超高級誌『人民の敵』創刊号〜第17号、傑作コンテンツ10 | 我々少数派

超高級誌『人民の敵』創刊号〜第17号、傑作コンテンツ10

 ※検索サイト等からいきなりこのブログにアクセスした方へ。ここには「我々団」もしくは「外山恒一」に関する詳しい情報はありません。公式サイトへ移動してください。
 外山恒一の活動に資金協力を! 協力者向けに活動報告誌『人民の敵』を毎月発行しています。詳しくはコチラ


 『人民の敵』、毎月メチャクチャ苦労して作り、しかもかなりのハイレベルをずっと維持しているのに、ちっとも読者が増えず努力と才能が報われない。アホ呼ばわりされたくない諸君は、つべこべ云わずに購読しなさい。
 http://www.warewaredan.com/jinteki.html


 今回は、販促活動も兼ねて、既刊17冊から、我ながらこのコンテンツはすごい! と自画自賛せざるを得ないベスト10を掲載順に紹介する。
 バックナンバーの注文も受け付けているが、上記リンク先にもあるとおり、第14号までは「1冊5000円」、第15号以降は「同一号5冊セット5000円」(つまり余った4冊を周囲に転売して自己負担額を減らせる)であることに注意。

 では発表。
 創刊号・〈対談〉 with スガ秀実
 創刊号はとにかく豪華な布陣なのである。4コンテンツのうち3つがそれぞれ、笠井潔氏、スガ秀実氏、千坂恭二氏との対談ときたもんだ。ほとんど現代日本の最高の知性3人と云っていい。もちろん全部濃厚すぎる内容だが、とくにスガ氏が、モノを知らない私に分かりやすくレクチャーしてくれた現代中国論が圧巻。

 第2号・〈対談〉 with 藤村修
 03年の獄中ファシズム転向以来、右翼方面の友人知人は当然やたら増えたが、藤村氏は“異端的極左活動家”時代からのたった2人の“右翼の友人”の1人(もう1人は大石規雄氏)。しかもその当時から“同世代で最も話(現状分析とか)の合う”友人である。その藤村氏がここ数年、AKB嫌いをこじらせた結果として非AKB的ないくつかのアイドル・グループにハマりまくるという由々しき事態に陥っている。が、さすが藤村氏のアイドル論、めちゃくちゃ面白いのである。新自由主義批判と結びついた特異なアイドル論、必読。

 第3号・〈座談会〉 with 山本桜子&東野大地
 我が「九州ファシスト党〈我々団〉」が擁する優秀な芸術活動家2名との鼎談である。2人は近年とみに猖獗をきわめる“アートで街おこし”的な行政タイアップ・アートに我慢ならないらしく、あちこちで批判的介入を試みている。それらがなぜ、どうイケナイのか詳しく語ってもらった“現代アート徹底批判”。同テーマ・同メンツで第11号にも続編的な鼎談がある。

 第4号・〈対談〉 with 千坂恭二
 “アナキズムの延長としてのファシズム”論の大先輩である千坂氏には、創刊号・この第4号・第8号・第12号・第15号とすでに5回も誌面に登場いただいている。どれも無類に面白いが、中でもこの第4号での“アナキズム思想&運動史”レクチャーはすさまじい。左派インテリ界に流通している常識的・教科書的なアナキズム史を「クロポトキンが捏造したものにすぎない」と一刀両断、“真のアナキズム史”の概略が語られて目からウロコである。ちなみに第8号では今度は“ファシズム史”篇のレクチャーがおこなわれている。

 第5号・〈対談〉 with 宮川敬一
 外山が“九州で出会った唯一面白い現代美術家”と評するのがこの宮川氏である。その来歴・活動史を根掘り葉掘り訊いてみると、次々に飛び出す珍エピソードの数々。とくにオウム事件の、すなわち日本社会の急速な監視社会化・警察国家化が始まった年である95年、小倉の街でひっそりとしかし大々的に展開された「パラサイト・プロジェクト」は、外山がそれについて聞き知った97年、もしすでに「外山恒一賞」が存在していれば受賞間違いナシの革命的芸術実践である。

 第7号・〈対談〉 with スガ秀実
 創刊号・第4号に続いて3度目のスガ氏登場、さっすが日本で最も世界に通用する知識人だけあって、外山の知らない重要知識が毎回レクチャーされて有意義である。この対談では、スガ氏が最近気づいて目下研究中という柳田国男に関する新発見について、惜しげもなく語ってもらえている。『人民の敵』を読まない者には知的向上心がない、とこのコンテンツの存在1つで断言しうる

 第9号・〈発掘インタビュー〉 with 沢村真司
 ワケあって仮名で登場(『青いムーブメント』その他の一般流通書籍では、史料性に鑑みて実名表記)の、外山の反管理教育運動時代の最重要の同志への、93年時点での貴重なインタビュー。“学校と闘うための同世代の仲間”を求めて中学生時代から全国各地を飛び回るパワフルさには外山も脱帽。志向性の近い仲間をはるかに容易に見いだしうるはずのネット社会が成立して、むしろ逆にこういう“行動の人”が出てこなくなった。

 第10号・〈発掘インタビュー〉 with 見津毅および〈発掘インタビュー〉 with 太田リョウ
 とくに88年から91年にかけて急進的な若い左翼の重心をなした「反天皇制全国個人共闘〈秋の嵐〉」の、それぞれ95年と03年に若くして世を去った2人の中心人物に、やはり93年時点でその体験を聞き取っておいた貴重すぎるインタビューを併載したこの第10号は、大げさでなくまさに現代史の一級史料である。ここ最近、野間易通氏をはじめ幾人もの活動家がそれぞれの視点での“運動史”を発表し始め、それはそれで有意義だし必要なことではあるものの、はっきり云って〈秋の嵐〉を知らない者に80年代以降の運動史を語る資格はない。なお第3号にも、同じ93年にやはり〈秋の嵐〉の中心的活動家の1人だった佐藤悟志氏にその体験を聞いたインタビューを掲載。

 第11号・〈対談〉 with 菅野完
 通称“ノイホイさん”、右翼の立場からの反原発言説で著名なツイッター論客の1人となり、noiehoie名義で『保守の本分』(扶桑社新書)を上梓し、反・在特会の排外主義批判の運動にも積極的に関わり、現在は安倍内閣を強力に支える草の根右翼団体「日本会議」への批判的ルポのウェブ連載が好評の菅野氏である。同連載の取材のため九州を訪れた菅野氏に、日本会議に関するこれまでの取材&研究成果を、まだ連載では書いていない、もしかしたら書けないかもしれない内容まで含めて語ってもらった。

 第16号・〈インタビュー〉 with 有川理
 熊本県がバブル期に片田舎につい建ててしまった巨大な前衛建築(の大量にあるうちの1つ)、通称“海のピラミッド”を、07年から11年にかけて、ゲバラやマルコムXやレーニンその他の肖像が掲げられる面妖でかつ西日本最大級のクラブとして“占拠”していた首謀者による、諸外国の事例をあれこれ云うことしか能がない日本の学者どもがまず知らない、こんなところに存在した日本国内の“スクウォット”闘争についての貴重な証言。

 とまあ、こんなところか。初期の号に掲載したものが多くなったが、もちろん最近のコンテンツの水準が下がっているわけではない。第13号および第14号の“88年の反原発運動”に関する当事者の証言も、世の中のことを少しでもマジメに考えたい者には必読ものだし、全体的に、第9号の「劇団どくんご」の詳細な来歴インタビューや、第8号の“宮崎くんだりでメゲずに頑張ってる人たち”プチ特集など、上に挙げた諸コンテンツと甲乙つけがたい名企画は他にいくつもある。また私の書き下ろし原稿、現在のところ第3号に「序章」、第16号に「第一章」を掲載した、70年代以降の日本の青年運動の通史「全共闘以後」も、読んでいない者はアホ同然と断言しうる必読文献である。
 まあとりあえず上に挙げたあたりから、騙されたと思って5000円払って読んで衝撃を受けなさい。