圧倒的に必要なのは若い担い手の確保 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

圧倒的に必要なのは若い担い手の確保

 要は、この議論はまだまだ続くのだと思います。というのは、その背景に農業の担い手の高齢化という課題があるためです。特に、農水省が各国の農業従事者の年齢構成を比較して示した資料によると、日本は他国に比べて圧倒的に高齢化しており、なんと、65歳以上の割合は、フランスは3%、ドイツは9%なのに、日本は61%にも上っています。この表を見た議員からは、「こんなに高齢化しているのか」「これでは、日本の農業に展望はない」との発言が続きました。これを見せられたら国家戦略特区の経済界の面々も、多分総理も、日本の農業はこんなに弱いのかと受けとめ、それならばと企業の参入を大々的に打ち出してきたのではないかと思います。


 そこで私は、第二のテーマである担い手の育成と確保に関連した質問を行いました。

 すなわち、この資料のまとめ方は意図的なものではないかと質し、日本には、かつては隠居制度があったが今は無く、ヨーロッパにある高齢者に対する離農年金の制度も今は無くなっていることや、ヨーロッパには「農地は国王から預かったもの」として、一定年齢になると離農して町に住み替え、子供や近隣の農家や新規就農者に農地を譲り売却する慣習があることを指摘しました。日本にはそうしたことがないのであって、背景の違いの説明もなく単なる各国の比較を出しただけでは、ややもすると企業参入を推奨する資料となってしまいかねない、という指摘です。


 また、日本でも近年は、若い担い手を中心に相当規模を拡大しており、平均耕地面積は2.5ヘクタールですが、その一方で、20ヘクタール以上層の経営体による耕地面積は農地全体の37%を占めていることを指摘しました。それにしても、40歳未満の基幹的農業従事者は7万人程度であり、農業の常雇いの雇用者を加えても31万人程度に過ぎず、これでは将来の日本農業は大変な事態となってしまいます。何としても担い手を作り上げていかなければなりません。


 ところが、アベノミクスで一定の景気浮揚もあり、有効求人倍率は24年ぶりの高水準となり、失業率も低下する中で、農業高校卒業生の農業・林業関係への就職者は近年は5%程度しかなく、今年はさらに減少しているといいます。文部科学省に、どういう工夫があるのかを質しましたが、十分なやり取りが出来ませんでした。


 また、このことについては、JAにとっても重大事であり、今回の農協法の改正で農業重視の運営を求められているわけですが、JAが何らかの形でかかわっている農業生産法人は全国で500法人を上回っており、このうちもっぱらJAが出資した農業生産法人は192法人あり、さらにこのうちの39法人は、若い職員が農業技術や経営を学び新規に就農する取り組みを行っているのです。私としては、JAがこうした取り組みを行っていることをきちんと指摘し、大臣の評価を得ておきたかったのですが、時間がなくて残念ですが飛ばさざるを得ませんでした。



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