十 ~忍法魔界転生~
漫画:せがわまさき、原作:山田風太郎

徳川
滅ぶべし


「バジリスク ~甲賀忍法帖~」の山田風太郎×せがわまさきコラボレーション再び!
そして、その題材は忍法帖シリーズ最高傑作として名高い「魔界転生」!!
これはテンションが上がらずにはいられません!

かつては石川賢先生なども漫画化したこの作品。
せがわまさき先生によってどのように描かれていくかとても楽しみでした。

読んでみて、高い画力で描かれる人物の魅力と表情の迫力は流石だと思いました。


島原の乱で命を落とした天草四郎時貞。

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せがわまさき先生の天草四郎、可愛いです。

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そんな天草四郎が、同じく争乱の中で死んだと思われていた森宗意軒による秘術「魔界転生」により、復活を遂げる。
それを目の当たりにした由井正雪は、宗意軒と共に江戸幕府を転覆させる企図に参画する――


「魔界転生」によって蘇らせるのは、名だたる有名人ばかり。
ある意味で「Fate」や「ドリフターズ」の原点でもありますね。

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そして、伝説の剣豪・宮本武蔵もその一人。
お通の名を呼ぶ武蔵には、「宮本武蔵」「バガボンド」を彷彿とさせられます。
朧殿のようで、いと美しいです。
黒髪ロングストレートは時代を超えた美の体現。

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槍術の天才・胤舜も登場。
ここでもまた「バガボンド」を想起します。

田宮坊太郎国宗や、柳生兵庫助利厳など、名だたる猛者が続々登場。

基本的にシリアスでおどろおどろしいお話ですが、魔人と化した際のちょっとした仕草にユーモラスな所もあって和みます。

しかしまだほんの導入部分であり、お話としてはこれからが本番といったところ。
「あの人物」もまだ出て来ていませんからね。
今後に期待が掛かります。

もう少しテンポを上げて欲しいとも思わなくもないですが。

ゆくゆくは、是非また陰陽座の曲を主題歌にアニメ化して欲しいものだと思います。


70点。





七つの大罪
鈴木央

どんなウソついたって
自分の心だけはだませねえんだぜ


ジャンプで「ライジングインパクト」「Ultra Red」、サンデーで「ブリザードアクセル」「金剛番長」、チャンピオンで「ちぐはぐラバーズ」を連載してきた鈴木央先生の最新作。

この「七つの大罪」はマガジンでの連載という事で、何と四大少年誌全てで連載・単行本化という近年では珍しい状況に。
他にこういう先生は最近はいませんよね?
特にジャンプは専属縛りが厳しいというお話ですし。

そして、今作は鈴木央先生ファン待望の本格ファンタジー作品となっております!

読み切りではファンタジーもありましたし、「君と僕との間」はファンタジーではありますがどちらかと言えばSF色が強かったので……

「ライジングインパクト」の頃から、円卓の騎士をモチーフに使ったり、ファンタジー色の強い背景を多用してきた鈴木先生。
冒頭の作者コメントでも「私の大好きなアーサー王伝説の鈴木央的前日譚」と言われておりました。
剣と魔法の中世ファンタジー的世界観は、正に念願といえるのではないでしょうか。

既に樹林伸さんなど多くの著名人が激賞しており、昨日の記事で書いたアニメイト本店でも入口すぐのスペースに大展開している期待作です。



ストーリーの中心となるのは「七つの大罪」と呼ばれる、七人の大罪人。
彼らは、かつて王国転覆を謀った最強最悪の騎士団。

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王国の聖騎士に駆逐され、現在は全員が生死不明となっている。

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そんなある日、主人公・酒場〈豚の帽子〉亭の店主であるメリオダスの元に、七つの大罪を捜す少女が現れた時、物語は幕を開ける――

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ファンタジックな風景、動物、飲食物……
実に鈴木央先生らしく、そしてそれが世界観にピッタリ合致していますね。
人々の生活を覗いているだけでも楽しいファンタジーです。

そして、真っ直ぐな主人公。
旅。
可愛いヒロイン・エリザベス。
ツイーゴやギルサンダーなど、癖と魅力のある敵キャラ。
ひとつまみのお色気。

少年漫画の王道中の王道を気持ち良く突き進みます。

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圧倒的大破壊の起こる、迫力ある戦闘描写も爽快感バツグンです。


メインストーリーに大きな軸があって物語としての牽引力がありますし、魅力的なキャラもこれからどんどん増えていくでしょう。
ランスロット的な美形キャラ好きの私としては、そういった方面でも期待。

まだまだ大きな伸びしろがあり、これからの展開に否が応でも期待を高まらせます。

少年漫画・ファンタジー好きの方は抑えておいて間違いのない作品です。


70点。