灰色の厚い曇にぽっかりと穴が空き
青空が見えた
自然に「天上の青」と口に出た


曾野綾子さんの小説
「天上の青」を思い出した
これを読んだのは10年以上も前


強姦殺人を繰り返した殺人鬼
「天上の青」の言葉をそのまま人間にしたような女性
「天上の青」という名の朝顔を縁に始まる2人の穏やかな心の交流


死刑判決の出た男性が
女性に出した手紙
「もしもあなたが、愛していると言ってくれるなら控訴はしない」
女性が最後に出した手紙
「あなたを愛しています」
男性の最後の手紙
「ありがとう」


きちんと覚えていないけれど確かそんな内容だった



読んだ時もそれなりに感動をし
衝撃的な内容と結末をしばらくは忘れられずにいた



私には
彼女の選択が正しいかどうかの判断はつかないけれど
もちろん判断をする必要の無いものかもしれないけれども


今日の空の色
なぜか心に染みて
涙が出てしかたがない


涙の理由さえもわからずに


理由すら 汚すことのように感じながら