日本脳炎ワクチン接種後の死亡例の報告を聞いて | ワクチン広場

日本脳炎ワクチン接種後の死亡例の報告を聞いて

10月17日岐阜県で小児科医のところで日本脳炎ワクチンを接種受けた10歳の男児が亡くなったという報道がされました。18日の朝のNHKのニュースで流れたそうですが、今日はテレビを見る暇がなく仕事を始めましたのでしりませんでした。田辺三菱製薬の方に教えていただき、ことの内容を知りました。午前と午後の診療の合間にきいたのですが、午後には早速、問い合わせがありました。
私が聞いたのは、朝のニュースの内容以上のものではないので、詳しくコメントできる立場にはないように思いますので、もし、『不安を感じられて躊躇されるのなら、内容がよくわかるまでお待ちになっては如何ですか、季節的に日本脳炎は流行期を終えるので、今予防接種をしないと感染する危険が大きいということにはならないでしょうから』と話しました亡くなられたお子様については情報がなく、接種後5分で意識がなくなった、ナースが119番に電話をして収容された病院で2時間後に死亡確認されたとのことなので、アナフィラキシーショックにしては、少し違うと感じました。アナフィラキシーショックは、ワクチンの成分の何かにアレルギー反応を起こしてショックに陥るものです。急に心臓停止になるものではなく、血圧が下がってその結果循環不全に陥るのでもう少し時間の経過が長いのです。また、対応が早ければ死ぬことは稀と思います。私もワクチン接種ではありませんが、開業して21年間に3人、経験をしていますが、死亡された方はありません。適切な対応をすれば死亡は稀であると考えています。予防接種をするからには、その対応策は準備しているはずです。おそらく短い時間で死に瀕するのは、突然死と呼ばれる状態が起こったと考えます。手持ちの本で、Braunwald's Heart Disease 9th Ed.という本の41章に心臓停止、突然心臓死という項目があり、845-884頁にわたって書かれています。英文であり専門中の専門の本なので、短時間に読み理解できるものではありませんが、多くの疾患があることが記載されています。19日に御遺体を解剖して調べるとありましたので、その結果で何かがわかるかもしれませんが、組織学的に証明できない原因もあるようです。また、ご両親の承諾なしには原因が判明しても公表されないので、詳細を知ることができるかどうかは、わかりません。予防接種という医療行為は数多く行われます。突然死は予防接種と関係なく、或いは痛みを感じる刺激としてそれをきっかけに起こる可能性があるかとも考えられます。それは、その方に特別に起こったことであり、ワクチンに原因があるとは言えません。今回も報道を夜のテレビで見ていると、言葉に気をつけて報道して欲しいと思う内容がありました。日本脳炎ワクチン接種で死亡しましたという因果関係を結びつけて報じていたり、前に別の例での接種後7日を経ての突然死もあたかも原因がワクチンにあるかのような表現になっていました。人心を乱すような表現はさけるべきであろうと思います。5分という時間の短さは、今までのワクチン接種後の死亡例と明らかに異なります。過去の接種例数に比して1例ですから、直ちにワクチン接種をやめるという措置はとられないでしょう。検討は速やかに行われるでしょう。どうか、冷静に経過をごらんになって対応をお決めください。