話題の映画「沈黙」です。遠藤周作の原作。残虐なシーンの連続で、見るのはかなり苦しいけれど、とても真剣に、良心をもって制作された作品だということはよくわかるし、画面にくぎ付け状態でした。
江戸初期のキリシタン弾圧の物語、棄教を迫る拷問、裏切り、日本にキリスト教が根付かない、という奉行「イノウエサマ」の理論には納得しそうになっちゃった・・・って、そういう問題ではないのですけれど。
が・・・高校生時代に原作を読んだ時にはあれほど感動したはずなのに、今回登場人物の誰にも共感できなかったのは、映画のせいじゃなくて、大人になって世俗にまみれたせいですね汗しいていえば、弱さの象徴「キチジロー」が近いかも。それでも、裏切りを繰り返しても信仰を捨てきれない彼を理解するのは難しい。私には、信仰という大いなる信念と、目の前の命、どっちを守るのはてなマークという苦しみ自体が理解できないんだわ。
それと一つだけ映画について言うのなら、迫害に抗して棄教を拒む貧しい信者たちの「信仰」が根ざすものは何なのか。年貢や苦役の苦しい現実、というだけではない何があるのか・・・という訳で、無信心の私の理解を超えた、壮大な作品でありました。