どんなに家事をがんばって、子供と一生懸命遊んでも、夫婦の気持ちがすれ違っていたらお互いに窮屈だ。夫婦が窮屈に感じていれば、子供だって窮屈だ。窮屈な家庭にいくら時間を投資してもリターンは目減りする。だから「こんなにやってるのに!」とお互いが思うようになる。単なる情報共有なら朝の出勤前や寝る前の5分、10分ですむけれど、お互いに感謝、不満を伝えようと思ったら子供のいないところで、しっかりと向き合う必要がある。
 あうんの呼吸でお互いの時間を合わせられる夫婦はいいだろう。でも、すれ違いが続き、一度そういう時間がなくなってしまうと、自然につくり出すことはますます難しくなる。そんなときには思い切って「金曜日の夜は子供たちが寝てから二人で飲もうよ」などと明確にスケジュールを押さえる必要がある。「何言ってるの?」などと怪訝な顔をされるかもしれないが、ひるんではいけない。「このところちゃんと話してなかっただろ。このままじゃいけないと思うんだ」と素直に伝えよう。慣れるまでは他愛もない話で30分もてばいい。テレビでも見ながら、なんとなく二人だけの時間が過ぎていくのでもいい。慣れてきたら、普段伝えられない感謝の言葉を伝えよう。そして、信頼関係が再確認できてきたら、不満も少しずつ伝えよう。喧嘩になるかもしれないが喧嘩の目的はその先にある相互理解だということを先に共有しておけば怖くない。いくつかの喧嘩を乗り越えたのちには、「打てば響く」ような家庭になっているはずだ。

*FQ JAPAN vol.14 written by Toshimasa Ota