こんにちは
今週は雨模様のようです
気温が高い日は
まだまだ夏の服装になりますが
夕暮れの時間が早くなり
秋になってきたのを感じます
今日は、中川先生から
恐竜の巨大化(その2)をお話しして頂きます
三畳紀が終り,ジュラ紀になると火山活動が活発になり,盛んに二酸化炭素を吹き出し,温暖化しました。豊富な二酸化炭素を使って植物も生い茂り,直径10m,高さ30mにも及ぶ巨大シダ林や裸子植物の森ができていました。これに連れて酸素濃度も上がっていきました。
低酸素時代に開発した「気のうシテスム」は高酸素時代になると,余分なエネルギーを産み出し,恐竜はこれを巨大化につかったのではないかという意見があります。
まず巨大化したのは植物食恐竜(竜脚類)です。シダ植物や裸子植物は栄養分が少なく大量の植物を食べなければなりませんでした。彼らは頑丈な歯で,葉や枝など硬い植物をすりつぶしながら食べていましたが,それでも足りず胃の中に石を飲み込んで,石で磨りつぶしていました。この石を胃石といいます。大量の植物を消化するために消化器官を大きくしなければなりませんでした。
図2はジュラ紀後期北アメリカに棲息したアパトサウルスの成長曲線です。成長は一年の中でも夏冬の時期によって速さが違い,それが木の年輪のように骨の成長線として残ります。その成長線から体重の推移を推定したのが図2です。
図2 恐竜成長曲線
アパトサウルスは30cmほどで産まれます。最初の5年ほどはそれ程大きくはなりません。そして1tを超えた5歳頃から12歳ごろまでの間に急激に大きくなります。最大で1年間に5.5tも成長したという計算になります。これは1日に15kgという驚異的な成長速度です。そして15歳ころには25tに達します。寿命は45年ほどとされています。それにしても一体どれだけの植物を食べれば1日15kgも太れるのでしょうか。またそれを支える大森林が当時の北アメリカにはあったということになります。
ジュラ紀後期植物食恐竜(竜脚類)は肉食恐竜から身を守るために巨大化しはじめたという意見があります。そして植物食恐竜の大型化につれて肉食恐竜も大型化します。大型肉食恐竜に襲われないために,草食恐竜はさらに大型化するといった軍拡競争が始まったのではないでしょうか。
ジュラ紀の初め(1億9900万年前)から白亜紀末(6500万年前)まで,この間の約1億3000万年が恐竜王国の栄えた期間です。白亜紀末の巨大隕石衝突によって恐竜王国が一夜にして滅んだ後,1500万年から2000万年の間巨鳥の時代が続きます。我々哺乳類はその後に繁栄してきたわけですから,まだわずか4000万年ほどです。恐竜王国の半分にも満たないのです。いかに恐竜時代が長かったかが,よくわかります。
図2はNewton 別冊2012. 8. 10号,(株)ニュートンプレス から引用しました。