一票の格差 「無効判決」を受けて 都道府県枠を撤廃し、300小選挙区をゼロから区割りすべし | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

一票の格差 「無効判決」を受けて 都道府県枠を撤廃し、300小選挙区をゼロから区割りすべし

25日、広島高等裁判所で、昨年12月に行われた衆議院総選挙に関し、「無効」の判決が出ました。原告団もびっくり、ということだそうですが司法が立法府の不作為にしびれを切らした、等々、様々な見方が示されています。私自身の考えは前回の3月7日付ブログ「一票の格差判決 いったん、全てリセットしたら http://www.toshiro.jp/archives/2037.html」に考えをまとめています。端的に言えば、現行制度を維持するには「憲法を書き換えるか選挙基本法でも作り、過疎地域に議席を加重配分する」ことをせねばならない、と申しました。

ただ、憲法改正や選挙基本法は相当な労力を伴いますから、今の国会では早々簡単ではないでしょう。となると、抜本的な解決を、300小選挙区を維持しつつ行うには、「都道府県の枠を取り払う」のが合理的と考えます。

自民党の細田代議士が提起した現在の0増5減案は、細かい指摘はさておきますが、極めて恣意的です。もともと移行措置的と言われた、各都道府県に対する「一人別枠制」の考えを残し、「2倍以内に抑えればよい。そして、各県最低2人は残す。」というものです。細田代議士のお考えをつぶさに存じませんが、島根選出の代議士が、山陰地方であるご自身の島根県や鳥取県のことを、過剰に慮った案であると推察するのは、私だけではないはずです。

ここで「無効判決」まで出たわけですから、抜本的な区割り見直しが必要と私は考えます。そこで提起するのが、「都道府県の枠を取り払い、ブロックごとに小選挙区を配分する」というものです。

では、実際に配分すればどうなるか。300小選挙区とすれば、次のようになります。

北海道  小選挙区定数 13  一議席当たり人口423,570人
東北   小選挙区定数 22  一議席当たり人口424,347人
北関東  小選挙区定数33  一議席当たり人口429,699人
南関東  小選挙区定数38  一議席当たり人口424,413人
東京   小選挙区定数31  一議席当たり人口424,496人
北陸信越 小選挙区定数18  一議席当たり人口422,013人
東海   小選挙区定数35  一議席当たり人口431,749人
近畿   小選挙区定数49   一議席当たり人口426,595人
中国   小選挙区定数18   一議席当たり人口420,190人
四国   小選挙区定数9    一議席当たり人口441,920人
九州   小選挙区定数34   一議席当たり人口429,317人

この場合、ブロック毎の格差は1.0517倍となり、実際の区割りをした場合、大きくても1.1~2倍に格差は縮小されることになります。

一方で、都道府県ごとの選挙区ではありませんので、今の「兵庫7区」や「鳥取1区」というのはなくなり、「近畿第40選挙区」「中国第13選挙区」という形なります。

具体的に見れば、兵庫県の国調人口が5,588,133人、近畿の一議席当たり人口は426,595人ですから、小選挙区が兵庫県内に13.1区配分されます。私が活動してきた兵庫7区は、西宮市と芦屋市で554,582人(西宮市463,770人、芦屋市90,812人)ですから、西宮市一つでも大きいため、西宮市の一部が切りはなされた選挙区で、「新近畿X区」となります。
人口が最少の鳥取県(588,667人)とお隣の島根県(717,397人)は、中国の一議席当たり人口(420,190人)で割るとそれぞれ、1.4区、1.7区となります。よって、山陰地方で3つの選挙区プラス岡山or広島or山口に4万人余りがくっついた「新中国X区」ができることになります。

「お前の意見は、都道府県の枠を取り払うなど、地域性を考慮しない、とんでもない案だ。」という指摘もあるでしょう。ただ、立て続けに「無効判決」が出る中で、現行憲法の立てつけを維持し、小選挙区を維持するのだと、こうするのも一つの考えであることを、共有すべきだという考えです。

皆さんのご意見を頂ければ幸いです。

ちなみに、昨日の無効判決、裁判長は女性でしたね。男はここまで踏み込めない、さすが女性!、と思ったのは、私だけでしょうか。