マルグリット・デュラス原作「愛人/ラマン」を(再び)観た! | とんとん・にっき

マルグリット・デュラス原作「愛人/ラマン」を(再び)観た!

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マルグリット・デュラス原作「愛人/ラマン」を、TUTAYAで借りて“ブルーレイ、無修正版”で観ました。(再び)とあるのは、映画館で観たり、その後DVDを借りて観たりしているからです。過去のブログを見直してみると、マルグリット・デュラスの原作本でも読んでいました。15歳のフランス人の少女が、資本家の息子である中国人と出会い、2人は情事を重ねるようになり、少女が17歳の時にフランスへ帰るまでの物語です。セックスシーンはリアルですが、これはなかなかの“純愛物語”です。デュラスの自伝的な小説の映画化。


1929年、フランスの植民地、インドシナ(ヴェトナム)。メコン川を行く船上での運命的な出会い。田舎町サデックから寄宿舎のあるサイゴンに帰る途中の少女。男物の帽子が似合う少女が船縁に足をかけてメコン川を眺めています。黒いリムジンから降りてきた男は、地元華僑の資本家の息子。彼に誘われるままに、車に乗り、中華街ショロン地区に連れて行かれます。通りは騒がしく、日差しが差し込む部屋で、彼女は始めて男に抱かれます。そして、2人はその関係を続けていきます。母親は、娘の行動に気がつきながらも、金品を援助してくれる男を黙認します。しかし、男は父親の言うなりに中国の富豪の娘と結婚することになります。少女は、家族とともにフランスに帰国することになります。


気がついたポイント

・帽子の似合う、めくれ上がった唇の少女

・車に同乗して、2人の手がじりじりと近づき触れ合う瞬間

・無修正版だからか、セックスシーンのリアルさ

 (行水のシーン、少女のお尻がきゅっとしてスタイルがいい)

・ショロン地区の部屋がなまめかしい

 (鎧戸から差し込む日差しと、道行く人々の雑踏とその影)

・フランス人の中国人蔑視

 (家族と一緒に食事をするシーン、中国人を無視します)

・貧乏なフランス人と、金持ちの中国人

・デュラスの原作からか、ナレーションが文学的

・純愛。船上でショパンのワルツを聞いて、少女は始めて号泣します。

・純愛。何年もしてから、中国人はパリに訪ねてきたりもします。


*1回目のセックスシーンの後、少女の独白


私の身体は傷にうずく難破船

色あせた壁

鎧戸ごしに入る蒸し暑い空気

したたる汗

忘れはしない この薄暗い部屋

にぎわう待ちの喧噪に取り囲まれ

その熱気に目まいを覚えた

道行く人々が私の体を横切ってゆく

私は無限に広がる海に

思いを馳せた


*少女がフランスへ帰る、船が岩壁から離れる


客船が長い汽笛を鳴らす

タグボートに引かれて

船がゆっくり動き始める

船が大地から離れたとき

彼女は泣いた

涙を見せずに泣いた

母にも兄にも気付かれずに

彼女は悲しくても涙を見せない

もう慣れっこだった


彼が来ていた

車の後の席にひっそりと座っていた

打ちのめされて身じろぎもせずに

彼女は始めて船で出会った時のように

ヒジをついていた

彼がじっと見つめているのを知っていた

もう彼は見えなかったが、黒い車の法を見続けた。

やがて車も見えなくなり

海も陸地も水平線にかき消えた


以下、「映画.com」より


解説
15歳の少女と中国人青年の愛人関係を描く、マルグリット・デュラス原作の自伝的ベストセラー小説の映画化。監督は「子熊物語」のジャン・ジャック・アノー、製作は同作のクロード・ベリ、脚本はアノーとやはり「子熊物語」のジェラール・ブラッシュの共同、撮影はロベール・フレス、音楽は「カミーユ・クローデル」のガブリエル・ヤーレが担当。

ストーリー
1929年、フランスの植民地インドシナ(現在のヴェトナム)。メコン川をゆったりと渡る船の上で、田舎町サデックの自宅から寄宿舎のあるサイゴンに帰る途中の少女(ジェーン・マーチ)に、黒いリムジンから降りてきた中国人の男性(レオン・カーフェイ)が声をかけた。男は32歳で、この植民地で民間不動産の全てを掌握している華僑資本家の息子だという。少女は何となく興味をひかれ、男の車に乗り込んだ。その日から男は毎日リムジンで少女の学校の送り迎えのために現れた。


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