物語はいよいよクライマックス。


謎の男の登場に、物語はいよいよ混迷を深めてまいります。(^ω^)




【登場人物】


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 設定資料
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【おはなし】


以下の続き。


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その9
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◇ 旅館「東野」の男用の露天風呂。


旅館東野に飛び込んできた謎の男。


突然の男の登場に慌てふためく服部さん。


服部 「おお、あなたは。どうしてここに。」


男 「どうしても、こうしても、ないわよ。


お話したいことがあって、探していたのだけど、一向に捕まらなくて。


今日一日、あなたのことを、ずっと探していたのよ。」


服部 「そうでしたか。


連絡がつかず、申し訳ございませんでした。


あらかじめ、仰ってくださっておれば、お迎えにあがりましたものを。」


男 「ようやく会えてよかったわ。


それにしても、服部さん。


今回の件ですけど、一体、何をやってらっしゃるの。」


服部 「おお、その件ですか。


先生からせっかくのご依頼を受けながら、なかなか思うように進展しておらず、重ねて申し訳ございません。」


謎の男に、手もみをしながら、ひたすら低姿勢で謝り続ける服部。




上の服部が謎の男にひたすらぺこぺこしているのを東野の人たちが遠くから見ている。


東野主人 「何でえ、あのオッサンは。」


合田番頭 「さあ、知りまへん。


せやけど、何やら、服部の野郎、あのオッチャンにやたらとぺこぺこしてますね。


あんなヤクザ者でも頭が上がらない人がいるんですね。


いつもの威勢のよさはどこへいったのやら。ハハハ。」


みんなで服部を見て、くすくす笑う。




謎の男にぺこぺこしながら、東野の連中に笑われていることに気がつく服部さん。


慌てて、恥ずかしそうに、怒鳴りつける。


服部 「おう、てめえら、人のことを見て、何、笑ってやがんだ。」


合田番頭 「(東野主人とさやかに向かって) だって、おかしいんやもんな。」


頷くさやかと東野主人。


服部 「てめえらなあ、このお方のことを知らねえから、そんな風に笑ってられんだ。


あのなあ、てめえら。


こちらにおわすお方をどなたと心得るんだ。


このお方こそ、黒岩ホテルグループの総帥にして、県議会議員、黒岩源一郎先生、その方なるぞ。」


東野主人 「黒岩ホテルグループの総帥・・・?」


合田番頭 「県議会議員の・・・、」


さやか 「黒岩、源一郎、先生・・・?」


合田番頭 「ほな、アレが、あの、うちの旅館の乗っ取りを企んどるっちゅう・・・。」


顔を見合わせる東野の人たち。




服部 「黒岩先生のご前なるぞ。頭が高ーい。


控えい、控えい、


控えおろー。」


やけになって叫ぶ服部さん。




東野の人たちが、よく分からないまま、全員そろって、ひざまづく。


東野の人たち 「(土下座しながら) ははー。」


(↑権力に弱い人たち。)




画面奥の一段高いところに、蛾邪郎、服部、黒岩、とん吉の順に並んで立っている。


画面手前に東野の人たちが二列に並んで正座している。


前列にさやか、東野主人、合田。後列(画面手前)に小松ら、4人の従業員たち。


画面右手にカメラマンらが立ったまま整列している。




ひと段落して、蛾邪郎が胸にぶら下げている木札を印籠のように握って、前に突き出そうとするが、服部に頭をひっぱたかれる。


服部 「余計なこと、すんじゃねえ。」


蛾邪郎 「ヘイ。」


蛾邪郎が、真面目な顔をして、手を引っ込める。




ひと段落ついて。


黒岩 「ところで、服部さん。


私が以前からお願いしている、こちらの温泉街、ならびにこちらの旅館の復興支援計画の件、どうなっているの。」


(合田番頭 「(つぶやくように) 何が復興支援計画や。


安く買い叩いて、黒岩グループのモンにしようとしてるくせしやがって。」)


黒岩 「何の進展もないから、ずっと心配になっていて。


今日はそのお話をお伺いさせていただこうと思っていたのよ。」


服部 「おお、その件はですなあ。


誠心誠意を持って、以前から取り組んではおるのですが、


(東野の人たちの方を見ながら)


何しろ、あそこにいる東野の連中はですなあ、


貧乏が骨の髄まで沁みたような奴らでして。


(さやか 「何ですって。」)


先生のありがたーいご厚志をですなあ、


この服部が、何度も足を運んで伝えておるのにですなあ、


あれやこれやと難癖をつけては、条件を吊り上げようとするばかりでして、


一向に耳を貸そうとはせんのですわ。


私もほとほと困り果てておる次第なんですよ。」




東野主人 「(仲間内で) おいおい、服部の野郎、


言いたいこと、言ってくれるじゃねえか。」


頷く東野の人たち。




黒岩 「(周りを見渡しながら) ところで、こちらにいらっしゃる皆さんはどうしたの。


このカメラマンの人たちは一体・・・。


それに、そこにいらっしゃるお嬢さんはどうして、水着姿なんかになっていらっしゃるの。」


顔を見合わせるさやかたち。


服部 「ウホン、ウホン。 それはですなあ、


この鬼根川の川底に勝るとも劣らない、深ーい事情がありまして、ですなあ。」


黒岩 「そうなの。」


そのとき、一人の若い男が飛び込んでくる。


黒岩 「あら、あなたは。」



(以下に続く)


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その11
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