春の嵐

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大雨の日


30人強の「話し合いの会」
私は事務方


会が始まる前からものすごい剣幕で怒られる


「申し訳ありません」

 

「すみませんで済むと思っているの! どうするつもりなの!!」

 

 

会が始まると


剣幕持続の先ほどの人から


「無責任です!」


「すみません。これ以上はできません」


「まあ、よっぽど無能なのね!謝れば済むこと?  全く何もできないのね!」


こんなにひどいことになった!
こんなに可愛そうなことになった!
…延々と30分くらい(たぶん…)…無責任と無能を言われて怒られる

 

 


怒られている間中

ずっと頭のシャッターをおろしていた

そして
その場で泣いたり、反論したり、反撃したりをしない私に育ててくれた両親に

ひたすら感謝していた

 


会が終わってからも事務作業は続き
普通にその人とも話ができた


事務方だけになり、ただ淡々と事務作業をする


わかっている。午前中のことはたいしたことない。
なんでもない。
あの人のいろいろな計算で、ただただ私を怒っただけ
よくわかっている


でも……
トイレに行ったり、車で事務用品を買いに出たりと一人になるたびに
なんだか涙が出てくる


「よし!やけ買いじゃ!」と景気良くスーパーへ
お好み焼き、お刺身、プリン、ヨーグルト……
自分のビールに父の日本酒


家に着くくらいから胸がムカムカ
吐き気と軽く腹痛


腹痛を押して「買ってきたおいしいもの」をテーブルに並べ
お酒の用意もして
父に「今日ね、かくかくしかじかで、こんなこと、あんなこと言われたんよ」と報告しながら
ビールを一口
お好み焼きを一口


………味が無い


うん………


上腹部が……痛い!  …とってもとっても痛い!
「父さん、座ってられん…、父さんは何でも飲んで食べて」と言いながら横になった

 

体がひどく熱い気がして熱を測ったら
34.6℃

ん? もう一回
やっぱり34.6℃

「……父ぉさぁああん……体温がぁ、、、無い。。。。」


「おぉ!あんたぁ、だんだん魚類になりょうるんかの」と父


……爬虫類って言わんかった父に感謝

 


外は暴風雨

雨樋から溢れる雨の音

家が鳴るほどの風

 

春の嵐じゃなぁ、、外も私の心も体も……

 

 

次の日
朝から何も食べられず
水を飲んでも吐きそうなので
薬も飲めず
痛みは左脇腹へと移動


これは、、、横行結腸と下向結腸じゃな…自分で分析しながら
午前中は頑張っていたけど
頑張りきれず午後から病院へ


「先生、かくかくしかじかで、こうで、ああで、あんなことがあって……」


「はい、はい、はい、はい、横になってね」


お腹をあっちこっち押してもらって
「うっ…吐いちゃいます(吐かんけど)…、ぎゃぁ~!そこ痛いです」


病院で熱を測ったら36.6℃


近頃の平熱が35℃を切っているのを話し
「腸炎」の病名と薬をもらって帰った

 

前日の会の資料を見るたびにお腹がゴロゴロする……
その日の日記を書こうとすると……気分が悪くなる
あの日の荷物を片付けようとすると……熱っぽくなる


結局全てを一部屋へ押し込んで
一日中その事務に関するものをシャットアウトしてすごした

 

 


今日、お腹は大分楽になった
熱も下がった様子
ただ上腹部に鉄の塊があるみたい


気持ちのいい朝なのに幸福感がこない
5時に起きた
朝ごはんを作る気が全く起こらない
ただただ7時半までテレビを見たりチラシを見たりしてすごす


父が来たので
しかたなくぼんやりと朝ごはんの準備を始める


朝ごはんの後も
何もする気が起きない


洗濯機を動かして庭のフェンスにすがって
ぼんやりと山を見る
新芽が白っぽくなったなぁ
父さんはこの状態を「山が麹色になった」と言うけど
なるほどね……


突然、甲高い鳥の声
ミヤマセキレイの縄張り主張の声
言葉に表すのは難しいけど
鋭角的なような…透き通った声


ミヤマセキレイ
黄が多めの黄緑と灰色のコントラスト
常に尻尾を上下に振っている
姉は勝手に「しっぽふり」と名づけている鳥


目の前の電信柱から電線へ
そして私がすがっているフェンスへ


つい横に来て
尖がったガラスのような声で鳴く

 

神様が来てくださった
そんな気がした


「神様、ありがとうございます」


風が吹いて八重桜が散った
辺り一帯が花びらまみれになった


「神様、ありがとうございます」


私は大丈夫
神様に抱きかかえてもらっている気がした…


私は、もう、あの場所には居ない!


私は、今、ここに“在る”んだから

 

 

怒られている私に
たくさんの人が助け舟を出してくださった(速攻で撃沈されていたけど)
終わってからの事務作業のとき
たくさんの人が私の肩に手を置いてくれた
たくさんの人が目を合わせてくれた
案外な人からも慰めの言葉をもらった


助け舟
肩に置かれた手の暖かさ
言葉にできない瞳にこめられ思い
たくさん受け取った

 

方向は見えてきたよね……大丈夫


腸炎の薬が無くなる頃には
全てを忘れる


春の嵐
荒れる春場所はもう終わり

 

 

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供花

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朝 お仏壇の花を替えた

 


庭先を歩きながら
いろんな花を切る


昨日は霧のような雨が降ったり止んだりのお天気
足元には水溜り

気持ちの良い湿度が体にまとわりついてくる

 


花たちは
葉の先に水滴をつけて
お日様の光を受けて本当に輝いている

 

朝のやわらかい日差しと
暖かいそよ風
その中で輝く花を切っていく


表わしようのないほど
儚くて幸福な時間

 

 

昨日やっと一輪だけ開いた八重桜
蕾は真っ赤なのに開くと薄いピンクになる
仏様に明日には開くであろう赤い蕾の枝を切った


水仙を5種類
友人がくれた変り咲きの水仙
彼女のイメージそのまま……


昔から我が家にある黄色の水仙


それから突然に我が家にやってきた麝香(じゃこう)水仙
名に違わず酔うような強い香り


そしてクリスマスローズ
3月の咲き始めは赤だったのに
今は薄いピンクの花色になった

 


お仏壇にお供え


でもね、私が庭で見た花の様子とはずいぶんと違う
切取ってしまった花は切花でしかなくなる


本来は
「仏様へ」とその花を「切る」時がお供えしているのかもしれない

 

 


仏様、ご先祖様、お母さん、ばあちゃん、
外はとっても気持ちが良いですよ
今、供えたどころではなく、花も草も瑞々しくて


小鳥たちが鳴いて
風が気持ち良くて


麝香水仙はとても良い香りでしょう
外の空気に香りの帯ができています


お仏壇の中ばかりじゃなくて
少し出てきてみられてはいかがですか…


本当に本当に気持ちが良いので

 

 

 

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カメムシ考

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すっかりの春を迎えて
我が家はものすごいカメムシ密度
正確に言えばもともと我が家で冬眠していたカメムシたちが
一斉に外へ出ようと物陰から出てきたというのが正解


5匹6匹ってはなしじゃない
10や20じゃない
200、300……それ以上だと思う


猫は逃げる
ツバメも捕らない

 

今、自分の視界に居るカメムシ
死んでいるのも数えると
65……まで数えてばからしくなった

 

 

昨日のお夕飯の時
空中をカメムシが旋回していた
床をカメムシが数匹前進していた

食卓の塩の蓋の上でも1匹固まっている

 


お風呂上りの父の数少ない髪の毛の上…


「父さん、頭にハットウジがついとるよ」と私

カメムシのことをこの辺りでハットウジと呼ぶ

 

「あ… あんたの肩のところへも留まっとるで」


お互いにカメムシを手で払って
何事もなかったようにご飯を食べる

 

 

 

今朝、父が「やったで!」と言いながら
ビニールの袋をもってきた


父「生きとるのを捕まえたんで、これでうるそうないで」


見ると8匹


「たった8匹くらいじゃ、いっそ変わらんよ」


「いいんや、だいぶ違うで」そう言いながら外へと持っていった

 

……なかなか帰って来ない


ようやく帰ってきたと思ったら
少し笑い顔


「どした? ハットウジが“じいちゃん、ありがとう”言うて飛んでいった?」と聞くと


「あんなら袋から出したら8匹そろってみな死んだふりをするんで…
 びっくりして死んだんか? 思うて見ようったらぼつぼつ動きだしたよ」

 


洗濯物を干そうと洗濯機を開けたら
洗った洗濯物の真ん中にカメムシが居た
「ありゃ、あんた……」
触ってみるとまだ生きていた
「あんたはすごいね。よく生きていたね」と草の上においた
父も一緒に見ている
これが我が家の“あたりまえ”なのだ


ご近所の家は
ペットボトルへ入れて蓋をしておくとか
紙袋へ入れて火を着けるとか
ガムテープで取ってそのままゴミへ出すとか……だけど


我が家は父も私も
“殺せない”
優しいからか意気地なしか偽善者かの判断はお神様に任せる
カメムシもそれを知ってか
隣近所よりもずっとたくさんのカメムシが冬眠する……らしい

(お隣さんが、我が家のカメムシを見て大声を上げていた)


生きて外へ出るのと我が家で死を迎えるものの割合は
圧倒的に後者が多い
ただ、敢えては殺せない

 

 

カメムシが害虫であることは知っている

このタイプのカメムシは草の茎に留まって汁を吸う

我が家のコスモスや鉢物へもいろんな種類が留まっていた

除虫は有りだが殺虫は……考える

 

 

 

 

カメムシを外へ出すために捕まえようとする

 

 

そうすると“これ”って目をつけたカメムシが逃げる
まだ、私が行動を起こす前なのに……不思議な虫なのだ

 

 

そしてたくさん手の中に入れる
そうすると“私も出して”っていう感じで
私のその手へ飛んでくるカメムシもいる

 

……不思議な不思議な虫なのだ

 


今年は昨年の秋からずっと
寒かったり暖かかったり
カメムシも冬眠したり起きたり
いつもの年よりも多く死んでしまったのかもしれない

 

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ブレッツェル

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今日は一日中春の雨

やわらかい雨音

 

春の雨って文字を打つと
文字から
音から
しあわせな気分がやってくる

 


姉を誘ってドイツのパン屋さんまでドライブ
パンが好きな友人へのプレゼント
行ったことのない所
姉の車のナビのお世話になる

 

 

 

 

蔵を改築したお店に到着

外までパンの焼けた香ばしいかおりが漂っている

 

「うちは買わん。店へもはいらん、ここで待っとる」と言っていた姉

 

良いにおいに誘われて
熱心な妹(私)に誘われて
しぶしぶって感じで一緒に行った

 

 


残念なことにブレッツェル以外すべて売り切れ


天然酵母のライ麦パンを思って行ったんだけど……
ブレッツェルの方がドイツっぽくていいかぁ……くらい思いながら姉を見ると
目が、、、
輝いている!!!


「あんた! あんたの用事の分だけ先に買いんさい!」と強い口調の姉


「…うん」と友人の分をチーズとプレーンを3つずつ購入


そうしたら残りが3個しか残らない


お店の人が
「大丈夫ですよ。今また焼きあがりましたよ」


「ほんじゃ、うちは、2つずつ!」と姉


私は…家用には父はプレーンを1個ずつとチーズは半分ずつじゃな。
あと一つは姉と帰りの車で食べよう……

「それじゃ、うちもプレーンとチーズを2つずつ」と私

 


お金を払ってお店を出ようとしたとき
「あ、今食べる用にもう一つください!」と姉
「…今食べる用にはうちが買うたけぇ、しゃあないよ」と私


「だめよ!あんたは父さんと2個ずつ食べんさい!一つ買うて車ん中で半分こしよう!」


いつもクールonクールの姉が
いつになく とても、とても、、、熱い……

 

 

ブレッツェルは焼きたての熱々を

直接無漂白の紙袋に入れてもらう
ビニール袋はない


胸に抱えると
両手と胸に感じる暖かい温度
紙袋の素朴な手触り
熱いブレッツェルと温まった紙の香り
思いもせずにやってくる幸福感


幸せって……
理由とか理屈なしに
突然やってくるよね

 

姉が買ってくれたプレッツェルを車の中で2人で食べた
車の中が香ばしいかおりでいっぱいになった

 

プレッツェルもおいしい
思いのほか熱かった姉の心意気もうれしい


は・る・の・あ・め…


この言葉にぴったりの
あたたかで
しっとりとやわらかで
ほこほことした一日

 

 

 

日向ぼっこ

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あんたら、こがなええ天気に何しょうるんね。 外へ出てみんさい!

 


父のベッドの上で丸くなっていた猫さん3匹に声をかける

うちの猫さんは4匹
父にはぼちぼち慣れて私にはなついていないココ
私にはぼちぼち慣れて父にはなついていないフウタ
今ひとつ人間に慣れていないヒナとシュウ

 

フウタを抱っこすると
残りの猫さん2匹はいっせいに外へ飛び出す

 

ヒナは「野良猫」時代が長かったせいかもしれないけど…

シュウが人間に慣れていないのは
妙な名前をつけてしまったせいかもしれん…と思う
右前足に前から見ると江戸時代に島送りになった人にする刺青のような模様がある
黒の2本線
父が一目見て「おまえはシュウじゃ、囚人のシュウじゃ」と命名してしまったのだ


そしてシュウ不思議な猫さんなのだ
妙に統率力がある
ハーメルンの笛の物語を彷彿させるほどみんなシュウについていく
さらに時々は人間にエサ!とか、扉!とかじゃない「何か」を訴えにくる
 にゃにゃにゃぁ ぎゃにゃ にゃぁ にゃぁぁぁ………全くわからん……のだ

 

 

お日様の下
イヌバシリでフウタを下ろすと
走って逃げるかと思いきや
私を見ながら
ノビ~~ィをしたり
ゴロンゴロンをしたり
ズリィ~をしたり……


飛び出したシュウもヒナも
イヌバシリでゴロンゴロンをはじめた

 


ココは早々に梅の木下でバードウォッチングをしていた
スズメにツバメにヒヨ


ココの傍に行って
「見るだけよ、捕ったらいけんよ。爪も出さんのんよ」と声をかける

 

さて、鉢物は…って家の東側
一番お日様が当たるところへ行ってみた

 

!!!!!

 


芽が出たばかりのマツモトセンノウの鉢
まだ生まれたばかりの赤ちゃんの芽
お水をやるのも気をつけてやっていた


シュウはその鉢の上で
ウトウトと気持ち良さそうにしている


私が近づく音に
半分だけ目を開け
またウトウト…


小さな鉢の上に
はみ出すほど大きな猫さんが座って
ウトウトしている図

 

あまりの脱力に
追うのも忘れて


そうじゃろうよねぇ


まだ芽は小さいけぇ 土の感触は気持ちええよねぇ
お日様が一番よく当たるけぇ本当に気持ちええもんねぇ

 

私が緩みきった顔で近づいていくと
カッと目を見開いてひとっ飛び


そしてまたゆっくりとノビィ~~ッ


そして人間もノビィィィ~~~~~ッ