山寺後藤美術館で「ヨーロッパ絵画の世界」を観た! | とんとん・にっき

山寺後藤美術館で「ヨーロッパ絵画の世界」を観た!




11月20日(日)、21日(月)、一泊二日、紅葉狩りの季節、山寺と仙台のぶらり旅に行ってきました。山寺には以前行ったことがありますが、再び挑戦、小雨が時折降って、けっこうきつかったです。まあ、三徳山三仏寺投入堂へ登ったことを思えば、それほどでもありませんでした。山寺 後藤美術館の作品は、2008年3月に大丸ミュージアム・東京で開催した「ヨーロッパ絵画名作展」で見ていましたが、山寺 後藤美術館へは一度行ってみたかったところでした。図録を買ってきましたが、家に帰って本棚を見てみたら、同じ図録がありました。


さて、「山寺後藤美術館」といえば、その目玉はというと、コローの「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」でしょう。1850年頃から、コローはロマンティックで、叙情的な風景画を多く描くようになります。画家として修業を始めてから50年目の1871年、コローは弟子とともにフランス北部バ=ド=カレ県のアラスを訪れて写生を行います。その際に描いた実景に基づいたのがこの作品です。サン=ニコラ=レ=ザラスは場所の名で、「アラス近くのサン=ニコラ」という意味です。


それで思い出したのは、東京都庭園美術館で2011年4月から7月にかけて開催された「森と芸術」展、森をテーマにした珍しい切り口の展覧会でした。森や森への思いを表現するものは、数知れずありました。楽園の想像図や神話・伝説の場面図、風景画、アールヌーヴォー工芸や象徴絵画、庭園の絵や写真、メルヘンの挿絵や絵本、木工玩具、等々、思いのほかたくさんありました。その「森と芸術」展に、「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」も入れて山寺後藤美術館から5点もの作品が出されていました。


「山寺 後藤美術館」は、山形県河北町出身の実業家・後藤季次郎が長年にわって収集したヨーロッパ絵画のコレクションを核として、平成6年に山寺に開館したもので、フランスを中心とする17世紀から19世紀までの絵画コレクションはわが国有数なものです。ミレーの版画作品も多数所蔵しており、また、エミール・ガレやドーム兄弟などのガラス工芸作品も多数所蔵、展示しています。


実は、2008年03月に大丸東京店で「ヨーロッパ絵画名作展」が開催されて、観に行きましたが、そこに出されていた作品はほぼ全部が「山寺後藤美術館」所蔵のものでした。その所蔵から約70点の作品を通じて、フランス絵画の歩みを辿り、と同時に、ヨーロッパ諸国で同時代に描かれた名品も併せて展示してありました。 風景画はもちろんのこと、目に止まった作品は幾つかありますが、やはり人物画、というか肖像画に素晴らしいものが多くありました。


大丸東京店での「ヨーロッパ絵画名作展」については、このブログに載せてあります。その時は、画像は主として人物画を取り上げて載せてあります。今回は趣向を変えて、庭園美術館に出されたものは別枠として、その他に大丸で載せていなかった風景画等を中心に、ダブらないように載せておきます。


展覧会の構成は、以下の通りです。
Ⅰ 宮廷絵画からアカデミズムへ

Ⅱ バルビゾン派とその周辺

Ⅲ ヨーロッパ諸国の絵画


「森と芸術」展に貸し出されていた5点





Ⅰ 宮廷絵画からアカデミズムへ


「荒地のマグダラのマリア」は、主題は聖人伝説の一場面で、独りで荒野に住むマグだらのマリアは、悔悛の祈りを捧げているというよりは、軽く手を組んで岩にもたれかかり眠りにつこうとしているように見えます。




Ⅱ バルビゾン派とその周辺


シェルブールの洋裁店の娘ポーリーヌ・オノは1841年に20歳でミレーの妻となります。その3年後、1844年にポーリーヌは肺結核で死去します。ポーリーヌの叔父を描いたこの作品は、農民画家での叙情や憧憬とはまったく異なる、ミレーの冷静な観察眼と鋭い写実性が発揮されています。




Ⅲ ヨーロッパ諸国の絵画


「シバの女王」は、旧約聖書の登場人物、紀元前10世紀のアラビアの商業国家の女王。古代イスラエル第三代の王ソロモンの名声を聞き、貢物を持って訪ねたとされる。ここでは、聖母マリアの着衣と同色の旅装で描かれている。お告げを得る場面です。

「リア王とコーデリア」は、ヴィクトリア朝時代、シェイクスピア作品、「リア王」第4幕7場にあたる。上の娘二人の甘言を軽信した結果、侮辱的な冷遇を受けて狂気に至ったリア王が、父親思いの末娘コーデリアと再会した場面です。

「ディアナ」は、19世紀ドイツのアカデミズムの画家による典型的な神話画です。中央で三日月の髪飾りを着けているのがディアナ。右側の若い男は狩人のアクタイオンで、水浴中の女神の姿を盗み見たため、鹿に変身させられて自分の犬たちに八つ裂きにされる。




山寺 後藤美術館・・・ヨーロッパ文化と歴史の余韻の中で
山寺 後藤美術館は、山形県河北町出身の実業家・後藤季次郎氏が長年にわたって収集したヨーロッパ絵画のコレクションを核として、平成6年4月に、史跡と景勝の地、山寺に開館しました。フランスを中心とする17世紀から19世紀までの絵画コレクションはわが国有数のものであり、そのほかガレ、ドームなどのガラス作品、ロダンの彫刻作品、さらにはヨーロッパ各地の伝統工芸品など、幅広いジャンルの美術品を所蔵しています。


「山寺後藤美術館」ホームページ


yama1 山寺 後藤美術館所蔵
「ヨーロッパ絵画名作展」

図録

監修:阿部信雄

発行:神戸新聞社









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