僕だけがいない街 1巻2巻3巻
三部けい

俺は
未来を変えたい


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ビッグガンガンで『STEAL AND DEAD』を連載中の三部けい先生の、ヤングエースでのもう一つの連載作。

荒木飛呂彦先生の元アシスタントで、荒木先生の書いた「三部さん、JOJOの三部を手伝ってくれてありがとう」という帯で話題になった(笑)作品。

しかし、その面白さは確かなもので、「俺マン2013」でも45票獲得の7位と、並み居る作品の中でも際立った存在感を見せていました。

タイトル的にもジャンル的にも荒木先生ファン的にも興味がありつつも、店頭で見掛ける機会が少なくスルーしてしまっておりましたが……
何とか購入して読めた矢先、月末までの角川70%オフセールでkindle版が非常にお求め易くなっています(笑)
既巻3冊でほぼワンコインですが、それ以上の価値はあるのでとてもお薦めです。

久しぶりに「早く、早く続きを……!」という強い飢餓感を感じた作品でした。
2巻から本格的に面白くなって来るので、とりあえず2巻まで一気に読んで頂ければ同じ気持になって頂けるかと思います。





主人公は、漫画家でありながら売れずにピザの宅配アルバイトで糊口をしのぐ28歳の青年・藤沼悟。
彼は、自分の意志と無関係に時間が巻き戻る体質、「再上映(リバイバル)」を持っていた――

そんな彼が、急激にとある事件に巻き込まれて行く様を描かれます。

起こってしまった凄惨な事件。
しかし彼は「再上映」により、やり直すことが可能。
果たして悟は現実を改変することができるのか……

『シュタインズゲート』のようなタイムリープサスペンスの醍醐味が詰まった作品です。




事件の核心に迫る鍵は、悟が小学5年生の時に起きた連続誘拐殺人事件。
失踪した同級生の雛月加代や、親しくしていた大学生のユウキさん、そして大人たち。

事件の真相は、一体どこにあるのか……
千々に散りばめられたパズルのピースは、どのような真実を形作っていくのか……

様々な人物の思惑、感情が交錯する上質のサスペンスです。
えげつない状況に追い込まれてこそ、人の言葉や有り難みが余計に沁みます。
小学生時代の加代とのやり取りが、何気ない一挙一投足まで含めて良いですねぇ。

『ジョジョ』のアシスタントだったと言われると、とても納得します。




余談ですが、巻末のオマケ漫画も面白く、特に荒木先生のアシスタント時代のエピソードを描いたものはジョジョファン必見。
三部先生は2~5部の時代にスタッフだったそうです。
例の帯についての裏話も。


これからの展開次第で作品全体の評価も大きく変動するでしょうが、今の所はとても面白いです。

とにかく、毎巻の引きが良すぎて悪意すら感じます(笑)
早く……早く4巻を……!

サスペンスが好きな方は是非。


75点。