子宮がんは予防のためのヒトパピローマウイルスワクチン | ワクチン広場

子宮がんは予防のためのヒトパピローマウイルスワクチン

HPVワクチンは2006年にアメリカで最初に承認されました。ハイリスク型と呼ばれる子宮頸がんの特に原因として最も多い(約70%)とされる、16型と18型の感染を防ぐワクチンで現在世界の100ヵ国で使用されて、既に1億人以上が接種を受けています。オーストラリアで2007年、イギリスで2008年から無料接種が行われています。日本では2009年の10月に承認されて12月から一般の医療機関で接種をされるようになりました。グラクソスミスクライン社のワクチンでサーバリックスと呼ばれます。2011年の7月にMSDと言う会社のガーダシルというワクチンが承認されました。2011年から国と自治体の費用負担で、中学校1年生から高校1年生までの女性に公費助成で接種が行われて、今年2013年の4月から、定期接種となり小学校6年生から高校1年生の女性が対象になりました。2008年にノーベル医学賞を受賞したドイツのハラルド・ツアハウゼン博士が子宮頸がんから16型のHPVを見つけました。性行為というヒトにとっては自然の営みで感染するのですから、女性の全ての人が感染の可能性があります。HPVはヒトに感染しても、そのときに熱が出るとか感染症らしい症状はなく無症状です。それが持続感染を起こして5~10年と言う長い時間を経て前がん状態となり、更に進んでがんとなります。麻疹や風疹などは感染すると抗体ができて、再度感染し、発病することがありません。いわゆる二度なしという現象があります。ところが、HPVは潜伏、持続感染をしますが、ウイルス血症を起こさないので自然感染では二度無しを招くような抗体はつくられないのです。そこで、本物のウイルスのこの成分に対する抗体を持っていると感染が予防できるという成分を遺伝子工学を利用してつくったのです。麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘ウイルスなどはウイルスを増やすことができる細胞があるのですが、HPVではないのでウイルスを増殖させてワクチンを作ると言うことができないのです。全く、人工的なものですからワクチンには接種しても感染を起こすことはありえません。先ず、このワクチンを接種して感染を防ぐと、効果があれば前がん状態の状態を招くことを予防できるはずです。それは、成功しています。今のところ、7年間のデータが発表されていて、前がん状態に至ることは防がれています。予防効果が何年持続するかは、経過を追っていくことで証明が重なっていくのです。若し、効果が落ちるようであれば追加接種を行うことになるのでしょうが、まだ発展途上ということになります。副反応では局所の腫れ、痛みが、主です。中に接種後に痛みや不安・緊張のために失神をおこすことが言われています。献血をするときに最初、少量の採血をしますが、それだけでも大の大人、それも男性が失神を起こすことはよくあります。多分、それよりも頻度が高いということはないと私は自分の経験では思っています。副反応よりも得られるメリットの方が明らかにはるかに大だと云えます。ただ、ワクチンを接種しても、16,18型以外には感染するので、検診は必要です。予防接種をすることで、検診が不要ではなくむしろより積極的に対応してがんから免れていただきたいと思うのです。