国を守る | 田母神俊雄オフィシャルブログ「志は高く、熱く燃える」Powered by Ameba

国を守る

「国を守る」とか言うと、特に若い人たちの中には抵抗を感ずる人がいるかもしれません。日本以外の国では、ごく普通に言われ、当然のことと認識されているこの言葉が、我が国においてのみ抵抗を感ずる人がいるのです。


戦後の学校教育において国家が国民を虐めるという左翼教育が続けられた結果、日本国民の中に日本の国家を敵視する人たちが多数おります。中国など、外国はいい国ばかりで我が国だけが悪い国だ、というわけです。それはいまや有力政治家や高級官僚や財界のリーダーたちにまで及んでいます。国家観、歴史観が崩れた人たちにリードされるわが国は国家の存立上極めて危ない局面に差し掛かっているのです。


しかし、これらのリーダーたちにはその自覚がありません。


国家の主要な活動は、国を守るための防衛や外交であり、その基盤の上に経済活動が成り立っているのです。しかし、わが国の政治の関心は経済にのみ集中しているようです。


国を守ることは、絶対に必要なことです。私たちは、外出するときや夜寝るときには家の戸締りをします。同じように国家にも戸締りが必要です。これが国を守るということです。我が国は、周囲を海に囲まれているため、我が国に侵入するには、海か空を経由することが必要です。現状では、航空自衛隊が我が国の空を監視しています。また、海上自衛隊海上保安庁が、わが国を取り巻く海を監視しています。従って外国の航空機や艦船が、無許可で我が国に近づくことは出来ません。


しかし、もし、これらの監視活動が行われないことになったら、万が一、新潟の港が外国船でいっぱいになっても日本の国がこれに気が付かないことがあり得るのです。日本の領空を、外国の戦闘機などが飛びまわっても気が付かないことが起こり得るのです。また、尖閣諸島などに外国人が上陸して生活を始めても、気が付かないことが起こり得ます。知らない間に、我が国の権益が失われてしまう可能性が高いのです。


我が国では国を守ることが必要かなどという議論が行われることがありますが、国を守る必要がないなどという理屈は始めから成り立たないのです。


また、国家はその経済力に応じて国を守る努力をすることが必要です。我が国では、よく大臣などが軍事大国にはならないと言うことがありますが、経済大国は軍事大国にならざるを得ないのです。


金持ちがきちんと戸締りをしなければ、犯罪を誘発することになります。経済大国が、それに見合った軍事努力をしないということは、地域の不安定要因を増すばかりです。我が国周辺では、中国などが猛烈な軍拡をしています。そういう中で我が国はずっと軍縮の方向で防衛予算の削減が行われています。これからは大きな国同士が戦争をするという可能性は極めて低いのですが、軍事力が弱いと外交交渉で相手国の要求を呑まされるだけになります。我が国はGNPに対して、0.8パーセントという防衛予算を使っていますが、これはイギリス、フランス、ドイツなどと比較して半分以下なのです。


国を守るためにはもちろんですが、国際社会の安定に貢献するためにも我が国は更なる防衛力の増強が必要です。