まず、会場に入る前に、控室で解説が行われました。説明役

は、私がお香に興味を持つきっかけとなった講座の講師を務め、

とても素敵なお話をしてくださった、香老舗松栄堂主人の畑正高

先生でした。


 「聞香が初めての方はいらっしゃいますか?」


 12名ほどいた参加者の中で、私を含めて、かなりの人が手を

挙げたように感じました。何しろ聞香というものに逸り立っていた

私は、一番に受付を済ませると最前列で畏まっていました。それ

で私は、手を挙げた人を数えることができなかったのです。


 「今日は、皆さんに志野流の組香(くみこう)というものを体験して

いただきます。今回は単純な組香で、ABCと三種類のお香を準備

しました。その内の二種類の香を聞いて(嗅いで)いただいて、次に

出されるお香がどれかを当てていただくのです。当てるのが目的で

はなく、その過程で日本文化を味わっていただければと思います。」


[ご参考] 本格的な組香の解説です。少し複雑です。

http://www33.ocn.ne.jp/~kazz921/kumiko/kumiko.html


 とてもわかりやすい説明でした。つまり、最初をA次をBとすれば、

問題となるお香がAだったと思えばA、Bだったと思えばB、どちら

でもなければCだというのです。

 負けず嫌いの私は、そのように言われると、どうしても当ててやろ

うと思ってしまう悪癖があります。目的が平安貴族の雅を体験する

ことを、つい、忘れてしまうのです。


 資料としていただいた「志野流香席組香解説書」には、「香道は、

一定の作法のもとに香木をたき、立ち上る香気の異同によって古典

的な詩歌や故事、情景を鑑賞する文学性、精神性の高い芸道です。
茶道と華道と共に日本三芸道と呼ばれ、それぞれに深く影響し合っ

ています。香道では、香りを『かぐ』とはいわず『聞く』と表現します。」

と書いてありました。


<お断り>直接話法にしている部分は便宜上のものです。従って、実際に

       おっしゃった言葉通りではありません。私の貧しい記憶力では、

       おっしゃったことを、そのまま再現することができないのです。