「お国柄の違い」というのも様々であるが、中には「本国では御定法であっても、日本では御法度」という例もある。とくに短筒や鉄砲関係で日本は厳しく御定法が定められており、それに背くと厳しく罰せられる事はご存知の通りであるが、今回書く千葉ロッテマリーンズのヤマイコ・ナバーロ・ペレスの場合はショルダーバッグの中に短筒の弾が1発紛れ込んだ事で、しばらく御用の筋のお世話になるはめとなった。


 昨季は韓国KBOの三星ライオンズで140試合に出場し、打率.28748本塁打、137打点でKBOのベストナインに相当するゴールデン・グラブ賞を受賞した(これだけ本塁打を打ち、打点を稼いでも上がいた。昨季はネクセンヒーローズでプレーし、今季はミネソタ・ツインズに移った野球韓国代表の朴炳鎬が53本塁打、146打点をマークしていたのである)ナバーロであるが、先週末に始まったオープン戦でも土曜日の対中日ドラゴンズ戦と日曜日の対北海道日本ハムファイターズ戦に三番・二塁手として先発出場し、いずれの試合でも本塁打を放っている。その絶好調ぶりに機嫌を良くした背番号17は次の遠征先である宮崎市へと向かう途中、那覇市の那覇空港で検査に引っ掛かり、中から鉛の弾が出て来たものであるから、空港関係者は色めき立ったのは言うまでもない。結局、ナバーロは琉球の御用の筋に「一緒に来てもらおう」としょっ引かれてしまったが、豊見城警察署(那覇空港はここの所轄である。那覇署がかなり事件や事故の取り扱い案件が多いため、その負担を減らすために那覇市の一部を所轄にした)でのお調べにこのひげの大砲は「ドミニカでは短筒を持つのは御定法に適しており、日本に来る際に紛れ込んでいたと思う」と口にする。


 実は那覇空港でこのような騒ぎが起こったのは初めてではない。6年前にも当時ドラゴンズに在籍していた右腕のマキシモ・ネルソンが同様の失敗を犯して召し捕られてしまったが、この時は「疑いの程はわからぬ。よって、お解き放ちにする」という結果になった。とは言え、「不注意ながら騒ぎを起こし、お縄にまでなったのは事実」として球団側は「3ヵ月の間は一軍の試合への出場はまかりならぬ」という厳しい処分を下してしまう。その前例を考えれば、ナバーロは数日してお解き放ちになり、しばらく出場はできないという事になるが、何にしてもマリーンズにとっては当然戦力ダウンになるため、外国人の獲得や緊急トレードで代わりの戦力を補充する事は必至となった。


 2戦続けて強烈弾を放った大砲が、今度はほんまもんの弾でお縄をかけられるとは、本人もマリーンズも予想しなかった事であるが、果たしてこの騒動の行方はどうなるのか?まだまだ目は離せない。