特報 ゆれる選挙制度  公金と市民と議員の意識 岐阜県山県市の場合01  | 堺 だいすき ブログ(blog)

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政治と金の問題で、たまたま、見つけた記事・・・。「えっ??!!」と驚いた。
以下新聞記事の引用からその実態を見ていきたいと思う。

以下ヤフーニュースより引用

山県市議選ポスター費問題:議運が自主解散求める請願を採択--市議会 /岐阜

11月27日11時1分配信 毎日新聞


 ◇来月の本会議で採決

 04年の山県市議選をめぐるポスター製作費水増し請求事件をめぐり、市民グループから出されていた市議会の自主解散を求める請願を、同市議会の議会運営委員会が26日、賛成多数で委員会採択した。12月19日の本会議最終日で採決し、現在の議員17人(定数22)のうち、出席議員の過半数が賛成すれば採択される。採択後は同日中に解散議案が議員提案され、5分の4以上の賛成で解散が決まり、40日以内に市議選が実施されることになる。【宮田正和】

 ◇市議選の実施は微妙

 「市民の声が厳しい」とする市議が多いことから、請願は本会議で採択となる可能性が高い。だが、解散議案は4人反対すれば否決されるためハードルが高く、各会派がどう対応するかが注目される。

 請願は今年6月、「市民から自主解散を求める声が強くなっている」として提出された。9月定例会で議運に付託され、継続審査となっていた。

 この問題をめぐっては、詐欺容疑で書類送検された6市議のうち、5市議が既に辞職している。

 26日の議運では、委員長を含む委員計5人が出席して審議し、「市民から、議会は容疑者を擁護していると言われる。若干遅いと思うが、けじめとして自主解散すべきだ」「市民から厳しい批判があり、解散すべきだと思う」などと賛成意見が出された。その一方で、6人のうち市議にとどまっているのが1人だけになっていることを理由に、「なぜ解散しなければいけないのか。来年度予算審議もある」との反対意見もあった。
 採決の結果は、賛成3、反対1。

11月27日朝刊

最終更新:11月27日11時1分

以上引用

議会の解散が決まったわけではない。議会に上程するかどうかの論議を議会運営委員会で諮っただけの問題である。

しかしながら、前回の自主解散の請願が、継続審議となり、さらに、今回、議会運営委員会で、採択され、条例されたことの意味は大きい。 議会運営委員会は、各会派の代表の集まりであり、その会派の代表4名のうち3名が請願の採択をしたということは、詳しい情況は不明であるが、議会の3/4が、賛成という風に大枠では考えうることになる。

政治と金の問題でのこのような事態は、個人的には、初めて知るところである。

なぜか、なかなか、他所のことは、わからないのであるが、改めて、びっくりする事態である。

ということで、この事案、興味を持ったので、ネットで、検索をかけてみた。

そして、そんな中で、意外な「ひぇぇ~」という事実もわかってきたので、ぜひ引用紹介したいと思う。

以下読売新聞より引用

山県市の選挙公営 市条例廃止へ手続き 岐阜県

寺町市議ら 「無駄金許す制度、間違い」

 選挙運動時のポスター代や選挙カーのガソリン代など候補者の“必要経費”を税金で負担する「選挙公営」の制度は、市財政の赤字が予想される山県市を苦しめるだけ――。同市の寺町知正市議らが15日、選挙公営を定めた市条例の廃止を求める直接請求の手続きを申請した。4月の山県市長選など統一地方選を控えた他市にも影響を与えそうだ。


 選挙公営を巡っては、候補者から請求される金額が、実際の価格より高いとの指摘があり、愛知県日進市などで公費負担の削減を求める動きが出始めている。


 寺町市議によると、2004年4月の同市議選について市に情報公開請求して選挙公営を調べたところ、ポスター1枚の価格は1000円程度で済んだ候補者もいたが、1枚2600~2700円を請求した候補者が25人中6人もいた。

 寺町市議は「山県市は2009年度から財源不足になることを予測しているにもかかわらず、無駄金を許す選挙公営の制度を残すのは間違っている」と訴える。

 寺町市議らは今後、署名活動をして、市の有権者(2万5179人)の50分の1(504人)以上の署名が集まれば、市選管の審査などを経て、本請求に入る。

 選挙公営
 候補者本人の金銭的負担を減らして、金のかからない選挙にし、候補者間の選挙運動の機会が平等になるように考案された制度。地方選では選挙ポスター代などの上限額を各自治体が条例で規定している。山県市の条例では、ポスター1枚あたりの印刷費単価の上限額は2746円、車の燃料費の上限額は1日7350円と規定されている。

2007年1月16日 読売新聞)

選挙公営廃止します「無駄遣い」批判で…岐阜・山県市

 岐阜県山県(やまがた)市議会は2日、候補者の選挙運動費用の一部を負担する「選挙公営」を定めた市条例の廃止を可決した。


 選挙公営は、候補者のポスター代や選挙カーの燃料費など選挙運動費用の一部を自治体が負担する制度。市民らからの「無駄遣い」との批判から、議員が提案した。4月の市長選から適用する。廃止は異例で、総務省は「全国的にも聞いたことがない」としている。


 山県市は2003年の合併時に制度を導入し、ポスターの場合、1枚当たり2747円を上限に市が負担。04年4月の同市議選では、ポスター1枚1000円程度の候補者がいる一方、上限に近い1枚2600~2700円を請求した候補者もいた。一部市議らが同条例廃止を求めた直接請求の手続きを進め、先月16日、市選挙管理委員会に976人の署名簿を提出した。市議選の場合、約1000万円の経費削減になるという。


 選挙制度に詳しい三重中京大の阪上順夫客員教授(政治学)は「財政難に陥っている地方自治体が多いので、今後、選挙公営の廃止が全国に広がる可能性がある。しかし、『平等で金のかからない選挙』のための選挙公営廃止で、資金力のある候補者が選挙で有利になる危険性がある」と指摘している。

2007年3月2日23時25分 読売新聞)

選挙公営廃止の山県市 費用切り詰めの動き ――07選挙 統一地方選

初の市長・市議補選 なお不満の声

 候補者のポスター製作費や選挙カーの燃料費などを公費で補助する「選挙公営」の市条例を廃止した岐阜県山県市で、廃止後初めての市長選と市議補選(欠員2)が15日、告示される。市の財政負担は軽くなるが、立候補予定者からは、「新人が立候補しにくい」などと不満の声が上がり、自ら選挙費用を切り詰める動きも出ている。


 同市は2003年の合併時に選挙公営制度を導入し、ポスターの場合、1枚当たり2747円を上限に市が負担してきた。ところが、04年4月の市議選では、1枚1000円程度で作った候補者がいる一方で、上限に近い1枚2600~2700円を請求した候補者もおり、市民から「無駄遣い」との批判が出ていた。


さらに住民署名を添えた同条例廃止の直接請求の手続きも始まり、この動きを受けて、市議会が議員提案で廃止を可決した。


 市議補選には3人が立候補を表明しているが、前回も出馬した石神真氏(49)は、「資金に余裕のある人はいいが、自分のような会社員には大変。公営のポスター掲示板に張る135枚分ぐらいは負担してほしい」と話す。前回はレンタルした選挙カーも、今回は節約のためマイカーを使用する予定だ


 元議員の長屋孝氏(68)は、200枚のポスターを約18万円で作り、1枚当たり900円程度になった。「(選挙公営では)印刷を入札制度にして単価を抑える方法もあったのでは」と、廃止に疑問を投げかける。


 新人の杉山正樹氏(64)は、「全額自己負担でなく1枚500円など一定の基準を設ける方法もあったのではないか。残りの任期1年の補選ということを考えると、候補者の負担は大きい」とこぼす。


 一方、市長選で無投票当選が予想される現職の平野元氏(76)は、150枚のポスターを作り、費用は1枚当たり1000円未満に抑えた。平野氏は、「選挙公営は悪いものとは思わないが、たくさんの市民の署名が集まり、議員発議で廃止が決まった。議会の意思を尊重したい」と話す。

 選挙公営の廃止によって、資金力のある候補者が有利になる恐れもあるが、同市で制度の廃止を訴えた寺町知正市議は、「ポスターを手作りにするなど金をかけない選挙は工夫次第で出来る。山県市は2年後に財源不足に陥ると予測されており、議員自らが痛みを感じることは必要だ」と話す。

2007年4月13日 読売新聞)

選挙公営 詐欺疑惑 「氷山の一角」批判

ポスター公費負担 36―12万、候補で差


※順位は金額順。27人目は法定得票数に達せず対象外

 2004年4月の市議選で選挙ポスターの製作費を水増し受給していたとして、市議ら数人が聴取を受けた山県市の選挙公営の制度。同僚議員が疑惑を持たれたことについて市議からは「モラルが欠けている」と批判の声が上がった。その一方で、「山県市の例は氷山の一角」として、公費の使い道の点検を求める意見も出ており、岐阜県選挙管理委員会で対応を検討している。

 選挙公営制度は、ポスターの製作費や選挙カーのレンタル料、燃料代などを公費助成するもの。975年の国政選挙から始まり、92年の公選法改正で地方選挙でも適用されるようになり、多くの自治体が国に準じて条例化した。


 同時に栃木県栃木市や京都府宇治市などで水増し請求が指摘され、調査委員会を設置して使途を追及したり、受注した印刷業者に水増し請求分を返還させたりするなどの事例が相次いだ。


 山県市は2003年の合併時に同制度を導入し、今年3月に条例を廃止した。04年4月の市議選では、候補者27人中、25人が経費を請求したが、製作費の公費負担分は、12万円前後から36万円前後と、候補者によって開きが大きかった。

 また、製作費の上限額37万845円のうち、95%以上請求したのは5人。いずれも別々の印刷会社を利用したにもかかわらず、ポスター製作費に36万円以上かけていた。


 山県市の平野元(はじめ)市長は「ポスターは色々な作り方があり、製作費も様々だ。条例の限度額以内なら、市は内容まではチェックできない。議員の良識が大前提の制度だけに、不正があったとしたら、残念でならない」と話した。

 市議の一人は「議員自身がルールを破っていたら、住民の信頼を失う。水増し請求を認めた業者のモラルも問われる」と批判した。


 条例の廃止を求めて住民直接請求を進めてきた同市の寺町知正市議は「水増し請求は、納税者にとって許せない行為だ。山県市だけの問題ではなく、氷山の一角だ」と指摘する。


 寺町市議は、今年4月に投開票された県議選でも、選挙公営制度で製作費の上限に近い請求をした候補者がいるとして、今週中にも県に対して住民監査請求する方針だ。

 県選管によると、県内では市条例を廃止した山県市と、導入していない瑞穂、飛騨、本巣市など6市を除く計14市で条例化されている。

 ポスター製作費などのチェックについて、県選管は「請求内容まで点検することは難しい。候補者には正しい請求をするように求めていきたい」としている。

2007年6月10日 読売新聞)

以下朝日新聞より引用

山県市議選ポスター代 口閉ざす市議ら

2007年06月11日

 山県市議数人が04年4月の市議選で、選挙ポスターの製作費を水増し請求したとして県警から任意の事情聴取を受けていることが明らかになったが、問題の市議らは姿を見せず、ポスターの印刷業者も口を閉ざした。市役所では9日、選挙担当の職員が急きょ登庁し、報道機関などの対応にあたった。市民からは、市議らの公金意識の低さへの批判が相次いだ。

 公費負担の限度額ぎりぎりとなる製作費を請求していた複数の市議宅では、いずれも家族らが「外出中」と困惑するばかり。また、問題の市議のうち1人からポスター製作を請け負った印刷業者は「何も言えない」の一点張り。別の印刷業者は「県警から事情聴取を受けている」と言葉少なに話した。

 選挙公営制度の廃止を求める署名活動をした寺町知正市議は、7日の市議会全員協議会の後、ある市議から「印刷所が(県警に)調べられた。お金は全額返還しようと思っている。表に出たら政治生命が終わってしまう」と打ち明けられた。

 8日午後には別の市議から電話があり、「選挙ポスターの件で警察から電話があり、話を聞きたいと言ってきた。心当たりはないのだけれど」と不満そうに話していたという。寺町市議は「公費の水増し受給があったら許されない。そんな人が市民の代表として市議選に立候補すること自体、おかしかったのでは」と話した。

 12日には市議会の6月定例会開会が予定されている。市役所では、出勤していた職員が「議会運営はどうなるのだろうか…」と気をもんでいた。

 一方、市民からは「額の大小の問題ではない」と批判の声が上がった。市内の主婦(65)は「数万円と額は少ないようだけど、だからといって許せるものではない。不正はダメだと思う」。市内の無職男性(64)は「(問題の市議らは)公金の感覚がマヒしているのだろう」とあきれた。

山県市議選ポスター代 返還打診、悩む選管

2007年06月14日

 山県市議選のポスター代水増し請求問題で、疑惑がかかる市議らが13日までに、相次いで水増し分を返還する意思を示した。県選挙管理委員会によると、当選時に公費負担を請求した複数の県議からもポスター代返還の相談があった。早急に公費負担分を返還して「みそぎ」にし、参院選の集票に専念したい事情があるようだ。しかし、公費返還は公選法で定める寄付行為の禁止に抵触する恐れがあり、各選管は、法的根拠を慎重に調べている。

 「受け取る態勢がまだ取れていなかったという理由で断ったようだ」。平野元・山県市長は13日、朝日新聞の取材に、県議に転身した元市議(53)の返還を断った理由を説明した。

 県議は参院選立候補予定者の同市での集票のまとめ役。問題が長引けば影響は必至だ。他に現職市議(57)も朝日新聞の取材に対し、水増し分返還の意思を示している。

 県選管によると、複数の県議からも「仮に、余分に請求した分を返還するとしたら手続きは」と相談があったという。県選管は「具体的な水増しの事実は聞いていない」としているが、県政自民クラブが議員総会で、今春の県議選のポスター代を確認するよう求めるなど、県議の関心は高い。

 県選管によると、議員が他者に現金を受け渡すのは、寄付行為の禁止に抵触する恐れがある。山県市選管も「県選管と相談しながら慎重に判断したい」と、返還金の受け入れには慎重な姿勢だ。

 栃木県栃木市では、99年4月の市議選で、同様に複数の議員がポスター代を水増ししたとされる問題があり、翌年、議員のほとんどが公費負担分を市に返還した。
 栃木市は「寄付行為の禁止」を念頭に、公認会計士や弁護士、税理士らで「選挙ポスター専門委員会」を設置して返還方法を検討。選挙公営制度による印刷代公費負担を利用しなかった状態に戻すという措置を採用した。各市議が印刷業者と結んだ契約を取り下げ、業者が市に請求額を返還した上で、市議たちは改めて印刷代全額を業者に実費で支払った。

 総務省選挙課は「相手が市であっても、選挙区内の者に該当するため、市議が寄付をすることはできない」とした上で、「水増し金返還を寄付と見なすべきかは疑問で、最終的な判断は、司法当局に委ねるしかない」としている。

以下読売新聞より引用

岐阜県議選のポスター製作費 水増し疑惑

 選挙公営制度を巡り、岐阜県議選の一部の候補者が、ポスター製作費を水増し請求した疑惑があるとして、市民グループ「くらし・しぜん・いのち 県民ネットワーク」(事務局=寺町知正・山県市議)は、払いすぎた製作費を県に返還するよう求め、18日に県監査委員に住民監査請求する。


 対象は2003年と今年4月の県議選のポスター製作費で、県議のほか印刷業者も含まれる。

 同ネットでは、03年の県議選の製作費の支出に対して、今年3月に住民監査請求をして却下された。山県市の市議数人と県議が、製作費を水増し請求した詐欺の疑いで県警の聴取を受けたことから、今春の県議選と合わせて再度、住民監査請求する。

2007年6月15日 読売新聞)
現在位置は

ポスター費水増し 認める

山県市議、岐阜県議ら5人 謝罪会見



 2004年の岐阜県山県(やまがた)市議選で当選した市議らが、ポスター製作費を水増し請求したとして、同県警から詐欺容疑で事情聴取された問題で、市議4人と4月の県議選に当選した元市議の計5人が15日、県庁で記者会見し、水増し請求して県警から事情聴取を受けたことを認め、謝罪した。「選挙公営制度」の負担上限の半額程度を請求した議員も含まれており、水増し請求議員はさらに拡大する可能性が出てきた。


 5人は村瀬隆彦(53)、吉田茂広(42)、渡辺政勝(57)、武藤孝成(57)の4市議と、横山善道県議(53)。市議選当時は、全員が市政クラブに所属していた。

 会見した5人は、全員がポスター製作費に選挙はがき代なども含めて請求したことを認め、市に対し全額返還を申し入れたことを明らかにした。しかし、動機や手口については事情聴取を理由に「答えられない」とし、進退も「現時点では考えていない」などと答えた。


 ポスター代の請求額は、4人が上限額(37万845円、1枚あたり2747円)の99%台だったが、武藤市議は53%台で、上位から10番目の低さだった。別の会派の99%台の市議(65)は、「時期が来たら話したい」としており、5人から拡大する可能性がある。


 一方、約107万~65万円を上限にポスター代が公費負担された今年4月の県議選で、当選した県議1人が、「事務手続きにミスがあった」として、ポスター製作費の訂正と過剰請求分の返還を県選管に申し出たことが、15日わかった。また、別の県議(67)も読売新聞の取材に対して、製作費を訂正し、返還する考えを明らかにした。

 18日に県議選のポスター代について住民監査請求をする寺町知正・山県市議は、「山県市で上限額の50%台でも水増し請求があったことに驚いている。県議選の監査請求では、監査の対象を80%台から50%台まで引き下げたい」とした。

2007年6月16日 読売新聞)

ポスター代水増し請求、山県市が調査委

 2004年の岐阜県山県市議選で当選した市議らが、ポスター製作費を水増し請求したとして、県警から詐欺容疑で事情聴取された問題で、同市は26日、事実関係を調査する第三者委員会「不正請求問題調査委員会」(委員長・森裕之弁護士)を設置した。

 不正請求が確認された場合は、市は水増し請求分の返還方法などについて検討する。調査委は、岐阜市に事務所を持つ弁護士3人で構成。選挙公営条例(今年3月廃止)が適用された03年4月の市長選と04年4月の市議選で、不正請求がなかったかを調査する。

2007年6月27日 読売新聞)

(岐阜)選挙ポスター製作費水増し

意識の低さ浮き彫り 公営制度見直しの動きも


謝罪する山県市議ら(先月15日、県庁で)

 全国に先駆け、「選挙公営制度」を廃止して注目を集めた山県市が一転して、選挙公営を巡る不祥事に大きく揺れている。2004年の市議選で、選挙公営のポスター製作費を水増し請求したとして、詐欺の疑いで市議らが次々と県警に事情聴取され、意識の低さが浮き彫りになった。「製作単価が実情とかけ離れている」と指摘する声もあり、自治体の中には制度を見直す動きも出始めた。(中村和男)

■山県市議会の動き

 山県市議会定例会の最終日の6月29日。水増し請求した元市議の県議と市議の計5人に対する辞職勧告決議案が提出されたが、賛成したのは提出者の2人だけ。

 休憩を挟んで再開された定例会では、辞職勧告を省いた「市民の信頼回復に向けての決議案」が提出され、あっさりと可決した。


 「何もしない山県市議会で終わるよりはましだ」。市民の批判を小手先だけでかわそうとするような決議に対し、辞職勧告決議案を提出した寺町知正市議は、こう皮肉った。


 同市では選挙公営を2003年の合併時に導入。水増し疑惑がある04年の市議選では、27人の候補者のうち、6人がポスター1枚あたりの製作費上限(2747円)の90%以上を請求した。

 財源不足で市民に痛みを強いる市政運営の中、「無駄金だ」という批判から今年3月、選挙公営条例の廃止を決めたが、それと並行するように、県警も捜査に着手した。

■第三者の委員会

 市議らへの県警の事情聴取が明るみになり、山県市も実態の解明に動き出した。先月26日、弁護士3人による不正請求問題調査委員会を設置。今月中に、市議や印刷業者らから聞き取りする。不正請求が委員会で確認された場合、市は水増し請求分の返還方法などについて検討する。


 危機感を募らせたのか、先月29日には、新たに市議1人が業者に指示して水増し請求したことを認めた。

 それに先立つ先月15日には、水増し請求した4人の市議と、元市議の県議が県庁で記者会見して、「迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪したが、水増し請求した経緯などは明らかにしていない。

■県議への波及

 矛先は県議のポスター製作費にも向けられた。市民グループ(事務局=寺町山県市議)は先月、「ポスター製作費が市場相場よりも高すぎる。水増し請求している可能性がある」と、県議選の候補者延べ97人と印刷会社に対し、払いすぎた約2800万円を県に返還するよう県監査委員に住民監査請求した。

 代表監査委員や弁護士、税理士ら6人が審査し、60日以内の8月中旬までに判断が下される。

■見直しの動き

 県内でもすべての市が選挙公営制度を持っている訳ではない。瑞穂、本巣、飛騨、下呂、郡上市などは合併の際に導入を見送っている。


 選挙公営制度を見直す動きも出始めた。羽島市では、ポスター1枚あたりの単価の上限額を、山県市より約500円高い3255円と定めている。請求できる上限額は総額35万8050円。今年4月の市議選では24人のうち、7割を超える18人が上限の満額を請求した。



 こうした現状を踏まえ、白木義春市長は「実勢に応じたポスターの印刷費用を設定したい」と決断、ポスター製作費の上限を引き下げようと検討している。

 選挙公営制度
 各自治体が条例で、ポスター製作費の上限額を設けているほか、「選挙カー」の燃料代やレンタル代なども公費負担している。国政選挙で導入されたが、地方選挙でも国に準じて条例化された。県内では21市のうち、14市が導入している。


栃木市は業者との契約白紙に

 栃木県栃木市議会では2000年4月、市議選のポスター製作費水増し疑惑を巡り、市議が印刷業者と交わしたポスター印刷の契約を白紙に戻すことを決めた。1人を除く27人の市議が、ポスター公費負担分を全額返還した。さらに、ポスター製作のうち、デザインなどの企画費の根拠が「あいまいだ」として2001年3月に条例改正し、「当分の間」は企画費を「ゼロ円」とするよう改めた。

 また、京都府宇治市議選の水増し請求問題では、大阪高裁が02年10月、一審判決を支持し、製作費の上限や、それに近い候補者10人の請求額は過払い金だったと認定。「市が返還請求権を行使しないのは違法」との判決が下り、10人が計約130万円を返還した。


2007年7月4日 読売新聞)

以上引用・・・。

それにつても、選挙公営制度というのは、まだ歴史が浅い上に、全ての自治体で投入されているとは限らないことに驚き・・・。
つづく