[脳動脈瘤闘病記]63:白内障。 | オレ様のイイ文

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すっかりトラ毛のネコになってしまったオレ様が、世間にもう一度噛み付いてみる。

担当脳外科が重い腰を上げてくれた結果、それまで原因不明なんでだろーで
押し通していた眼科医の上役が診察をしてくれることになった。
個人的には春から異常申告しているので、もっと早く動いてくれよ、思う反面、
大病院の裏側の面倒さも知ってはいるので、感謝の思いも少々あったりする。

いつも通りの視力や眼圧といったルーチン検査を終え、診察を担当した医師は
年齢的には前担当と大差はないもののの、専門医特有のコミュ障的オーラを出しつつ、
検査結果の報告をしてきた。これも従来通り、検査結果だけみると視力低下の因子はない、
というルーチン的な解説。

しかし目視での診察が始まった刹那、「こりゃ、白内障だな。」と今までに聞かなかった
ワードを発して、もう一度モニターにうつる眼球部の拡大写真を凝視した。

白内障は60代以上での発症が一般的だが、稀に40代で発症することもあるらしい。
その割合は1000件の症例に10件以下、確率にして約1%。
説明によると、生活習慣や遺伝といったものではなく、単純に体質なのだそうだ。
体質であるからには、遠くない未来に今回の右目を追従するように左目にも症状が
現れる、ということである。
現在、年間に140万件の手術が行われており、医師曰く「虫歯の次くらい」の数らしい。

その他にもめまいの原因になる問題はあるようだが、手術をすれば視力が戻るとのことで、
できるだけ早いタイミングでの対応をお願いすることにした。
このまま経過観察を続けても仕事はおろか生活への支障が甚大化するだけである。

ただし、自分はレーシックの手術を10年ほど前に受けている関係から、

ここより専門のクリニックで診てもらった方が良いだろう、という判断で、

紹介状を書いてもらえることとなった。

病気になってホッとするというのも可笑しな感想だが、半年近く原因不明・日々状況悪化、
もしかしたら脳外的な致命傷なのか、はたまた未破裂の爆弾がついに悪さを始めたのか、
などとネガティブなイメージを巡らせていた状況に比べれば、スッキリ楽になった。

 

しかし若かりし頃公私ともに無理をしてきた代償とはいえ、40代に入ってからのシワ寄せは、
なかなかキレイな地獄絵図である。生きていくことの辛さと悲哀を日々味わっている。
世の中には、楽に生きて楽に死んでいく人間もゴマンといるというのに、神様というのは
公平に試練を与えてはくれないんだなァ、とボヤくことしきりである。