ミサイルとプランクトン1巻
原作:田中ロミオ 漫画:筒井大志

私たちは皆物理的に曖昧な
意識と念力の存在でしかないのだ


この世界で、最高に面白い物語体験を求め続けた時に辿り着く極致は、ヴィジュアルノベルだと個人的に思っています。
その中でも田中ロミオという名前はとりわけ燦然と輝く存在です。
私の人生史上で一番凄いと思ったノベル系ゲームは田中ロミオさんの『最果てのイマ』。
『CROSS†CHANNEL』も勿論秀逸なのですが、『イマ』は更に一線を大きく踏み越えてしまっている作品です。
普通の人にオススメできるタイプではないですが、兎にも角にも凄まじい。凄まじ過ぎる。

そんな、田中ロミオさんが初めて漫画原作を手掛けたのがこちら。

王雀孫さんの小説『始まらない終末戦争と終わってる私らの青春活劇』も同時発売ということで、紳士ゲーム愛好者は最高に昂ぶる日でした。

作画は、『エスプリト』や『IDOROLL』の筒井大志先生。
可愛い女の子には定評があります。

それはもう楽しみにしていた訳ですた が、読んでその流石さに膝を打ちました。
おおロミオ、あなたはやはりロミオなのね!


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ヒロインの達子祥は、ミサイル部の副部長。
美人で頭脳明晰で、皆から憧れられる存在。


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祥は部長である青海翔太に密かに想いを寄せていたが、ある日謎の美少女が現れて……

という説明の仕方だと、テンプレ青春ラブコメのようですが、実際に読んで貰うと解る通りの田中ロミオ節全開です。

祥に隠された秘密。
そして、


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この世界の秘密。

普通の学園生活に見せかけながらも、どこか違和感を感じさせて進行するソレは、『クロチャン』の序盤を思わせます。


この、如何にも田中ロミオらしい危うさと同居するスケールある世界観が素敵です。
ただ、設定が以前自分で考えていた物語と酷似していたので、名状し難い気分になりましたが……

群像劇の形を取っており、この世界の中で生きる多様な人間の在り方に何ともいえない味わいを感じつつ楽しめます。

ロミオファンは勿論、異質で面白い作品を探している方にもオススメです。


75点。