ここのところの関東地方はすごく暑い。気温が35度を超すと風が吹いても涼しくはない。この暑い時期になると決まって4年前に行ったデスバレーのことを思いだします。


4年前の夏に私は息子の住むシアトルを訪ねました。そのついでに、ロサンゼルスに住んでいる幼馴染のCちゃんと久しぶりに会おうと思って連絡をとりました。それで3泊程させてもらってロサンゼルスを観光しようと思ったのです。


LAを訪れた日はCちゃんは仕事があったので空港へは奥さんが迎えに来てくれて、彼の家で仕事から帰るのを待っていたのです。そして彼が帰ってきたのですが、「ほな、いこか」と唐突に言います。「行こかって、一体どこへ行くんや?」「ん、グランドキャニォン」と彼はこともなげに言います。「えっ。飛行機の予約とったの?」「ううん、車で行くんや。」と言って、彼はタンクを車に積み込んでいます。途中でガス欠になると厄介なので、ガソリンをタンクに入れていくのだとか。法律のことはよく分からないのだけれど、そんなことしてええのやろか。


というようなわけで、ルート66をアリゾナに向けて出発しました。アメリカのハイウェイは単調なので私たちは大きな声を張り上げて歌いながら行きました。ところが、Cちゃんはその時点で30年近く日本には帰国していない浦島太郎ですから、持っているCDは古い歌ばかりです。一番新しいのでアリスのチャンピオンでした。まあしかし、ルート66を走りながらフランク永井の「夜霧の第二国道」をうたうというのもなかなかおつなものです。♪つ~らい恋な~ら~ネオンのう~み~へ~♪ とやっていたわけです。この辺は若い人には理解の外でしょう。要するにルート66の一部に異次元空間がその時出現していたわけです。


砂漠地帯の入口付近のガソリンスタンドで給油したのですが、車から一歩出るとものすごく暑いんです。おそらく40℃は超えているとのことでした。とにかく風が吹くと暑いんです、空気の方が体温よりはるかに高いので風が当たると熱いんですね。すぐそばで「どんど焼き」をやっているみたいです。でも、後で振り返るとこの時の暑さはまだまだ序の口だったんですな。


この日はWilliamsという町の近くのキャンプ場(公園?)で、車中泊しました。夜が明けるといよいよグランドキャニォンを目指します。


(走っても走っても、向こうに見える山が近付いてきません。)
御坊哲のおもいつくまま


グランドキャニオンはさすがに迫力があります。自然の雄大さには圧倒されるしかありません。


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峡谷は太陽の角度で時々刻々と表情を変えます。


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とにかく自然の雄大さと美しさを十分堪能しました。と帰路につくのかと思いきや、Cちゃんは「ラスベガスへ行ってみよか」と言います。「え゛~。」正直私はもうグランドキャニオンでもう十分という気持ちでしたが、「ま、ついでやから、いこ。ホテルも予約してるし。」と言われれば行くしかありません。


途中で貨物列車を見かけました。長いので車両を数えていると100を超えたので面倒くさくなって数えるのをやめました。貨車のロゴを見ると韓国と中国のものが多い。ものづくりという点において、日本のプレゼンスは既に両国に圧倒されていると感じました。


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フーバーダムです。ラスベガスはこのダムを建設するために作られた街です。ダムサイトは黒四ダムなどに比べるとなんだか荒々しい印象を受けます。古いダムだからでしょうか。


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ラスベガスに到着しました。砂漠の中の人工都市です。


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Cちゃんが、「ホテルでいったん落ち着いてから、ストリップの方へ行ってみよか。」と言います。私は耳を疑いました。彼は私が知っている男の中でもっとも謹厳実直な人間です。私は唾をごくっと飲みながら、「おぅ、行ってみるか。」と応じました。実はこれは私の勘違いということで、ちょっと恥ずかしい思いをしました。日本人の男が言う「ストリップ」は正確にはストリップティーズと言うんですね。The Strip というのはラスベガスの有名な中心街を指す言葉だそうです。


ラスベガスで一泊した後、さあ帰ろうかと車に乗ると、Cちゃんが「そや、デスバレーへ行ってみよか。」と言いだします。えっ、デス・バレー、Death Valley、って「死の谷」ちゅう意味やないか、それは。「もうええがな、帰ろうよ。」と私が言うと。Cちゃんは「どっち道帰り道や、ついでに寄って行こう。」どうやら彼ははじめからそのつもりだったようです。ガソリンを荷台に積んだのもそういう意味だったのかと合点しました。


だんだん景色が荒涼としてきました。地面から塩が噴出しています。


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デスバレーの入り口 Shoeshown。 街というほど人はいない。ものすごく暑い。店に入ってアイスクリームを買った。


御坊哲のおもいつくまま


Shoeshownを過ぎるとほとんど人の気配がない。こんな真夏に「死の谷」に来るもの好きはそれほどいないようだ。

しかし、これほど過酷な土地に植物が生えているのが不思議だ。手前の白い葉っぱに触れてみると、予想に反してやわらかい、そしてきわめて微細な毛におおわれていた。


御坊哲のおもいつくまま


下の写真のベンチに座ることはできない。座ったら確実にやけどする。何もかもが想像を絶するほど熱い。車から出て2、30秒すると腕時計が熱くなってくる。自分が履いているズポンの表面に触れると、思わず「あっ」と言いそうになるほど熱い。気温は50℃を超えているらしいが、直射日光のあたる部分はどれ程の温度になっているだろう。よく、車のボンネットて目玉焼きが出来る、という話を聞くが、それは現実だと実感した。

右の方に見えるのは公衆トイレらしい。


御坊哲のおもいつくまま


Badwater にて。ここは西半球でもっとも低い陸地です。ここまで来ると、私たちと同じモノ好きな人たちが数人いた。向こうの巨大な岩山を見て、孫悟空の話に出てくる火焔山を連想した。写真下部の白い部分は塩です。


御坊哲のおもいつくまま

実は、ここまでエンジンに負荷をかけないようにとクーラーを止めていました。恥ずかしながら熱中症にやられ少し吐き気がしてきたので、クーラーを入れてもらいました。


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やっとロサンジェルスに帰ってきました。夕やけがきれいです。やれやれ。


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グランドキャニオンはもちろん素晴らしかったのですが、私がこの旅行でもっとも印象に残ったのがデスバレーでした。めったに経験できない体験をさせてくれたCちゃんには感謝です。


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