に納められます。故に、老人の慢性気管支炎・肺結核などは、腎虚を伴うので、肺気虚とともに腎虚症の治療を行うといいです。

 

腎の精神作用は、志が宿ると言います。

 

腎を現代医学的に見ますと、副腎や性腺からの性ホルモン、脳下垂体からの生長ホルモン、カルシウムを始めとする電解質代謝の調節、腎臓、膀胱の尿排泄、聴神経の作用などが、腎の機能と関係するように考えられています。

 

素質としては「腎実証」は顔色浅黒く痩せ型、冷えやすく疲れやすく、体が弱く、理知的です。

 

臓腑病証では、「腎寒証」は鶏鳴泄瀉、足冷え、寒さを嫌います。「腎熱症」は、尿しぶり、血尿、便秘、歯齦から痛み失く出血。「腎虚症」は、耳鳴り、難聴、盗汗、夜間発熱、遺精、腰痛。腎陰虚症は、遺精、早漏、腰膝痛で力が入らない、耳聾、耳鳴り、眩暈、咽乾、目がかすむ、虚弱、痩せ、健忘、不眠、咳嗽、咳血、夜熱、盗汗、脉虚細数、舌質紅で苔は少。

2.五臓・六腑 二十

テーマ:

()腎 三

 

承前

 

骨が変形してもろくなり骨折しやすくなり、骨折しても治りにくくなります。老人の変形性関節症、骨粗鬆症などを来します。現代医学の腎臓にもビタミンDを活性化し、骨のカルシウム量を正常化させる働きがあります。

 

腎は「骨髄を主る」。髄は骨を養っています。腎精が充分であれば、髄もも充満され、骨格も堅実です。髄に関係して、再生不良性貧血などに補腎するのもよいです。現代医学における腎臓も、骨髄に作用して造血させる働きがあります。

 

腎は、脳に通じます。脳は髄の溜といわれるのは、当然ですが、脳、髄、骨の奇恒の腑として、別に取り扱われます。腎の機能が衰えますと、思考力が鈍り、健忘、眩暈などが起こり、精神活動の心の他に腎も関与しています。

 

歯は骨の余といわれますので、歯の成長、堅実かどうかも腎が作用します。虫歯の多い子供に補腎をすると、よい結果になる事があります。

 

腎の華は、髪にあると言い、髪の光沢、色に関係し、腎虚すると髪が脱けたり白髪となります。

 

腎は水を司ります。腎は全身の水液代謝を管理し、膀胱から尿を出すのは、腎の気化作用で、尿を排出したり貯めたり命令するのは腎の働きで、腎水と命門の火が不足しますと、便秘や尿量の減少を生じ、浮腫、下痢、尿失禁、早漏、遺精などが起こり、腎水が少なくなり、腎に存在する命門の火が燃え上がると、顔のほてりや、のぼせ、夜間口渇などの症状が現われます。所謂老人の冷え、のぼせもこの一種です。腎陽の不足は、水分排泄が不十分となり浮腫が起こり、腎陰が不足しますと、排泄の方が多くなって多尿となります。また、腎虚で、年を取ると、津液が不足して皮膚がカサカサとなり、口乾を訴えます。しかし、人体の水分代謝は、腎の外に脾、肺、三焦も関係が深いです。

2.五臓・六腑 二十

テーマ:

()腎 二

 

承前

 

腎は「作強の官、伎巧出ず」(『素問』「霊蘭秘典論篇」)といわれ、作強の官とは、生体を充実させ、外界からの侵害を防御する働きで、伎巧出ずとは各器官にそれぞれの能力を全うさせる作用のことです。

 

左腎は、陰で水に属し、このように各臓に気力を与える作用があります。腎虚になると全身的疲労倦怠感、下半身の倦怠感、物に躓きやすい等となります。

 

現代の中医学では、腎陽は各臓器の生理活動を推し進める作用があり、また、腎陰とは人体の各臓器に滋養作用をする物質、人体の生殖、成長、発育を促し、人体を構成する精、血、津液などの基礎物質を指しています。

 

二つは狭義の精で、右腎の作用で命門という(命門とは生命の根本であり、腎はその陽で火を主る。命門については、両腎の間とか、両腎の上部などいろいろ言われますが、命門と腎は同一体と考えた方がよいと思われます。経穴の命門穴は、第2腰椎下で両腎兪穴の間にあります)。人類が繁殖する根本、男女交接の精で、先天的な腎気が後天的な五臓の精と結合して生成されます。その生成、貯蔵、輸送は腎が管理します。腎に病変があると、遺精、早漏、性欲減退などの症状が現われます。

 

また、腎陰が不足しますと、肝陰不足となり、頭暈、眩暈を現わし、心陰不足を来し、火煩失眠を現わします。更に、肺陰不足により、咳血、盗汗、空咳などを現わします。

 

腎は「骨を司る」。骨の成長、発育、修復は、腎の精気の働きによります。それで腎気が不足しますと腰がだるくなり、骨が痛み、四肢に力が入らなくなります。

2.五臓・六腑 十九

テーマ:

()大腸 二

 

承前

 

大腸寒症は、手足寒冷、腹痛、腸鳴、下痢、小便清長、脉は沈遅、舌苔白く滑。

 

大腸熱症は、口渇、脣焦躁、腹満、臍周囲痛、大便硬結または下痢、肛門腫痛、灼熱感、便溏腐臭、小便短赤、脉は数、舌苔黄燥、臓毒(内傷が長引いて起こる便血、肛門腫硬し疼痛し出血する事)または痔、便血。

 

大腸虚症は、脱肛、四肢闕冷、腹部軟弱、長期下痢または便秘、脉微細、舌滑で少し苔を生ず。

 

大腸虚寒症は、腹痛、腹鳴、腹脹、温め圧迫すると楽になります。便秘または下痢、手足の冷え、脉沈遅、舌苔白。

 

大腸実証は、寒熱、自汗、腹痛、拒按、裏急後重、大便不通あるいは膿血下ります。できものができやすい。脉沈実あるいは数滑、舌苔は乾黄滑。

 

大腸実熱症は、口乾、腹脹、圧迫すると痛みを増す。便秘、下痢は臭くすっきりしません。脉数実、舌黄燥。

 

()腎 一

 

腎は重さ1斤1両、黒紫色で石の玉の形をして、胃の下の両側に一つづつあり、第2腰椎に付着します。「精を出す」といいます。それで腎兪穴は第2腰椎下の外方にあります。

腎は「清を蔵す」と言います。精とは人体の成長、発育、生殖及びその他の臓腑の正常な生理的活動を維持するエネルギーで、腎はこのエネルギーの貯蔵所です。即ち、精には五臓六腑の精と生殖方面の精とがあります。

 

一つは広義の精で、諸器官の機能を発揮させるために気力を与える作用で、栄養を各器官の需要に応じて配分し、五臓の生理活動を全うさせ、全身に精力を賦与し、粘り強さや根気を生み出します。

2. 五臓・六腑 十八

テーマ:

()大腸 一

 

大腸の重さ2斤12両、長さ2丈1尺、周囲4寸、闌門に始まり十六曲がりして肛門に終わります。

 

現代医学の小腸の途中から大腸ということになります。即ち、現代の小腸の下部と大腸を合して大腸と称します。大腸は第4腰椎に付きます。故に、第4腰椎下の外方に大腸兪穴があります。

 

大腸は、「伝導の官、変化出ず」といわれ、伝導とは輸送する事で、変化出ずとは飲食物のカスが糞便に変わって排泄される事で、大腸は飲食物の糟を象徴から受け、大便として排泄させる働きです。大腸の機能異常は、大便の閉結、裏急後重を伴う下剤などとして現れます。

 

肺は大腸に合すといわれ、肺と大腸は表裏関係にあり、肺気が上手くいかない時は、便秘症となります。この場合、下剤だけでよくならず、肺を同時に治療すると便通がよくなります。また、逆に大便が秘結すると、肺気がのぼらず、喘満症(呼吸促白が激しく、気が逆上して下らず、壅(よう)阻して満をなす)を起こします。この場合も、同様に大便を通じさせると、喘満症も治ります。

 

大腸と小腸の関係は、小腸は食物を消化し清濁を区分する器官であり、大腸は、カスを変化させ送り出す作用で、少便の多い人は、大便が乾燥し、大便が柔らかいと小便は少ない。それで、下痢患者に小便を利する薬物を用いるとよい場合が多いです。

 

脾胃または中焦で、消化吸収されずに残ったものから、濁った気が大腸あるいは下焦から吸収されて、衛気を生じます。