キム・ギドク監督の「コースト・ガード」を観た! | とんとん・にっき

キム・ギドク監督の「コースト・ガード」を観た!


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キム・ギドク監督の「コースト・ガード」を観てきました。渋谷のシネマヴェーラ渋谷で開催されている「キム・ギドクとゆかいな仲間たち―韓国映画傑作選―」のプログラムを「鰐(ワニ)」を観た後に見直してみると、まだ観ていない「コースト・ガード」も上映されていることを知り、さっそく観に行ってきました。キム・ギドク監督のデビュー作「鰐(ワニ)」に引き続き、2本目になります。従ってキム・ギドク監督作品でまだ見ていないものは、残すは「魚と寝る女」(2000)1本のみとなりました。昨日もTUTAYAへ行ったのですが、あるのはビデオテープのものだけ、僕はビデオデッキを持っていないので、残念ながら観られません。なんとか観たいのですが。

CINEMA TOPICS ONLINEの解説によると、以下のようにあります。
南北軍事境界線に近い海岸を警備中、民間人を北のスパイと誤認して射殺してしまうことから始まる、ある兵士の悲しみを緊迫感と狂気に満ちたタッチで描いた心理サスペンス。「ロスト・メモリーズ」の次回作として、チャン・ドンゴンが選択したのは低予算ながらも海外映画祭では高い評価を得てきたキム・ギドク監督作品。独特な映像感覚で“韓国映画界の異端児”と言われてきたキム監督の作品に俳優としてトップスターの地位を確立したチャン・ドンゴンが自ら出演を志願し、破格の安いギャラで出演し大きな話題を呼んだ。本作はキム監督自身が5年間海兵隊で過ごした経験をもとに、朝鮮半島の現在を生きる人々の現実と葛藤を生々しく描いた作品である。キム監督は本作のインタビューで「チャン・ドンゴンはスターとは思えないほど、謙虚で知れば知るほど素晴らしい人物」と賞賛の声を惜しまなかった。撮影は全羅北道扶安郡ウェドの海岸で行われた。

キム・ギドクらしからぬ作品、だと言われていますが、「コースト・ガード」、さてどんな作品なのか? 徴兵され海兵隊員として軍事境界線に近い海岸に服務するカン上等兵(チャン・ドンゴン)。ある夜、海岸線の深い闇の中に人影を発見し射殺します。夜7時を過ぎて海岸にいる不審人物は北の工作員とみなして射殺することという決まりに従ったのでした。がしかし、殺された男は、酒に酔って禁止区域に入り込み、野外セックスを楽しむ民間人でした。カン上等兵は、殺した男がたとえ民間人であっても、任務の忠実だったということで、表彰され、特別休暇を貰います。殺された男の恋人ミア(パク・チア)は、鉄柵周辺にいる海兵隊員をみな死んだ恋人だと錯覚し、見境なくセックスしてしまいます。カン上等兵も、周囲の住民や殺した男の家族から非難され、殺された男の恋人ミアの狂った姿を見て、罪の意識に苛まれ、精神が病み、常軌を逸した行動をとるようになります。

結局「精神異常」と判定され、海兵隊を早期除隊させられます。しかし、カン上等兵はどこにも行く場所はありません。自分をまだ上等兵だと思い、部隊の周りをうろつき始めます。一方、ミアは誰の子か分からない子どもを妊娠してしまいます。それを知ったミアの兄は、怒って軍へ乗り込みます。軍の上官は海兵隊員にミアの相手は誰かと尋ねますが、誰も名乗り出ません。しかし狂っているはずのミアは、身体の関係を持った海兵隊員を残らず覚えていて、1人1人指さします。ミアは軍により強制的に堕胎させられます。部隊に戻ることが叶わないカン上等兵は、怒りの矛先を海兵隊に向け、銃撃戦が始まります。結局、仲間の海兵隊員たちの銃撃により、カン上等兵は亡くなります。笑いながら海に消えてゆくミア・・・。晴れ渡る青い空・・・。隊員たちは有刺鉄線に囲まれた中で、バレーボールを楽しんでいます。コートには分断された朝鮮半島が浮かび上がります。

ときあたかも、新聞には次のような記事が・・・。
北朝鮮南西部の黄海南道に駐屯する北朝鮮軍が、11月23日午後2時半過ぎから、韓国の大延坪島やその周辺海域を断続的に砲撃した、と11月24日の朝日新聞朝刊は伝えています。数十発の砲弾が撃ち込まれ、韓国軍に死者2人、重軽傷者16人の被害が出たほか、民間人が少なくても3人負傷しました。韓国軍も応戦措置として対岸の北朝鮮軍陣地に砲撃80発を加えた。1953年に朝鮮戦争が休戦した後、北朝鮮軍が韓国領土の陸地を直接砲撃したのは、今回が初めてだという。大延坪島は、会場の軍事境界線に相当する北方限界線(NLL)を挟み、北朝鮮から南に10数キロの位置にあります。(朝日新聞:2010年11月24日朝刊による)

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下に、キム・ギドクの全作品を載せておきます。

「鰐」(1996)
「ワイルド・アニマル」(1997)
「悪い女~青い門~」(1998)
「リアル・フィクション」(2000)
「魚と寝る女」(2000)
「受取人不明」(2001)
「悪い男」(2001)
「コースト・ガード」(2002)
「春夏秋冬そして春」(2003)
「サマリア」(2004)
「うつせみ」(2004)
「弓」(2005)
「絶対の愛」(2006)
「ブレス」(2007)
「悲夢」(2009)



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