本編の構成(仮)[今回の記事は赤字部分]
はじめに 1 - 5
第一章 国について 6 - 7
第二章 愛について
第三章 国を愛することの美しさ
第四章 愛国の罪
第五章 国を離れるということ
第六章 国に望むこと
第七章 国への感謝
おわりに
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私が、一番日本という国家を意識したのは、海外に出る
時に手に入れたパスポートを、まじまじと見つめたときです。
そこで私は、国家の保護を受けていることを実感しました。
パスポートは、表紙に日本国旅券と書かれており、外務
大臣が、「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく
旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、
関係の諸官に要請する。」との一文が載っています。
それでなくても語学音痴の私は、いつも海外では心細い
想いをしています。ですから、仕事で訪れたインドネシアを
除いて、ツアー旅行の経験しかありません。
ツアー旅行なら、語学や地元の事情に詳しい添乗員が、
親切に案内してくれます。ただ、それでも逸(はぐ)れてしま
う可能性だってあるのです。
そのような時に役に立つのがパスポートです。日本国が、
私の安全を要請してくれるのです。私は、これ以上に国の
頼もしさを意識したことがありません。
二年先になりますが、海外へ取材旅行をするには、この
パスポートを頼りにしなければなりません。海外で客死す
るわけには行かないのです。
けれども、この感覚は功利的なものです。とても、国を愛
する者の態度ではありません。少なくとも、私が国を愛する
のは、パスポートによる保証の故ではないようです。