歴史秘話ヒストリア~ついに登場吉原遊郭 | 「歳三梅いちりん~新選組吉原異聞」かれん

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23日のNHK「歴史秘話ヒストリア」が吉原遊郭についての放送でしたのでものすごく楽しみにしてました♪


スタートからあゆみアナの花魁姿が想像以上に綺麗で!(いやもちろんあゆみさんはお美しいのですが、白塗りが似合うかどうかはまた別でございます)ワクワクのスタートでした。


内容としてはとても楽しめましたよ。番組の補足説明を勝手にしますと、番組中では足の運びを「八の字」としてましたが吉原では「外八の字」です。島原では「内八の字」。


「外八の字」のほうが着物を勢いよく外側へ払うことができますから、白い足がもっと見えやすくなります。


画面を見てほーっと思ったのが座敷での宴会の様子です。花魁についていた禿のヘアスタイルがちゃんと結ってあって簪もたっぷり差してありました。


この再現はけっこうポイント高いです。吉原モノで費用がかかってるかそうでないか見分ける目安になるのがここですもん。


禿ちゃんの他にちゃんと振袖新造も付いてましたね。


3度目の指名で客の名前入りの箸袋が出てくるのですが、「梅いちりん」でも歳三さんの名前入りの箸袋が用意されてたのを覚えてらっしゃいますでしょうか。


蛇足でありますが、天保以降は吉原の大見世でもしきたりが簡略化されて床入りまで3回も通わなけれなならないということはなくなりました。


初会でも3回分の馴染み金を払えば、目出度く床入りとなります。


そういえば床入りのシーンがちょい惜しかったな。遣手が部屋から消えるときの「おしげりなまし」の言葉が欲しかった。


「おしげりなまし」「おしげりなんし」とは、「おしげる(お陰雨る)」からの言葉で


男女しめやかに物語するを外よりおシゲリぢゃといふ。しとやかにぬるると云意なるべし~「俚諺集覧(りげんしゅうらん)」より


ということだそうです。


あと、再現映像では仕方ないのですが、トップの花魁は籬の中で張見世をしません。あの格子の中に座って品定めの対象となることはないのですね。


そして刀を預かる習慣の紹介が大門の前で行われているような絵が出てきましたが、確かに大門横には四郎兵衛番所があるのですが、あそこでは刀は預かったりしません。


それぞれ見世に入るときに武士は刀を預けます。小柄のあるなしも見世側はちゃんとチェックします。


そんなこんなで欲をいえばのツッコミもありましたが、思わず声を出して突っ込んだことが最後の最後にありました。それは自分の作品にも関わってくるような大きな驚きでもありました。

安政二年の大地震のあと、親に死に別れた花魁が親との再会を願って功徳を積もうとお救い小屋に自分の笄や簪を金に変えて30両の金を寄付したことが紹介されてましたが、その花魁の名前をナレーションで「かおる」と言っておりました。


これは明らかに花魁「黛」のエピソードです。私がマンガで歳三さんと恋愛させた「黛」の美談です。


ひょっとして、当時は「黛」と書いて「かおる」と読んだのだろうかと青くなりました。マジでマジで。


私は作中、黛のことを「まゆずみ」といたしました。これがもし「まゆずみ」ではなくて「かおる」だったらエラいことになります。


新選組剣豪秘話でも「まゆずみ」とルビが振ってあるし、黛の浮世絵を紹介していた浮世絵研究家の先生のご本でも「まゆずみ」です。

ひょっとして薫のくずし字が黛に見えるのだろうかとも考えましたが、安政二年の佐野槌屋の吉原細見を見なおしても楷書でしっかり「黛」と書いてあります↓



「歳三梅いちりん~新選組吉原異聞」かれん-130126_0013~01.jpg

↓こちらは慶應二年(おそらくこの黛は件の黛ではなく、代変わりしていると思われます)


「歳三梅いちりん~新選組吉原異聞」かれん-安政二年黛


色々な可能性を考えて調べましたけど、「かおる」と読める方向が見えてきません。


黛の美談を紹介してある同時代史料は「安政見聞記」と「藤岡屋日記」があって、私は作品を描く前にこの二冊には当たりましたが、ひょっとしてそれ以外にルビが振られた史料があるのかもしれずで、これは素直にNHKヒストリアスタッフにその史料の名前を教えてもらおうと問い合わせのメールを出したのでした。


そしたらば、すぐにスタッフの方から丁重なお返事をいただきました。


結論からいえば、あれは「まゆずみ」で正解でありました。私のメールで調べなおしをしてくださったそうです。


30日の再放送では「まゆずみ」にして放送してくださるそうで、一安心でありました。


迅速な対応が嬉しかったです。さすがNHK様!ありがとうございます。


てゆーか本当によかった。事前の調査が足りなかったかと青くなったんだもん。そして今、何にあたっても「かおる」と読める史料が出てこないはずです。ちゃんと「まゆずみ」なんだもん。


あ、ついでに黛について書きますと、あの寄付した30両は客の元勘定奉行の孫から巻き上げ…プレゼントされたものです☆さっすが黛!


ますます「歴史秘話ヒストリア」が好きになったところで、気分がいいのでもひとつ吉原細見(コピー)の画像をサービスしちゃう。


慶應4年の稲本楼です。伊庭八郎の敵娼花魁小稲の名前が見えますね。


慶應4年(明治元年)といえば、本山小太郎が伊庭八郎に頼まれて小稲の元を訪れた年です。「よびだし」の位が横についてますね。


「歳三梅いちりん~新選組吉原異聞」かれん-mini_130124_1318.jpg



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