東京国立博物館東洋館で「上海博物館 中国絵画の至宝」(前期)を観た! | とんとん・にっき

東京国立博物館東洋館で「上海博物館 中国絵画の至宝」(前期)を観た!



東京国立博物館東洋館で東洋館リニューアルオープン記念「特別展 上海博物館 中国絵画の至宝」(前期)を観てきました。全作品40件のうち、中国の国立博物館所蔵の最高レベルの文物を意味する「1級文物」が18件で、約50%を占めています。また、初の海外出展となるものや、中国国内でもめったに展示されない作品も含まれているというから、見逃すわけにはいきません。


今回、東京国立博物館で展示される中国絵画作品には、以下のような特徴があります。まず、五代、宋、元、明から清にいたるまで、長期に及ぶ作品がもれなく集められていること。さらに、伝統的な山水画、花鳥画、人物画からはじまり界画(定規などで建物や舟など緻密に描く技法)にいたるまで、中国絵画の技法やジャンルがすべてみられること。そしてなにより、作品の芸術的な素晴らしさです。宋代の李郭派、馬夏派、元四大家、明院体浙派、呉門松江、青藤白陽、清初期の正統派と個性は・・・といった、中国絵画史において重要な流派と画家の名作を、ほぼ残らず網羅しています。すなわち、本展覧会はきわめて優れた高い質をもつ絵画展なのです。(図録「上海博物館中国絵画の至宝」によせて)


2012年2月に上海3泊4日の格安ツアーに行って来ました。その3日目に「上海博物館」を観ることができました。建築の外観は、古代の青銅器から取った形をしています。聞きしに勝る大きさで、完全に時間配分を間違えて、中国古代青銅器の展示を観ることに時間を使ってしまい、他の箇所は駆け足で観て回っただけに終わりました。


今回の「上海博物館 中国絵画の至宝」の目玉はというと、華祖立の「玄門十子図巻」も非常に興味深い作品ですが、それに劣らず呉彬の「山陰道上図巻」をあげることになります。浙江省にある山陰地方を讃えた言葉に着想を得た四季の風景です。作者の呉彬は、明末に活躍した「エキセントリック・スクール(奇想派)」と呼ばれた一人です。その奇怪な山水画は、幅31.8cm、長さ862.2cmもある長い巻物です。山水の様子を描き出す筆墨は、一つとして同じものがありません。しかし、その細やかな筆墨と淡彩の使用法は、呉派以来の明代絵画が追求してきた文人画の技法を継承していることが理解されます。この絵は、呉彬の後援者であった北京の米万鐘の為に描かれたものです。


展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 五代・北宋―中国山水画の完成―

第2章 南宋―詩情と雅致―

第3章 元―文人画の精華―

第4章 明―呉派と浙派―

第5章 明末清初―正統と異端―



第1章 五代・北宋―中国山水画の完成―



第2章 南宋―詩情と雅致―



第3章 元―文人画の精華―




第4章 明―呉派と浙派―



第5章 明末清初―正統と異端―



「特別展 上海博物館 中国絵画の至宝」

中国でも最大規模の収蔵を誇る上海博物館。そのなかから、宋元から明清まで、約千年に渡る中国絵画を代表する名画を一堂に展示いたします。中国の絵画史は、宋・元時代に文人たちの高潔な精神を体現した文人画が生まれ、元末四大家と呼ばれる四人の文人画家の活躍で頂点を迎えました。今回はこのうち、中国文人画の最高峰とたたえられる倪瓉と王蒙の「漁荘秋霽図軸」、「青下隠居図軸」を展示します。明時代になると、元時代の文人画を継承する呉派と、宮廷画家の系譜に属する浙派が対峙しました。その二つの流派の代表作、呉派の首領・文徴明「石湖清勝図巻」と、浙派の李在「琴高乗鯉図軸」を展示します。また、それら正統派山水に反発して、奇抜な造形を好んだ、エキセントリックスクール(奇想派)の代表的画家・呉彬「山陰道上図巻」を展示します。一級文物18件をふくむ40件もの名品によって、五代・北宋から明清にいたる中国絵画の流れを辿ることのできるまたとない機会です。日本にはない、本場中国ならではの中国絵画の真髄をお楽しみください。


「東京国立博物館」ホームページ


とんとん・にっき-syan2 東洋館リニューアルオープン記念

特別展 上海博物館

「中国絵画の至宝」

2013年10月1日発行

編集:

東京国立博物館

制作・デザイン:

美術出版社

発行:

東京国立博物館
とんとん・にっき-syan1 「上海博物館(日本語版)」
図録

監修:陳燮君

責任編集者(上海):王運天 劉婕

2008年6月初版、2008年6月北京第1刷発行

上海博物館

ロンドン出版社(香港)有限会社







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