スパイラルガーデンで「棚田康司展 『○と―』」を観た! | とんとん・にっき

スパイラルガーデンで「棚田康司展 『○と―』」を観た!


青山のスパイラルガーデンで「棚田康司展 『○と―』」を観てきました。「○と―」は「らせんとえんてい」と、ふりがながふってあります。僕は棚田康司の作品を観るのは、今回が初めてです。棚田はドイツ滞在時、西欧人との体軀の違いや、木に命を見出す日本人の感性に改めて気付いたという。以来、日本古来の木彫技法「一木造り」を用いて、か細い肢体と憂いを秘めた表情を持つ少年少女の像を作り出し、その名を広く知られるようになったそうです。


棚田康司プロフィール

1968 兵庫県明石市生まれ 神奈川県茅ヶ崎市在住

1993 東京造形大学造形学部美術学科Ⅱ類(彫刻)卒業

1995 東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了(深井隆研究室)

2001 文化庁芸術家在外研修員として7ヶ月ベルリンに滞在

2005 「第8回岡本太郎記念現代芸術大賞」特別賞受賞

2010 第20回タカシマヤ美術賞受賞

現在 神奈川県にアトリエを構える


今回は、7体の新作でスパイラルガーデン全体を神秘的な空間に変容させる、大胆な試みを展開しています。エントランスで家々を見守る少女の胸像。賑やかなカフェの間を突き抜ける参道のごとき白い道に、足を踏ん張り、中空を見つめる「てっせん少女」。螺旋状の吹き抜け空間には、「風神雷神」から着想を得た一対の像と水を題材にした二体の像。大樹を割って彫り分けた「ナギとナミ」、「導雷少女」と「風の少年」が置かれています。街も建物も人工的に造り込まれたこの場所に、神と人、自然と人との間をつなぐ存在として、木の命を宿した少年少女の像が現れます。作品7体は、以下の通りです。


1.「家の少女」2010

2.「ナギとナミ」2011

2a「ナギ」

2b「ナミ」

3.「導雷少女」2011

4.「風の少年」2011

5.「てんせん少女」2011

6.「記念日」2009


「スパイラルにはカフェがあってショップがあって、いろいろな方々が出入りしています。そして空間は完璧すぎてスキがない。ところがある日、アトリウムの天窓から空が見えて、ふと風神雷神を思いつきました。ここに神秘的な存在を持ち込んだら面白い、と。螺旋状のスロープも魅力的なツール。登っていくと上のほうから神様を俯瞰できるようになりますしね」(SPIRAL PAPER No.128より)


技術や情報網が高度に発達しても、割り切れない人々の思い。抗いきれない自然の力。合理的な手法が転換点を迎えた現在、古来より培われてきた自然と共生する術や知恵に注目が集まり始めています。棚田の作り出す静謐な世界が謳う、しなやかな生命力と神秘性。是非ご期待ください、とリーフレットにあります。







「棚田康司展 『○と―』」
曖昧で未熟な少年少女の姿を、日本古来の木彫技法「一木造り」で制作する棚田康司が、東京で発の大規模な個展を開催する。本展において、棚田は会場となるスパイラルガーデンの空間の特性を読み解きつつ作品が場所に与える意味を思考し、風・雷・水といった自然の要素と人間社会との間に位置する神秘性を主題に選んだ。「風神雷神」をヒントに制作された一対の立像「風の少年」と「導雷少女」をはじめ、7点の新作を発表。スパイラルのエントランス、カフェ、ギャラリーを棚田の作品によって神秘的な空間へと変容させる。


「棚田康司展 『○と―』」スパイラルガーデン