肺炎球菌13型ワクチンは何故必要なのだろうか? | ワクチン広場

肺炎球菌13型ワクチンは何故必要なのだろうか?

肺炎球菌ワクチンが変わることは前に書きました。では、なぜ13型が必要なのか、どう違うのかについて書いてみようと思います。肺炎球菌には93の型があります。その全てに有効なワクチンがあれば理想的なのですが、現実にはそれはありません。最も多い型数のワクチンは23です。でも、そのワクチンでは子どもに接種をしても免疫を獲得することができません。そのために工夫をして作られたのが、結合型ワクチンなのです。そこで、侵襲性の高い型を選んでそれに対するワクチンが作られました。ワクチンが有効だとワクチンに入っている型の感染は減りますので、他の型による感染の頻度があがります。そのなかでやはり侵襲性が高いと髄膜炎を起こします。だから、最初の7つよりも多い型数のワクチンが必要になります。7型のワクチンには、4、6B,9V、14、18C、19F,23F、が入っています。ワクチンを導入する前から、細菌性髄膜炎の患者さんから採取された肺炎球菌の型を調べ、ワクチンを導入したらそれ以後に細菌性髄膜炎がどのように変化するかを調べました。日本の厚生労働省の研究班庵原班の報告によれば、完全に導入後の2012年は、導入前に比較して肺炎球菌性髄膜炎は73%、菌血症は52%減ったと報告されています。菌の型を調べた報告で、ワクチンに入っている型が何%を占めるかを報告していますが、2007年7月から2010年1月までの258例では7型76.4%、13型89.9%、2010年から2011年3月までの、221例では、7型78.3%、13型90.5%、2011年4月から2012年の12月までの189例では、7型44.4%、13型70.4%となっています。ワクチンに入っている型は7型ですから、ワクチンの効果があがり、ワクチンに入っている型の患者さんが減少してきていることを示しています。他方、ワクチンでカバーできない型の患者さんが、あることも事実なので、よりよいワクチンの開発が待たれることにもなります。13型のワクチンには、7つの型については同じですが、更に1、3、5、6A、7F、19Aが入っています。日本では年を追って19Aの患者さんが増えていましたので、13型のワクチンの導入はとりあえず福音をもたらすことが期待されます。2012年の報告で、44例のワクチン接種歴のある患者さんからの菌型は7型ワクチン型の例は2.3%、13型ワクチン型は38.6%、ワクチン接種歴のない38例では7型57,9%、13型86.9%でした。このこともワクチンの有効性を示す結果になります。このような事情は世界の国々でも認められていて、現在、13型のワクチンは120国以上でワクチンが承認されており69カ国で定期接種に導入されています。ワクチンに型が多く含まれるということは、タンパク質の含有量が増えることにもなり、副反応が増えることが予測されるところです。事実、7型には20μgが、13型には34μg含有していますが、治験では発熱、局所の硬結、発赤の頻度などは有意のお差がなく、安全性は差がないと報告されています。また、7型ワクチン接種者に13型を追加した場合の抗体の調査により今回推奨されているやり方で、全て13型接種をした人との間に大きな差がないことが証明されました。7型4回接種済みの方はそのままでは、残る6つの型には免疫はないこと、2歳以上でも肺炎球菌による髄膜炎はあることを考えると、そのような人にも13型の追加接種を行うべきであると考えます。、