心残りは、収入保険事業で十分な質疑ができなかったこと | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

心残りは、収入保険事業で十分な質疑ができなかったこと

 私の質疑の項目は、

(1)農業共済事業を補完する収入保険事業は、災害による減収等も含めて、農家の経営全体の収入の補てんを行うものであるため、コメ以外の作物の生産や加工・販売等への新しい挑戦についても収入を補てんするものであり評価できること

(2)しかし、全戸加入と一筆調査を制度の基本にしていた農業共済制度に比べて、個々人の判断で加入できる収入保険事業のねらいは、自由な生産・流通・販売を前提にしたものではないのか

(3)そのことは、国家戦略特区や農地中間管理機構で誕生している農外企業が農地を所有して農業経営に参入している「農地所有適格法人」も収入保険事業に加入できるということが如実に示しているといえること

(4)4年前に、必ずしも農業政策を承知していない民間経済人である産業競争力会議の農業分科会座長による「国によるコメの生産数量目標の配分を廃止する」との提言と、今回の収入保険事業の創設は関連しているのではないのか

(5)国によるコメの生産数量目標の配分が行われないということと、個々人の判断で加入できる収入保険事業が連動すると、農水省や自治体やJA等の努力にもかかわらず、米の需給緩和が生ずることになるのでないのか、それを放置しておくと、大混乱が生ずるので、そのためにもきちんとした在庫調整対策が必要だが、その仕組みをきちんと作るべきだ

(6)また、こうした需給緩和の中で、いたずらな集荷販売競争が激しくなり、様々な混乱が発生しかねないが、そのためにもコメの価格形成や現物取引の場が必要ではないのか

(7)ナラシ(収入減少影響緩和対策)の制度と並行して収入保険事業が実施されることとなるが、早晩、規制改革推進会議が、経営安定の要素が強いナラシに焦点を当てて、両事業の調整・再編を求めてくるのではないのか

 

 残念ながら、私の13日の質疑では、上記の前半部分の質疑で終わってしまいました。
 私自身は、収入保険事業の意義は認めつつも、地域の共同の礎になっていた農業共済事業から、個々人の判断で加入することができる収入保険は、自由な生産・流通・販売という競争の世界に入っていくことを前提にしたものでないのか。また、現行のナラシ対策と重なる部分が多いことから、規制改革推進会議が早晩、ナラシの制度の改廃を求めてくるのではないのか。さらに、4年前の規制改革推進会議の前身組織である産業競争力会議の農業分科会座長の提言に従って、国によるコメの生産数量目標の配分を来年産から行わないことと相まって、需給緩和が生じ、米価の低落と、いたずらな集荷販売競争が生ずるのではないのか、とする懸念を質しました。

 

 

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