ポーラアネックスで「国際建築イラストレーション展」を観た! | とんとん・にっき

ポーラアネックスで「国際建築イラストレーション展」を観た!




ポーラアネックスで「国際建築イラストレーション展」を観てきました。主催は「日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会 」、その活動内容は「建築透視図を制作する、レンダラーの相互交流によって、技術の向上に努め、後進の育成を促し、情報社会の一端を担うものとして産業と文化の発展に寄与すること」とあります。今回は特に、UIA2011東京関連イベントとして初めての「国際建築イラストレーション展」です。世界7カ国の建築イラストレーション団体・企業が一挙に集い、200点あまりの作品が展示されていました。


1980年9月の発足してから30年、創立会員50名で発足したそうです。たぶん1981年頃の発行だったと思うのですが、「建築パース集成?」という日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会が発行した本がどこかにあるはずですが、いま、ちょっと見つかりません。黒い表紙の本だったと思います。3冊揃いの「ヘルムートヤコビイ 透視図作品集」と一緒にしてあるはずですが、それも見当たりません。日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会が新しく発足したので、まず、作品集を出してみようと作られた本だと思います。


パースの本としては、だいぶ古いものですが、中村伸編「建築の透視図と模型」(技報堂発行:昭和35年5月5日初版印刷)があります。昭和40年代に古本屋で手に入れたものです。丹下健三のコルビジュエ風の卒業設計も載っています。坂倉準三の東横百貨店や前川国男の岡山県庁舎もあります。もうボロボロですが、お宝本です。もう一つ、高田秀三、西川驍、金春国男編著「透視図のテクニック」(彰国社発行:1958年10月10日初版)、これも古本屋でやはり昭和40年代初めに購入したものです。ミースの「コンクリートオフィスビル計画」や、コルビュジエノ「セントロソユース館」もありますが、当時一世を風靡していたのはポール・ルドルフ、ペン&インクで描いた「吊り屋根の週末住宅」には驚いたものです。この本は人物や自動車、樹木や家具などをパースに描き込む実践的なテクニックを主にしているものです。


つまりは、40年代初め頃までは、パース屋さんと設計者がまだ未分化の状態で、基本的には設計者がパースを描いていました。今から考えるとへたくそですが、その頃の設計者は一通り描くことができたものです。従って、新人は線の引き方はもちろん、パースの描き方まで、訓練したものです。そうした時に役に立ったのが上記の本だったというわけです。その後、次第に設計する者とパースを描く者が分離していって、パース屋さんと呼ばれるようになり、かっこよく言えば「レンダラー」になっていきました。


その専門家が職能に目覚めて「日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会」という職能集団をつくるに至ったというわけです。従って、僕ら設計者はパース屋さんにイメージを伝えて描いてもらうということになり、自分では描かなくなりました。それは40年代半ば頃でしょうか。建築パースを描くことを専門にしたのがヘルムート・ヤコビイでした。特徴はペン&インク、葉っぱ一枚一枚まで丹念に描きます。彼の顧客には、グロピウス、ミース、サーリネンなど、当代きっての建築家でした。


今回展覧会を観て思ったのですが、パースも3次元CADでコンピューターで描けるようになり、パース屋さんは仕事が少なくなったと聞いていたのですが、やはり手描きの味わいは捨てがたく、僕がいいと思ったパースも手描きに近いものが、どっこいまだまだ生きていました。パースも当然、描いた人の人格が出るというもの、緻密、精密な描き方のパースもありますが、ラフな殴り描きのパースもあります。どちらがどうというのではなく、描いた人の個性が前面に出たパースが、もうほとんどアートであり、僕は好きです。


展示作品の一部(順不同)





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