※最新話のネタバレが1コマありますので、コミックス派の方は、お気を付け下さい


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サカルトヴェロのネリー・ヴィルサラーゼ選手。

サカルトヴェロというと普通はあまり馴染みがないと思いますが、熱心な咲-Saki-ファンならご存知のことでしょう。
グルジアの公用語であるグルジア語で、グルジアの事を指します。
日本語における日本、ドイツ語におけるDeutsch(ドイチュ)などと同義ですね。

グルジアは南コーカサス地方に位置、黒海に面し、北はロシア、南はトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと隣接する西アジア西端、東ヨーロッパに含まれる事もある国。
http://goo.gl/maps/M5qbY (GoogleMap)

地政学的には古代から大陸の要衝として多民族が入り乱れ、今なお様々な緊張に晒される国です。
アルケメネス朝ペルシャに始まり、ローマ、アラブ、セルジューク朝、東ローマ帝国、モンゴル帝国、ティムール朝、黒羊朝、サファヴィー朝、オスマン帝国、ロシア帝国、ソ連と様々な民族の紛争の下で長らく支配を受けてきた歴史を持ちます。

特に、今なおロシアとの紛争問題があるグルジアでは、10年前に第二外国語がロシア語から英語となり、ロシア式のグルジアという呼び方は止めて英語式のジョージアと欲しいと提言している経緯があるそうです。
聡明な小林立先生も、それを配慮して敢えてサカルトヴェロという呼称を選んだものと思われます。

【World Watch】嫌露のグルジア 「ジョージア」と呼んで
つい先月付のこちらの記事を読むと、様々な歴史的な立ち位置が解ります。

90年代初頭までロシアに占領支配されていたという認識を持ち、2008年にもロシアと武力衝突、現在もロシアとの国境には国境警備隊が24時間体制で防衛に当たっているという、平和な日本からするとまるで違う現実のある国です。
400万人の国民の内、実に30万人が避難民だといいます。
日本に換算すれば1000万人近い人々が避難民となっているような物で、数字からも厳しい現状が解ります。


そこで、ネリー・ヴィルサラーゼちゃん。
彼女は、登場する度にお金に執着を見せてきました。


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しきりにスポンサーを気にするネリーちゃん。

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コロンはコスタリカやエルサルバドルで使われる通貨単位。
サカルトヴェロ出身なのによくそんな事まで知ってますね。

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「こんなにできるのになんで日本に? お金?」
というセリフからは、逆に日本の麻雀界スポンサーは少なくとも中国よりは金払いが良いという事実を示唆しています。
現実でいう、メジャーリーグベースボールのようなものでしょうか。

守銭奴キャラが急激に定着して来たネリーちゃん。


しかし、今日発売のヤングガンガン掲載の121局で出て来たこのセリフで、大きな転機を迎えました。

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「ネリーはお金がいるの」

ネリーは、お金が必要。
ただ単に欲しているのではなく、「いるの」というニュアンス。
それはきっと、個人的な欲望ではないでしょう。
恐らくは、複雑な情勢にあるグルジアにいる家族の為。
自分に与えられた麻雀の才能を活かせば、衣食住にすら喘いでいるかもしれない家族に楽をさせてあげられる、となれば。
祖国の家族と離れ、遠く異国の地に来てまで、使命感を持って戦うという運命の奏者ともなるのでしょう。
食べる物にも困った地域の子供が球蹴りに才能を見出され、プロサッカー選手となって故国のや家族に出資するように。

奇しくも同じチームの、早くに父親を亡くし母親を楽にするために戦う雀明華さんに近いものがあります(その辺をネタにして臨海SSが書けそうですね。残るメガン・ダヴァンさんは何を背負っているのでしょうか)。


又、違う視点から見てみると、サカルトヴェロの国旗は

グルジアの旗

中央の赤十字は、サカルトヴェロの守護聖人である聖ゲオルギウスのシンボル。
国名の由来もそこから来ています。
そして、四つの小さな赤十字は、4人の福音書記者、聖マタイ・聖マルコ・聖ルカ・聖ヨハネを表しているそう。
これらが示す通り、純粋なサカルトヴェロの人々の主たる宗教はキリスト教のグルジア正教。

おや、キリスト教といえば?
そう、有珠山高校ですっ☆

その中でも、とりわけ聖書を暗誦できて信心深そうなのが真屋由暉子さん。
まさに、ネリーと大将戦で当たる相手なのです。
ネリーがキリスト教を信仰しているかは判りませんが、そんな部分の構図ももしかしたら描かれるかもしれません。
『Fatalizer』では、作品の名を関する「運命奏者」という能力を持つ者として描かれる予定でしたが、果たして『咲-Saki-』ではどのような能力者として描かれるのか。



更に、ネリーの着ている奇抜な衣装。
国広一くん等を見ていると最早特に違和感も覚えなくなっていますが……

ファンタジー過ぎるグルジアの民族衣装 【ナウシカの元ネタ!?】
こんな記事もあるように、コーカサス地方には独特の服飾文化が存在するようです。
この中では、ネリーの着ている服そのもののようなタイプの物は見つからなかったですが、雰囲気としてはあってもおかしくないな、と感じました。


咲-Saki-を通して、私は聖地巡礼を行い、行動範囲が広がることによって様々な地方のことを学んできました。
その範囲は更に広がり、あまり知らなかった国の事も学べる、これはとてもすばらな事です。
是非、小林立先生の言う「次の次のその次くらい」、希望的観測としては、個人戦の次の国民麻雀大会の次の世界戦、そこまでやって頂ければ。
ブルーメンタール姉妹やニーマン、そして世界ランク一位の王者なども出して頂き、なおかつ魅力的な各国のキャラを出して頂ければ。
ますます咲-Saki-で学べる地理と世界史の範囲も増えてすてきです。