ヒルサイドテラスで槇文彦展「光、素材、情景」を観た! | とんとん・にっき

ヒルサイドテラスで槇文彦展「光、素材、情景」を観た!

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代官山ヒルサイドテラスで、槇文彦展「光、素材、情景 Light, Materiality & Scenery 」を観てきました。槙文彦の名前はご存じなくても、青山スパイラルビルや幕張メッセ、東京都体育館の設計者と言えば、よく知られた建築ばかりなので、「ああ、あの建築の設計者か!」ということになるでしょう。槙文彦ほど建築家として恵まれた人はほかにいません。なにしろ竹中工務店の竹中藤右衛門のお孫さん。スタートからして凡人とは違います。東京大学からハーヴァードのホセ・ルイス・セルトの元で学びます。チャールズ川の向こうにセルトの設計したハーヴァード大学既婚学生寮が見えます。その後、ワシントン大学とハーヴァード大学でアーバンデザインを講じます。また1979年から1985年までは東京大学教授を務めます。


事務所を始める前の1962年に、「名古屋大学豊田講堂」で日本建築学会賞作品賞を受賞。引き続き「千葉大学医学部講堂」も設計しました。1965年に事務所を設立、すぐに「代官山集合住宅」と「立正大学熊谷校舎」で建築界の話題をさらいます。ともにアーバンデザインの概念を建築の中に取り入れたものでした。「立正大学熊谷校舎」は団体の見学会に参加してバスで観に行った記憶があります。「トヨタ鞍が池記念館」は、わざわざ豊田まで観に行き、なんとか頼み込んで中を見学した思い出があります。「三菱銀行広尾支店」もいい建築でした。1984年には「藤沢市秋葉台文化体育館」で再び日本建築学会賞作品賞を受賞します。「秋葉台体育館」の「兜」をイメージしてつくられたステンレス鋼板の屋根の形には驚かされました。


「代官山ヒルサイドテラス」と「青山スパイラル」は、僕は日常的に利用しています。つまり、出来た時から行っています。ヒルサイドテラスの「トムズサンドイッチ」には子供が小さい頃はよく行きました。今はありませんが、「タンタン」のお店があり、「タンタンの冒険」の20数冊ある本はそこで全部そろえました。ヒルサイドテラスF棟の「ヒルサイドフォーラム」では、建築やデザイン系の展覧会がよく行われています。また「青山スパイラル」でもアートやデザイン系の展覧会が行われていて、よく立ち寄ります。


今回の槇文彦展「光、素材、情景 Light, Materiality & Scenery 」、海外の完成した作品ばかり5点が出品されています。ワシントン大学(セントルイス)サムフォックス視聴芸術学部、カナダオタワのイスマイリ・イママット記念館(2008)、ノバルティスのバーゼル事務所(2009)、ペンシルベニア大学アネンバーグ・パブリック・ポリシー・センター(2008)、MIT新メディア研究所(2008)です。他に、たぶん台北駅地区再開発(2012)だと思うのですが、タワー状の高層住宅が、会場の入口正面に象徴的に展示してありました。。


「構想段階のスケッチ」、「実施した建築図面」、「スタディおよび完成模型」、「完成した建築の写真」と、まさに正統的な建築の展覧会です。もちろん槙文彦のデザインは、正統的な「モダニズムのデザイン」です。「洗練された建築デザイン」、と言った方がいいでしょう。槇事務所は現在、ヒルサイドウエストにあるという。


4年ほど前に、「グランドゼロのフリーダム・タワーの建設が開始されたが、さらに建設される予定のタワー3にリチャード・ロジャーズ、タワー4に槙文彦が建築家として指名を受けた。2007年に工事を開始し、20011年完成予定」というニュースがありました。今回の展示では触れられていませんが、たぶん「世界貿易センター(WTC)跡地再開発計画タワー4(2012)」が槙文彦の代表作となるのではないかと思われます。


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近年、槇総合計画事務所の設計活動は、日本国内にとどまらず世界各地に拡大しつつあり、特に2009~10年には、複数のプロジェクトの完成が見込まれている。その中で北米、スイスで最近完成した5つの海外のプロジェクトを中心に、光、素材、情景をテーマとして紹介する。初期のコンセプトの展開、実施設計における、特にディテールに対する配慮、完成した建物の臨場感のある空間の描写、そしてその空間がどのように利用され、そこにどのような情景が展開しつつあるかを、包括的に報告する。(チラシの裏より)


槇 文彦 プロフィール
1928年東京都生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。クランブルック・アカデミー・オブ・アーツおよびハーヴァード大学修士課程修了。その後ワシントン大学、ハーヴァード大学、東京大学で教鞭をとる。1965年に槇総合計画事務所設立、現在に至る。計画着手から完成まで30年の歳月をかけて建てられた代官山集合住居計画(ヒルサイドテラス)は、類い稀なるまちづくりとして世界に名高い。主な作品に名古屋大学豊田講堂、ヒルサイドテラス、スパイラル、幕張メッセ、東京体育館等。レイノルズ賞、プリツカー賞、プリンスオブウェールズ都市デザイン賞、高松宮殿下記念世界文化賞、日本建築学会大賞等受賞。昨年MIT PRESSより都市・建築のエッセイ集『Nurturing Dreams』が出版される。


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