有田焼400年の歴史展 様式から見る有田焼の変遷! | とんとん・にっき

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東武百貨店池袋店で開催された「400年有田の魅力展」のなかで、佐賀県立九州陶磁文化館の鈴田館長のミニレクチュアがあり、今まで僕が知りたかったことを語られていて大いに役に立ちました。駆け足の説明でしたが、有田焼の様式の変遷がまとめて展示されてもいて、またいただいた資料「様式からみる有田焼の変遷」も要領よくまとまっていました。下に会場で撮影した画像とともに、いただいた資料を「備忘録」として引用しておきます。なにしろ陶磁器に関してはいりいろと展覧会は観るのですが、今までは、奥が深くてなかなか理解するまでには至っていませんでしたが、少しは理解できたように思います。


有田磁器の様式

この展覧会は、有田焼400年のたゆみない試行錯誤の歩みを、作品の様式変遷からご覧いただこうというものです。朝鮮半島出身の陶工の技術で、当時国内に広く流通していた中国磁器を懸命に模した「初期伊万里様式」、当時世界磁器の最高峰にあった中国・景徳鎮と肩を並べるべく、同様な製品のスタイルの確立や色絵技法の獲得にまい進した「初期色絵(古九谷)様式」、また、極限まで無駄を省き日本的な美意識を追求した「柿右衛門様式」、一転して極限までの華麗さと精緻さにこだわった「古伊万里金襴手様式」さらに将軍家などへの献上用として独自のスタイルと拡張の高さを具現化した「鍋島様式」など。その蓄積された伝統は、400年の時を経た今でも、有田焼の中に有形・無形の姿で深く根づいているのです。


肥前陶磁の様式変遷図

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・初期伊万里様式

主に1610年代~50年代頃に制作された、日本で最初の磁器の様式です。皿などの外面は無文が基本で、高台径が小さいことに特徴があります。まだ色絵の技法はなく、染付作品が主体でした。器壁が厚めでひずみも大きめですが、それが伸び伸びとした絵付けと相まって、むしろおおらかな印象すら与えます。朝鮮半島の技術で作られた、日本人好みの、中国風磁器ともいえる様式です。


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・初期色絵(古九谷)様式

1640~50年代頃に制作された様式で、日本ではじめて色絵の技法も確立しました。絵具の色調は濃く、緑や紫、黄など寒色系の色を多用したものが目立ちます。皿などは外面にも文様を描くことが基本となり、高台径も大きく、現代の製品のスタイルの原型となった様式です。素焼きも普及しはじめたことで、器壁が薄めで器面も白さを増しました。


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・柿右衛門様式

1670年代に成立した様式で、18世紀のはじめ頃まで最高級品として制作され続けました。濁手(にごして)と称される乳白色の素地に、洗練された淡い色調の上絵具を用い、細い輪郭線で、主として非対称の構図を描くことに特徴があります。大きく残した背景の空白も、白の絵として甘受できる日本の美意識を意図的に反映したもので、17世紀的な様式の完成形といえます。


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・古伊万里金襴手様式

1690年代に成立した様式で、濃厚な赤や金絵具を多用し、器面を対称的な構図で埋め尽くした華麗さが大きな特徴です。明代の中国・景徳鎮の金襴手の影響を受け、当初はヨーロッパや国内の富裕層向けに制作されましたが、しだいに、多様な階層向けの様式として普及しました。より高級品ほど技巧の粋が余すところなく尽され、その到達点として超絶の美を極めたのが明治伊万里でした。

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・鍋島様式

献上・贈答品など佐賀藩の御用品の制作は、当初有田の窯場で行われていました。しかし、後に御用品の制作は伊万里市(佐賀県)の大川内山へと移され、藩の御用品生産制度の下で、直営の窯が営まれました。鍋島様式は1650年代後半頃に完成した様式で、皿は木盃形で高台が高く、高台内に銘はいれず、高台の外側面には塗り潰した文様を巡らせることが特徴です。

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・マイセン窯

磁器を東洋からの輸入に頼っていたヨーロッパでも、ようやく1709年にドイツのドレスデンで白磁の開発に成功しました。そして、翌1710年には技術の漏洩防止のため、マイセンのアルブレヒト城内に、マイセン王立磁器窯が設立されました。当時、世界の磁器生産の中核地は有田でした。そのため、マイセンをはじめヨーロッパ各地や中国・景徳鎮などでも、有田の柿右衛門様式や古伊万里金襴手様式を模した作品が制作されたのです。

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


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「有田焼400年の歴史展」出品目録

様式からみる有田焼の変遷

監修:有田町歴史民俗資料館

協力:佐賀県立九州陶磁文化館

発行:日本磁器誕生

    ・有田焼創業400年事業実行委員会








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