横浜・そごう美術館で「三代徳田八十吉展~煌めく色彩の世界~」を観た! | とんとん・にっき

横浜・そごう美術館で「三代徳田八十吉展~煌めく色彩の世界~」を観た!


横浜・そごう美術館で「三代徳田八十吉展~煌めく色彩の世界~」を観てきました。まず「古九谷」と「色彩」の取り合わせに興味を持ちました。三代八十吉は、祖父の初代八十吉から直接釉薬を伝授されたと言います。父親の二代を差し置いて、というか飛ばして伝授されたので、祖父には「父親には言うなよ」と言われたそうです。伝授されたのはインタビューを見ると、わずかに10数種の色彩だったそうで、それ以上は独自に研究を重ねた三代の成果になります。


チラシの裏には「家に伝わる釉薬・古九谷5彩のうち、ガラス成分のない赤をのぞいた紺、紫、緑、黄の4彩を組み合わせて数百もの色を作り出し」とあります。その色彩を独自に「耀彩(ようさい)」と名付けています。三代徳田八十吉の作品は、「煌めく色彩、輝くような光を放つ」とあるように、独自の色彩によるグラデーション表現にはたしかに目を見張るものがあります。それに加えて、作品が壺にしろ皿にしろ、大きいことがあります。その2つによる相乗効果が作品の大きな特徴になっています。初めてみる者は度肝を抜かれます。


しかし、そのカラフルな作品を何度か観るうちに、やはり単調な印象であることは否めません。いわばカラー・プラスチックの器をみるような感じがしてしまいます。江戸時代初期の「古九谷」、後期の「吉田屋」、あるいは「初代」、二代八十吉の作品を観ると、何度観ても飽きない、歴史の重みからにじみ出てくる独特の表現されたものを感じます。「三代八十吉選」として、展示会場に同列に並べられていたので、残念ながらそれがますます際だって見えました。「彩釉磁器」の焼成に成功したことは、素晴らしいことで、海外では評価が高いようですが、やはり「古九谷」からの伝統は、作品としては途切れているように思いました。










追悼人間国宝三代徳田八十吉展~煌めく色彩の世界~

伝統ある九谷焼に新しい表現を確立した重要無形文化財「彩釉磁器」保持者(人間国宝)、三代徳田八十吉(1933-2009)の没後初となる大回顧展です。三代徳田八十吉は、石川県小松市の九谷焼窯元に生まれ、「九谷焼上絵付」で国の無形文化財に指定された祖父・初代八十吉から古九谷釉薬を、父・二代八十吉からは富本憲吉直伝の現代陶芸を学びました。伝統的な九谷焼の色絵技法に飽きたらず、三代八十吉は研究を重ねて、新たな作品の創作を試みます。35歳で独立してからは、家に伝わる釉薬・古九谷5彩のうち、ガラス成分のない赤をのぞいた紺、紫、緑、黄の4彩を組み合わせて数百もの色を作り出し、独自のグラデーション表現による彩釉磁器の焼成に成功しました。「耀彩(ようさい)」と呼ばれる色鮮やかで美しい作品は現代陶芸界から高く評価され、1971年、第18回日本伝統工芸展で初出品作の「彩釉鉢」がNHK会長賞を受賞。1997年に人間国宝に認定されました。本展では、三代八十吉の代表作品と、修業時代に古典を模写した珍しい作品など約70点を展示します。また、江戸時代初期の古九谷10点と後期の吉田屋3点に初代、二代八十吉の作品も併せて紹介し、古九谷釉薬の色の系譜をたどります。煌めく色彩、そして輝くような光を放つ、三代八十吉の華やかな色絵の世界をご堪能ください。


「そごう美術館」ホームページ