「砂の器」 | シマ猫弾薬庫/紛争まっただ中

「砂の器」

        08-06-06



「砂の器」


1974年 松竹 原作 松本清張 

監督 

野村芳太郎 

出演 

加藤剛 

丹波哲朗 

加藤嘉 

緒方拳



清張さんが、お亡くなりになった時に、民放各社が


「TV映画」でいろんな作品を放映したが、この映画に及ぶものはなかった。


2004年に中居君主演で作られたドラマ、ほぼ原作に近いものだったが


なかなかに力作だったかな?


この松竹版の映画は、清張さんみずからが


「原作を超えた素晴らしい作品」とおっしゃった作品である。


推理小説が元になっているが「人間ドラマ」として橋本忍さんが脚本を担当した。

 

 本浦千代吉と、その息子秀夫が3歳の時、母親は実家へ帰り、 続いて6歳の時、二人は故郷を捨て巡礼に出る。


峠から、村を見下ろす。「もはや帰る事のかなわない」村を。


 20数年後の夏。 真面目で『人一倍人情に厚い』元警察官三木健一は伊勢神宮参拝に出かけ、


お伊勢参りを果たしたあと、何故か東京にある国鉄の蒲田操車場で殺される。


姿を消した銀座のクラブの女は、中央線の電車から「紙吹雪」を散らし


彼女の愛人で有名な「若手音楽家」和賀英良は制作中の大作に「 宿命」という タイトルをつけた。


警視庁蒲田署の敏腕刑事今西が、解きほぐした運命の糸の先にある


哀しすぎる事実とは…。


( ̄ー ̄)

『彼に母親を去らせ、彼ら二人に故郷まで捨てさせたものは何でありました でしょうか。それは…』


 千代吉は、病んでいた。直る見込みのない病である。


伝染性がある。そのため、「世の中のすべてから」追い立てられる。


放浪のはての村では、入村を拒まれる事もある。(当時の自治体長の権限)。


 同行する息子の名は秀夫。僅か6歳の彼が経験するもの。


 冬、岬の祠は凍てつく風に揉まれ、吹雪に耐える。


春、桜の木の下では、子供達に「乞食」と追われる。


 戸口で托鉢の鈴を鳴らしても、姿を見せない家。


お布施のお米を持ってきても、 父の姿を見た途端、慌てて戸を閉ざす女性。


倒れそうになって辿り着いたのは、「亀嵩」。


親切な巡査に保護される。


息子の将来を案じる巡査の説得で父は「伝染病の療養所」へ。


2人の永遠の別れとなる厚い抱擁が、亀嵩駅で交わされる。


養父となった三木巡査の元をはなれ、戦後の戸籍詐称で別の人生を「送ろうとする」秀夫。


 三木元巡査は、伊勢の地で「成功をおさめている」秀夫の写真を見つける。


そして「和賀英良」となった秀夫に『父との再会』を説得する・・。


「父」は生きていたのだ。


『訪問した刑事』に


(`д´)「こんな人知らねいだー!!」と息子をかばう。


父は「子との絆」を自ら、切らねばならなかった。


 コンサートホール。既に逮捕状の出ている和賀=秀夫は完成した交響曲を 演奏する。


「宿命」と名付けられたその音楽を通して、彼は自らの 半生を振り返り


その音楽を通して「父」に会い、自らの哀しい宿命の哀しい結末を受け入れた・・・・。


 「業の病」とまで言われた「ハンセン氏病」。


『治療法』が確立されて、かなりたった最近にやっと「保護法」が改正された。


父の病による差別のために「けっして望まない殺人」までにいたった、秀夫の背負った「宿命」。


『父と子』の絆は、あまりにも重すぎる。


*音楽が最高にすばらしいです。交響曲「宿命」は当時「サントラ」を購入しました。


ってCD出てるのかな??