小矢部市レポ。
前から行きたかった畑醸造をたずねました。
昭和4年創業の醤油醸造。
北陸の最も寒く、水のきれいな
1月~3月にのみ仕込みを行う
「極寒仕込み」が信条。
「醤油と一口に言っても、甘さも辛さもいろいろ。
漁師町では、甘口の刺身醤油が好まれます。
これは漁では海の潮風で甘さが欲しくなるのと、
海上ですぐ調理ができるように砂糖が入っているためです」と
畑社長。
反対に、山では塩辛いものが好まれる傾向があるとか。
これは、山の作業で汗をかいて塩分が欲しくなるからとのこと。
ちなみに畑醸造の「北陸」は、山の醤油。
お話を聞いたあと、醸造内を案内してもらう。
(麹むろの雑菌をキレイにするため、
今年の冬は仕込みをお休みしているそうです)
さて、畑醸造で使用するのは、地元富山県産大豆と国産小麦。
沖縄県産の塩です。
蒸した県産大豆を小麦を合わせ、麹菌につける。
昔ながらの「麹蓋(こうじぶた)」に入れて、
レンガ作りの麹むろへ入れます。
仕込みの時期、三日三晩、2時間おきに行う「手入れ」では、
4つの天窓を開けたり閉めたりしながら、
麹菌にとって最適な温度を保ちます。
三日後、麹むろから出し、
もろみ蔵へ。
そこから2年の時間をかけて天然熟成させます。
熟成された麹。
ふた夏を過ぎた頃、ろ過して、ようやく瓶詰め。
出来上がりまで3年。
気の遠くなるような時間。
時が育てるおいしさとは、このこと。
「北陸」のラベルを見て、驚いた。
大豆と、小麦と、食塩。
当たり前だけど、醤油って材料がこんなにシンプルなんだ。
この当たり前の作り方で時間をかけて
作っているところは国内でも
少なくなってきているそうだ。
500ml 724円
けっして安くはない。
でも、選ばれている味。
スピード化、価格の安いものが売れる時代において、
今も守り続ける理由はなんだろう。
畑さんに聞いてみる。
「手をかけてでも原材料費を度外視してでも、
美味しい醤油を
安心して味わってほしいから」
この思いだけなんだそうです。
「北陸」を一口、味わう。
人の手からしか作り出せない、味の奥ゆき。
時間を経たものしか出せない、まろやかさ。
造り手の想いが、まっすぐ届いた気がしました。
見学もできるので、小矢部に来た際は
ぜひお立ち寄りください。
畑醸造株式会社工場内
蔵元「宗珍」
営業時間/9:00~16:00
小矢部市浅地800番地
土・日も営業しています
0766-61-2111