ダンジョン飯 1巻
九井諒子
エンターブレインビームコミックス

食うか食われるか
そこには上も下もなく
ただひたすらに
食は生の特権であった




竜の学校は山の上』(80点)、『竜のかわいい七つの子』 80点)、『ひきだしにテラリウム』(80点)と、これまで三冊の短篇集を刊行し、そのどれもがスマッッシュヒットだった九井諒子先生の新作・初長編。
それだけでも高まりますし、マストなのですが……

その内容がまた、九井諒子先生お得意のファンタジー世界を舞台にした、タイトル通りの「ダンジョングルメ漫画」ということで!
そんなすばらなことはありません!

西洋ファンタジー世界の美味しそうなご飯と言えば、『フォーチュンクエスト』。
猪鹿亭の定食とか、パステルのお料理メモのレシピとか、その未知の食材を使った味に想いを馳せたものでした。

そんな、架空の世界での料理に興味がある方には正にうってつけなのが今作。


{7D32A948-CCC0-4814-966E-4EC9A5178FC3:01}

戦士であるライオスは、ダンジョンの最深部でレッドドラゴンとの戦闘に空腹が原因で敗退。
命からがら脱出するも、弟のファリンは捕食されてしまっていた。
不幸中の幸いでレッドドラゴンの消化は非常に遅いので、まだ救助は間に合うと再びダンジョンに乗り込もうとする。
が、金欠で装備を整えることも食事すらもままならない彼らは、ダンジョンで魔物を食べることに――

人間の戦士ライオス、エルフの魔法使いマルシル、ハーフフットのチルチェック。
キャラの立った三人パーティは、ダンジョン飯の求道者であるドワーフのセンシに出会い、未知の味を探求していきます。


{00944543-9648-4A34-A2D1-37FF22E497F1:01}

RPGでも最もメジャーなモンスター、スライムはこうして食べる!
スターオーシャンシリーズではスライムゼリーという食べ物もありますが、味を想像すると……
でも一度は食べてみたいですね。

モンスターを食べることに抵抗のあるマルシルのリアクションも見所の一つ。


{AA1633CF-7968-43CC-A8C9-CAA0494B3F1D:01}

大サソリ、マンドレイク、バジリスク……
メジャーなモンスターが次々と美味しそうに調理されてい行きます

挙句の果てにはうごく鎧まで……!?
流石のドワーフも食べられないだろうと断じるうごく鎧、一体どのようにして料理するかは是非本編にて。


{5930E367-477E-4874-B26E-8BF60FDE4469:01}

時には、ダンジョン内の罠を活用して調理します。
宝箱から吹き出す油を採取!
落ちて来るオノで肉を切断!

使えるものは何でも使い、食べられるものは何でも食べる。
究極のサバイバルがここにあります。

バジリスクのロースト肉、食べてみたいなぁ……

九井諒子先生らしい、世界観のリアリティの作り方を感じます。
マンドレイクの抜き方を記した本などが良いですね。

純粋なエンターテインメントとしての側面が強く、短編にあったような文学的なテーマ性は薄いので人によっては物足りなく感じるかもしれませんが……。


ファンタジーやRPGが好きな方、食マンガが好きな方、あるいはその両方が好きな方に自信を持ってオススメできる異色作です。


75点。