特報 大分県教員採用汚職事件を追う 01  | 堺 だいすき ブログ(blog)

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前代未聞の教育の腐敗・・。

大分県の教員採用汚職事件に端を発した教育委員会の問題・・。

底なしの実態・・・。


一体どうなるんだろうか・・・。


事実経過を追いながら・・。全体を見ていきたい・・。


以下毎日新聞より引用


教員採用汚職:教育の根幹にかかわる トップ陳謝/佐伯市「なぜ」/家宅捜索 /大分

 教員採用を巡って小学校校長ら幹部教職員同士が謝礼を受け渡したとされる贈収賄事件は、「教育行政の根幹にかかわる」(小矢文則・県教育長)と県教育界に衝撃を与えた。逮捕から一夜明けた15日、容疑者2人が管内で勤務する佐伯市教委などは、対応に追われた。一方、県警は同日、県教委や容疑者の自宅を家宅捜索した。【古田健治、祝部幹雄、小畑英介、深津誠】


 逮捕されたのは、収賄側が県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)。贈賄側が佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美(52)▽県教委義務教育課参事、矢野哲郎(52)▽妻で佐伯市立重岡小学校教頭、かおる(50)の3容疑者。

 逮捕直後の15日未明、県教委は会見。小矢・県教育長は「容疑が事実であれば、痛恨の極み。事実関係を明らかにした上で厳正に対処する」と謝罪した。


 佐伯市教委は15日早朝から、関係者と協議。午前11時から記者会見した武田隆博教育長は「市民や子ども、保護者に不安を与え、申し訳ない。深くおわび申し上げたい」と陳謝した。一方で「採用試験は公正にされているものと思っていた」と話した。


 武田教育長らによると、浅利容疑者はまじめで、積極的に学校運営を行う熱心な校長。哲郎容疑者も昨年度まで同市立大島小・中学校の校長を務め、小中一貫校として子どもたちに素晴らしい成果が出るよう、いろいろアイデアを出していたという。武田教育長は「『何でこんなことを』という思いとともに、『なぜあの校長たちが』との思いだ」と肩を落とした。


 蒲江小と重岡小では臨時職員会議とPTA役員会を開き、事実関係や今後の対応について説明した。また、市内の臨時校長会を開き、対応に追われている2校を除く校長44人が出席。学校ごとに服務研修を行う▽児童生徒に対して事件を説明する集会を開く▽7月まで学校主催の宴席は自粛する--の3点を決めた。

  ◇   ◇

 県警は捜査員約50人態勢で県教委や4容疑者の自宅、勤務先など十数カ所を家宅捜索、職員採用関係の書類などを押収した。

 県教委には午前、捜査員約20人が入り、別府市内の江藤容疑者の自宅にも十数人で家宅捜索。現場は丘陵地帯にある高級住宅地。近所の人の話では江藤容疑者は両親や妻、子どもらと同居している。近所の人は「たまに道で出会うと、やさしくあいさつしてくれるいい人だった」と話していた。

 また、佐伯市内の浅利容疑者宅の近所の人の話では、浅利容疑者は教育者らしく子どもの教育に熱心で、今春から教員に採用された長男と長女もまじめでしっかりした性格という。

 ◇困惑と不安の声--重岡小、蒲江小で説明会

 重岡小と蒲江小では、午後7時ごろから、非公開で父母を対象とした事件の説明会が開かれた。始まる前、重岡小の山城豊校長は「新聞以上のことは分からないが、その範囲で説明するしかない」と困惑した表情。また、教頭の矢野かおる容疑者について、「教頭は頭がよくて、細かいところもしっかりやる信頼感のある人。教職員は驚いている」と話した。

 蒲江小の岡田真幸教頭と井川雄三・PTA会長によると、同小の集会は約30分間で約60人が出席。父母から「どのように子どもに伝えていけばよいのか分からない」などの不安の声が上がったが、「本当のことを伝えていこう」という結論になったという。

 一方、重岡小の説明会には父母約50人が出席。山城校長によると、父母らに「子どもから質問された時は、『教頭先生は社会的な決まりを破った疑いで取り調べを受けている』と説明してください」と伝えたという。【古田健治、深津誠】

毎日新聞 2008年6月16日 地方版

大分県教委の教員採用汚職:わいろ計400万円 金券と現金、2度に分け

 大分県教委の教員採用試験を巡る汚職事件で、佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)ら=贈賄容疑で逮捕=が、県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で逮捕=にわいろとして贈ったのは、金券100万円と現金300万円だったことが分かった。試験1次合格者発表直前に金券を、最終合格者発表直前に現金をそれぞれ渡していた。授受と各発表との時期が極めて近接していることから、県警は便宜供与を裏付けるものとみている。


 調べによると、昨年の教員採用試験は1次試験が7月21、22日に筆記試験やグループ面接などで、合格発表は8月17日。2次試験は9月上旬から下旬にかけてあり、10月9日が最終合格者発表だった。江藤容疑者は当時、同義務教育課人事班課長補佐で、試験を受けた浅利容疑者の長男(25)と長女(22)の面接官でなかったものの、試験・採用全般を総括する責任者だった。


 浅利容疑者は調べに対し「長男と長女を通らせたかった」などと供述。自分の子供を合格させようと、江藤容疑者と親しかったとみられる県教委義務教育課参事の矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で逮捕=に相談し、別府市内で江藤容疑者に金券と現金を渡した。


 一方、浅利容疑者ら3人は現金などの授受を認めており、うち江藤容疑者は謝礼の趣旨として受け取ったなどと供述しているという。現金と金券は浅利容疑者が用意し、受け渡しの際は矢野夫妻が同席したが、矢野容疑者の妻で佐伯市立重岡小学校教頭、矢野かおる容疑者(50)=同=は「ただ同席しただけ」などと一部否認している。【金秀蓮】

毎日新聞 2008年6月17日 西部朝刊

教員採用汚職:「合格ライン動かせた」と江藤容疑者が供述/便宜供与の具体的内容を追及/大分県警

 大分県の教員採用を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、県警の調べに「(自分の権限で)1次試験のボーダーラインを動かすことはできた」などと供述していることが分かった。江藤容疑者は、小学校長の浅利幾美容疑者(52)=贈賄容疑で逮捕=から計400万円のわいろを受け取ったとされ、県警は便宜供与の具体的内容について江藤容疑者を追及している。


 県教委によると、昨年の小学校教員採用試験は7~9月に1、2次試験があり472人が受験した。1次は筆記や面接(グループ討論)などがあり、117人が通過。2次では模擬授業、面接などが課され、最終的に41人が合格した。競争倍率は11・5倍だった。

 江藤容疑者は当時、義務教育課人事班の課長補佐で、試験・採用を総括する立場にあり、1次試験の合格ラインを設定できた。

 浅利容疑者の長男(25)と長女(22)は、2次試験を終わった最終的な成績は合格者の中クラス以上だったという。関係者は「(2人が)最終合否のボーダーラインで議論に上がったことはない。2人とも成績は(合格者の)中位より上だったとしている。県警は、江藤容疑者が1次試験の合格ラインを下げたり、点数を加算するなどの便宜を図ったのではないかとみて調べている。

 長男は過去に採用試験に2回落ちて3度目の挑戦で、長女は初受験だった。【小畑英介、金秀蓮】

2008年6月17日

大分県教委の教員採用汚職:関係者に波紋広がる 全校集会や知事ら陳謝 /大分

 県教委の教員採用試験巡る贈収賄事件で、週開けの16日、関係者の間で事件の波紋が広がった。贈賄側の2容疑者が勤務する佐伯市内の小学校では、全校集会が開かれ、知事や佐伯市長は、会見などで県民や市民に陳謝した。【古田健治、梅山崇】


 ◆全校集会

 校長の浅利幾美容疑者(52)が贈賄容疑で逮捕された佐伯市立蒲江小の全校集会では、岡田真幸教頭が児童118人に「学校にも社会にも決まりがある。(校長は)金を渡して、いろいろ物を頼み、決まりを破ったのではないかと調べられている」と事件について報告した。


 集会は約5分間。岡田教頭によると、児童たちは静かに話を聞いていたという。「年齢差があり、どの程度理解できたかは分からないが、『今まで通り元気にやっていこう』と話した」という。

 また、教頭の矢野かおる容疑者(50)が逮捕された同市立重岡小でも、山城豊校長が「ルールは守らないといけない」などと集会で児童71人に話した。


 ◆佐伯市長

 佐伯市の西嶋泰義市長は同日の市議会本会議の冒頭に発言を求め、今回の事件について「児童、保護者、学校関係者らに多大な迷惑をかけ、深くおわびする」と謝罪した。2容疑者の逮捕については「非常に遺憾で、憤りをおぼえる。二度とこのような事態が起きないよう、対応したい」と述べた。


 ◆知事会見

 広瀬勝貞知事は、定例会見の冒頭、事件に触れ、「教育行政の基本にかかわる問題が起き、痛恨の極み。県民の信頼を裏切ったことに深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 来月には今年度の採用試験が始まることを見据え、「捜査と県教委調査で出てきた情報を元に、採用システムが信頼おけるものになるよう、抜本見直しすることが必要」と述べた。しかし、「できるだけ広範なチェックが必要」としつつ、知事部局の採用システムの点検については、「教委で出てきたのと共通する問題があれば対応する」と述べるにとどまった。

毎日新聞 2008年6月17日 地方版

大分県教委の教員採用汚職:採用システム見直し 県教委、再発防止策を検討 /大分

 教員採用試験を巡る贈収賄事件を受け、県教育委員会(波多野順代委員長)の臨時会が16日、県庁で開かれ、小矢文則・県教育長は試験面接官に知事部局職員や若手職員を入れるなど再発防止策の検討に入ったことを報告した。

 臨時会で、小矢教育長は経緯を説明し「二度と事件を起こさないよう、取り組みを進める」と陳謝。再発防止として「採用試験の作業の流れを分析し、改善点を詰めている状況」と採用システムの見直しを検討していることを明らかにした。

 また、事件後に「以前から(不正が)あったのではないか」「今年は予定通りにやるのか」などの意見や問い合わせが数件あったことも報告された。

 委員からは「(教育現場が萎縮(いしゅく)するなど)風評被害の防止に努めてほしい」「お金で(結果を)何とかできるという倫理感のなさで生じたことだ」などの意見が出た。【小畑英介】

毎日新聞 2008年6月17日 地方版

事件:大分教員採用汚職/仲介夫婦に数十万円/わいろ持ちかけられ

 大分県教委の教員採用試験を巡る贈収賄事件で、贈賄容疑で逮捕された小学校長、浅利幾美容疑者(52)が、県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で逮捕=を紹介された謝礼として、県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)夫婦=贈賄容疑で逮捕=に数十万円を渡していたことが、県警の調べで分かった。贈賄工作を浅利容疑者に持ちかけたのは哲郎容疑者とみられ、その際、1人200万円の金額が提示されたという。

 江藤容疑者は98年度から2年間、佐伯市の県教育事務所におり、当時、同市教委にいた哲郎容疑者と親しくなったとみられる。哲郎容疑者の妻で小学校教頭、矢野かおる容疑者(50)は、浅利容疑者と同市内の小学校で一緒に勤務していた。


 関係者などによると、このような関係から浅利容疑者は長男・長女の試験や採用の対策について、夫婦に相談していたという江藤容疑者とパイプのある哲郎容疑者が、昨年初めに贈賄工作を浅利容疑者に持ちかけ、採用試験以前に浅利容疑者と江藤容疑者を会わせ、採用を働きかけていたという。


 浅利容疑者は江藤容疑者から「2人は無理かもしれない」と言われ、当初は1人分の「依頼料」の趣旨で100万円の金券を渡した。結果的に2人とも採用されたことから、1人分の依頼料と2人分の「成功報酬」として現金300万円を渡したとみられる。県警などによると、浅利容疑者の長男と長女は不正の事実を知らなかったという

2008年6月18日

県議会:開会 知事、教育委員長が教員採用汚職で陳謝 /大分

 県議会6月定例会が17日開会し、冒頭、広瀬勝貞知事、波多野順代・県教育委員長が、教員採用試験を巡る贈収賄事件について陳謝した。

 広瀬知事は「教育の向上に県挙げて取り組む中、痛恨の極み。教育行政に対する信頼を損ねたことを、深くおわびします」、波多野委員長は「職員の倫理の徹底をはかり、信頼回復に取り組む」と述べ、頭を下げた。

 6月定例会には、客引き行為などの規制を強化する迷惑防止条例改正案など、11議案が県から提案された。会期は来月1日まで。23~25日の一般質問では、一問一答方式が導入される。【小畑英介】

毎日新聞 2008年6月18日 地方版

大分県教委の教員採用汚職:県教委が経緯説明--県議会文教委 /大分

 ◇厳しい声相次ぐ

 教員採用試験を巡る贈収賄事件を受け、県議会文教警察委員会が20日あり、県教委が経緯を説明した。出席した議員からは「教員の資質以前の問題だ」などと厳しい声が相次いだ。

 不正の手口など詳細について、小矢文則教育長は「捜査中なので、予断を与えたくない」と発言を控えた。また、今年の採用試験の2次では、従来1回の面接回数を2回に増やすことなどを検討していると説明した。

 議員は「教育行政の汚点。馴れ合い、腐敗を変えないといけない」「容疑者全員が教育関係者。いろいろシステムを改善しても、(事件に失望して)いい人材が集まらなくなる」などの指摘があった。【小畑英介】

毎日新聞 2008年6月21日 地方版

おおいた評論:みんな怒ってる /大分

 開いた口がふさがらないとはこんなことを言うのだろう。人の道、公平公正を教えているはずの小学校長(当時教頭)ら4人が逮捕された教員採用汚職に、怒りが収まらない。支局にも「親が教師だと合格できるのなら、何のための試験か」といった電話がかかる。


 教員採用試験の事務を掌握する県教委の当時の課長補佐に校長が400万円のわいろを渡し、わが子2人の合格工作を頼み込んだ前代未聞の不祥事だ頼めば何とかなるというおごりがあり、仲介したのも元校長と教頭の夫婦だから、教師の子は便宜を図ってもらえると思われても仕方ない。


 団塊世代の退職が始まっているが、県内の採用者数は横ばい。今春採用の競争率は小学校11・5倍、中学校17・3倍、と狭き門だ。こんなことがまかり通るなら、まじめに教職を目指す若者が浮かばれない。

 

昨年、福岡で発覚した小中学校教員採用試験問題漏えい事件の判決で、福岡地裁は「試験の根幹を揺るがす行為」と厳しく指弾した。今回はそれ以上に悪質だ。報告を受けた文部科学省の局長は「全国でも例がないだろう」と、試験の改善を注文したという。


 「何重もチェックしているのにそんなことが出来るなんて……」。逮捕直後、県教委幹部らは首をかしげたという。点数など合否資料は複数の職員が2度読み合わせしたり、3人1組の面接官が資質や模擬授業を審査したりする。1人の裁量で合否が左右できるはずがないという思いだったようだ。それでも課長補佐は容疑を認めており、合否を操作できる落とし穴があったのだ。

 来春採用の1次試験は、1カ月先に迫っている。教員採用への不信はちょっとのことではぬぐい去れない。「情実採用」という汚名をそそぐためにも、合否判定に第三者を入れるなど仕組みを改め、教員も甘い考えを捨てるしかない。<大分支局長・嶋岡倫志>

毎日新聞 2008年6月23日 地方版

大分県教委の教員採用汚職:参事、校長の子の点数加点 合格点未満を改ざん

 大分県教委の教員採用試験を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、小学校長、浅利幾美容疑者(52)=贈賄容疑で逮捕=から子どもを合格させるよう依頼を受け、合格点に達していない子どもの点数を、1次、2次試験の各集計後に加点し改ざんしていたことが関係者の話で分かった。県警も特定の人物の点数を容易に上乗せする不正が可能だったとみて、合格者決定の過程を調べている。


 県教委によると、浅利容疑者の長男、長女が受験した昨年の小学校の採用試験は、7月21、22日の1次試験が筆記(教養、作文、全教科)と面接(グループ討論)と実技の水泳。9月の2次試験が面接、模擬授業、音楽や体育の実技となっていた。

 1次、2次とも500点満点で、最終的には1次、2次を合算して採用者を選ぶ。1次合格者は472人の受験者中117人、2次試験合格者(最終合格者)は41人で、倍率は11・5倍だった。


 江藤容疑者が、当時課長補佐として総括していた同課人事班が得点などのデータ処理と、合格者の起案を担当する。江藤容疑者は、全受験生の情報に接触できる立場だった。

 県教委によると、点数の入力は、同班職員が行い別の職員がチェックするが、人事班の起案を決裁する段階では、答案用紙などの現物と集計後のデータとを突き合わせたチェックはしないという。県教委幹部は「システム上、不正を100%防げるとは言えない」と話す。答案は試験があった年度末に廃棄されている。

毎日新聞 2008年6月23日 西部夕刊

事件:「カネとコネ」うわさ通り/大分県教員採用汚職/不正情報10年前から20件/背景に密室選考

 小学校長の子供の教職員採用で県教委担当者にカネが渡り、それを教員仲間が仲介していたとされる大分県の教員採用汚職事件。同県内では以前から、教員採用ではカネとコネがものを言うとのうわさが絶えず、「やはり」との声が聞かれる。背景には、試験選考が密室の少人数で行われ、外部のチェックが行き届かない実態がある。【小畑英介、金秀蓮】


●黒いうわさ

 県内の女性は数年前、当時臨時講師だった息子の採用を巡り、現職の教諭から贈賄工作を誘われたという。「2次からでは遅い。1次から対策を立てないと」と持ちかけられ、1次は40万円、2次は120万円の金額を提示されたが、怖くなって断ったという。女性は「職業を親に金で買われた子供もかわいそうだが、コネやお金で教員になった大人に教わる子供たちもかわいそう」と言う。


 弁護士らが行政などを監視するNPO法人「おおいた市民オンブズマン」には、教員の不正採用情報がこの10年で20件近く寄せられているという。県教委幹部が身内4人の口利きをしたという指摘もあり、オンブズマンは昨年2月、県教委に調査を申し入れた。回答は「事実は確認できなかった」。オンブズマンの永井敬三理事長は「長年の黒いうわさが初めて表に出た。徹底的に捜査してほしい」と話す。


●担当者任せ

 江藤容疑者が当時、課長補佐として総括していた人事班は計5人。成績の集計、選考、採用後の配属先の起案まで、採用に関する実務すべてを任されている。

 採用者の名簿を起案するのも人事班だ。県教委幹部が決裁するが、その際、答案原本などとの照合などはしない。しかも答案は年度末に廃棄される。人事委員会がある県庁と違い、採用業務はすべて教委内で完結する。

 教委という閉ざされた世界。「優秀な人が採用されず一発合格した人の親が県教委職員、という話は幾度となく聞いた」と県北部の公立校幹部は明かす。


●今年の試験は

 昨年、大分県の小学校教員採用試験は11・5倍の狭き門。臨時講師などを続けながら受験を繰り返す志望者が大半で、合格者の平均年齢は27・2歳だ。年齢制限の40歳直前まで受験する人もいる。

 その1人で中学校教員を目指す20代の女性は今年、5回目の挑戦をする。「コネで“特典”が付くといううわさはあったが、お金まで動いていたとは。がっかりしたし、許せない」と話す。

 今も、県教委幹部は「不正があるとは思ってもみなかった」と言う。ただ「(担当者が)悪意をもってやれば、不正を100%防げるとは言えない」とシステムの不備は認め「透明性を高めたい」と話す。

 県教委は今年から、試験・採用業務の一部を外部委託したり、面接官に知事部局の職員を入れるなど、チェック機能の強化を検討している。

    *

◇事件の概要

 小学校長、浅利幾美容疑者(52)が子供2人の教員採用試験に便宜を図ってもらおうと、知人の県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)と妻で小学校教頭の矢野かおる容疑者(50)の仲介で、同参事、江藤勝由容疑者(52)に計400万円を渡したとして、大分県警が江藤容疑者を収賄、他3人を贈賄容疑で逮捕した。矢野夫婦は浅利容疑者から謝礼数十万円を受け取った疑いもある。関係者によると、江藤容疑者は合格点に達していなかった子供の点数を改ざんしていたという。

2008年6月27日

教委の教員採用汚職:教員採用試験、一部を外部委託へ /大分

 ◇県教育長、来月上旬にも具体策

 小学校教員採用試験を巡る贈収賄事件を受け、小矢文則・県教育長は26日、県議会文教警察委員会で、今年の試験から採用業務の一部を外部に委託する方針を示した。来月上旬にも具体策を明らかにする。

 採用試験は、成績のデータ入力など、多くの業務を収賄容疑で逮捕された義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)が当時総括していた同課人事班内で実施。江藤容疑者は、集計後に試験点数を加点・改ざんした疑いがある。県教委内で完結していた作業に対しては「不透明で、内部チェックにも限界がある」とする声も上がっており、外部への委託で透明性を高め、再発防止を図る考えだ。

 小矢教育長は「法律の範囲内で、出来るだけ(業務を)第三者機関に出そうと検討している。(受験生たちに)公正と理解してもらえるような形にしたい」と述べた。県人事委員会などを軸に、業務に入ってもらうことを検討しているという。

 この日の委員会では、出席議員から「(不正は)氷山の一角だという声を聞かされる。体質を変えてほしい」などの意見が出た。【小畑英介】

毎日新聞 2008年6月27日 地方版

県高教組:教員採用汚職で緊急アピール 定期大会が閉会 /大分

 大分市であった県高教組の定期大会は28日、教員採用汚職事件に対する緊急アピールなどを採択し、閉会した。

 アピールは「教員採用で試験点数や内容の開示を求めた結果、面接以外はほぼ開示されるようになったのに、(事件は)試験に対するこうした信頼を大きく損ねた」と指摘。「県立学校教職員総数の20%を占める臨時・非常勤講師630人の教員になる希望を踏みにじる行為」と批判した。また「県民の不信の目は学校現場で働く私たちにも向けられている」とし、高教組も全力で信頼関係構築に取り組むことを誓った。

毎日新聞 2008年6月30日 地方版

佐伯市教委:信頼取り戻そう 緊急アピール /大分

 教員採用汚職事件で校長らが贈賄容疑で逮捕された佐伯市教育委員会(宮明邦夫委員長)は1日、市内の小中学生の保護者に「信頼を取り戻すための緊急アピール」書を配布した。


 アピールは、事件を「佐伯の教育の危機、教育行政や教育現場にとって非常事態」ととらえ、「市の教育への信頼を傷つけた」として謝罪。「信頼される教育委員会、学校」づくりに向けて全力で取り組む、としている。児童、生徒の心のケアについては「(事件について)確かな事実を冷静かつ客観的に子供たちに伝えることが肝要」とした。

 また、教職員に対しても「子供たちと共に悩み、学びながら信頼される学校づくりに取り組んでほしい」と求めた。【古田健治】

毎日新聞 2008年7月2日 地方版

大分・教員採用汚職:3人を贈収賄で再逮捕…総額2百万円

 大分県の教員採用汚職事件で、県警は5日午前、県教委参事、矢野哲郎容疑者(52)と妻で小学校教頭の矢野かおる容疑者(50)から、長女の採用試験で便宜を図った見返りに金券100万円を受け取ったとして、当時義務教育課人事班主幹で県教委参事の江藤勝由容疑者(52)を収賄容疑で再逮捕。また矢野容疑者夫婦を贈賄容疑で再逮捕した。


 矢野容疑者夫婦が当時県教委審議監だった二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=と江藤容疑者に贈ったわいろ額は計200万円だった。二宮容疑者は容疑を認めているという。

 調べでは、矢野容疑者夫婦は長女が合格した07年度の教員採用試験で長女の試験で便宜を図ってもらった見返りとして06年10月ごろ、同県別府市内で金券を江藤容疑者に渡した疑い。


 一方、大分地検は5日午前、今年度の教員採用試験で子どもを合格・採用させる見返りに400万円を渡したとされる小学校校長、浅利幾美容疑者(52)と仲介役の矢野容疑者を贈賄罪で、江藤容疑者を収賄罪で起訴した。金銭授受の場に同席した矢野かおる容疑者については、「関与の程度が低い」として処分保留にした。

 

起訴状によると、浅利、矢野両被告は共謀し、当時県教委義務教育課人事班課長補佐だった江藤被告に、浅利被告の長男と長女を08年度の教員採用試験で合格・採用するように依頼。1次試験合格発表(07年8月17日)前の8月9日に、別府市内のホテルで百貨店商品券100万円を、最終合格発表(10月9日)後の10月14日に江藤被告の自宅で現金300万円を渡した。【金秀蓮】

大分県教委の教員採用汚職:県教委参事ら、3人を再逮捕

 大分県の教員採用汚職事件で、県警は5日午前、県教委参事、矢野哲郎容疑者(52)と妻で小学校教頭の矢野かおる容疑者(50)から、長女の採用試験で便宜を図った見返りに金券100万円を受け取ったとして、当時義務教育課人事班主幹で県教委参事の江藤勝由容疑者(52)を収賄容疑で再逮捕。また矢野容疑者夫婦を贈賄容疑で再逮捕した。

 一方、大分地検は5日午前、今年度の教員採用試験で子どもを合格・採用させる見返りに400万円を渡したとされる小学校校長、浅利幾美容疑者(52)と仲介役の矢野容疑者を贈賄罪で、江藤容疑者を収賄罪で起訴した。金銭授受の場に同席した矢野かおる容疑者については、「関与の程度が低い」として処分保留にした。【金秀蓮】

毎日新聞 2008年7月5日 東京夕刊

大分県教委の教員採用汚職:親密な関係温床に 贈賄側と元審議監、江藤容疑者が接点

 県教委上層部までむしばまれていた大分県の教員採用汚職事件。収賄容疑で新たに逮捕された当時県教委の参事兼審議監で現同県由布市教育長の二宮政人容疑者(61)は、部下だった県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)を通じて、贈賄側の県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)と親密な関係になったことが関係者の話で分かった。一方、市教育長が不在となった由布市は、逮捕から一夜明けた5日、対応に追われた。

 関係者によると、矢野容疑者は大分県佐伯市教委勤務だった98年ごろ、当時、佐伯市の県教育事務所勤務だった江藤容疑者と親しくなった。

 江藤容疑者は先に県教委に異動し、幹部だった二宮容疑者の下で働いた。このころ、二宮容疑者も江藤容疑者と共に矢野容疑者の自宅を訪れる関係になった。


 矢野容疑者と二宮容疑者の関係はその後更に深まり、05年ごろには一緒にゴルフをする仲になったという。当時、二宮容疑者は既に県教委ナンバー2で、矢野容疑者は佐伯市の小学校教頭。立場を超えた親しさがうわさになったという


 このような3者の親密な関係の中、二宮容疑者と江藤容疑者は矢野容疑者の長女を合格させようと共謀。採用試験の実務を担当していた江藤容疑者が、06年の1次試験で不合格だった矢野容疑者の長女の点数をかさ上げして合格させていたとみられる。

 ◇対応に追われ緊急の校長会

 一方、市教育長の逮捕を受け、由布市では5日朝から、緊急の校長会が開かれるなど対応に追われた。

 教員出身で、二宮容疑者と同じ中学校での勤務経験もある首藤奉文市長は「野球部の監督をしていて教育熱心な印象。言葉が見つからない」とショックを受けた様子。3日に顔を合わせた時も、普段通りだったといい「市の教育を、県教委ナンバー2の人に推進してほしかった。市民に申し訳ない」と話した。

毎日新聞 2008年7月5日 西部夕刊

大分県教委の教員採用汚職:元審議監を逮捕 参事の娘の採用便宜、100万円収賄容疑

 大分県の教員採用汚職事件で、県警は4日、当時県教委の参事兼審議監だった同県由布市教育長、二宮政人容疑者(61)を100万円の収賄容疑で逮捕した。県教委義務教育課参事の矢野哲郎(52)と妻で小学校教頭の矢野かおる(50)両容疑者=いずれも別の贈賄容疑で逮捕=から07年度採用試験に子どもを合格させる見返りに金券を受け取った疑い。当時の県教委ナンバー2が逮捕されたことで、県教委内で不正採用が常態化していた可能性が強まった。


 矢野容疑者は当時県教委義務教育課人事班主幹だった同課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で逮捕=にも100万円を渡したと供述しており、県警は5日にも江藤容疑者らを再逮捕する方針。

 調べでは、矢野容疑者夫妻は06年7~9月にあった教員採用試験で長女(23)を合格・採用させようと二宮容疑者に依頼。二宮容疑者は同年9~10月、夫妻から大分市内で数回にわたり金券計100万円を受け取った疑い。

 県教委によると、07年度採用試験は1次試験が06年7月、2次試験が同9月にあった。1次試験は489人が受験し、119人が合格。2次試験では矢野容疑者の長女を含む41人が採用された。倍率は11・9倍だった。


 二宮容疑者は1969年に教員採用され、県教委の教職員第1課長などを経て05年4月から審議監。06年11月に由布市教育長に就任した。県教委の審議監は教育長に次ぐポストで採用や人事まで県の教育行政を総括する。

 矢野容疑者夫妻は小学校校長の浅利幾美容疑者(52)=贈賄容疑で逮捕=の長男と長女を合格させるため江藤容疑者に働きかけ、現金や地元百貨店商品券計400万円を贈った疑いで逮捕されている。

 教員採用を巡っては大阪府教委教育監(当時)が府立高校の非常勤講師採用で便宜を図った見返りに、学校法人理事長(同)から仕立券付き紳士服地(35万円相当)を受け取った収賄容疑で06年に逮捕された。【金秀蓮】

毎日新聞 2008年7月5日 西部朝刊

大分県教委の教員採用汚職:また逮捕 カネで汚染、どこまで

 ◇「教師になりたかったらお願い先は県教委」

 大分県教委の教員採用汚職事件で、県教委ナンバー2だった元審議監、二宮政人容疑者(61)が、採用を巡り金券100万円を受け取っていた新たな収賄容疑が浮上した。「教師になりたかったら、お願いする先は一に県教委」と言われており、公正さが最も問われる採用試験がカネで汚染されていた可能性がさらに強まった。「いったいどこまで広がるのか」。関係者に不安と怒りが交錯した。


 これまでに、収賄容疑で県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)、贈賄容疑で同僚の矢野哲郎容疑者(52)、その妻で小学校教頭の矢野かおる容疑者(50)がそれぞれ逮捕された。今回の逮捕容疑となったのは、矢野夫妻の長女の採用を巡ってカネが動いていたというものだ。


 先の逮捕容疑となった小学校校長の浅利幾美容疑者(52)の長男、長女を巡る事件では、浅利容疑者から依頼を受けた江藤容疑者が、合格点に達していない長男の点数を、1次、2次試験の各集計後に加点していたことが既に明らかになっている。


 特定の受験者の点数を簡単に上乗せできる採点システムについて、県教委は「不正を100%防げるとは言えない」と言う。「優秀な人が採用されず、一発合格した人の親が県教委職員」。県教委を巡っては、こうした実態を背景に黒いうわさが後を絶たないという。

 合格を目指して採用試験の勉強に励んできた受験生。不正によって合格点に満たない人物が合格することになれば、本来、合格するはずの受験生がはじき出されることになる。「採用汚職の一番の被害者は、受かるはずだった受験生」。県民からも、あきれた声があがっている

 ◇「関与していない」--元審議監一問一答

 元県教委審議監で由布市教育長の二宮政人容疑者は逮捕前の先月末、同市内の自宅で毎日新聞の取材に応じ、採用汚職への関与を否定した。

 主な一問一答は次の通り。


 --贈収賄事件で逮捕された江藤勝由容疑者との関係は。


 特に印象はないが、同じ課にいたから知ってはいる。(働きぶりは)覚えていない。直接のやりとりは江藤容疑者の上司とやっていた。(今、由布市教委は)教育事務所が窓口だからやりとりはない。


 --矢野哲郎容疑者について知っているのか。妻のかおる容疑者や浅利幾美容疑者との面識は?


 3人とも知らないし面識もない。


 --事件では数百万円の授受とか、点数の改ざんの話がある。審議監当時に不正のうわさを聞いたことはあるのか?


 なーんかなー。信じられない。(うわさを聞いたことは)全くない。私は人事班にいたこともないし。


 --採用試験の不正について知らなかったのか。


 いやー、知らない。


 --もちろん関与もしていない?


 していない。

毎日新聞 2008年7月5日 西部朝刊


以上引用

当初、一部で行われていたと見られていたこの事件・・。留まることを知らない展開に・・。
様々な人間関係が交錯する中で、様々な問題が見えてくる・・。

事件の背景、人間関係、組織、体質・・。
そして、どのようにして、問題はうまれたのか・・。そして、各々の立場・・。

今となっては、言い逃れ、詭弁を弄して逃げている姿も見受けられる・・。

真実は、どこにあるのか・・。

そして、その影響は・・・・

続く