水野美術館で「水野コレクション 錦の季節」展を観た! | とんとん・にっき

水野美術館で「水野コレクション 錦の季節」展を観た!

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長野市にある水野美術館で「水野コレクション 錦の季節」展を観てきました。水野美術館のことを知ったのは、明治神宮で開催されていた「菱田春草展」でした。水野美術館は、実業家・水野正幸が蒐集した絵画をもとに、平成14年(2002)7月に開館した日本画専門の美術館です。


「水野コレクションは、東京美術学校を開校したフェノロサと岡倉天心に共鳴した当時の大御所・橋本雅邦や、そのもとで育った横山大観・下山観山・菱田春草ら近代日本画を形成した巨匠たちの作品を、系統立てて集めており、ヤク400点を収蔵しています。その他、杉山寧・奥田元宋・加山又造・高山辰雄など戦後に活躍した作家たちや、上村松園・鏑木清方・伊東深水ら美人画も充実しており、幅広い魅力を持った日本画の世界を堪能することが出来ます」と、チラシの「美術館のご紹介」にあります。


まず3階の第1展示室、会場の自動扉を入ると、奥田元宋の「秋渓淙々」がドーンとお出迎え、縦180cm横400cmと、日本画では屏風をべつにすれば、まずメッタに見られない大きさです。なおかつ真っ赤な紅葉と音を立てて流れる渓流がなにしろ圧巻です。この部屋、第1展示室は畳敷きのいわば前室のようなものですが、比較的新しいこの作品1点だけが展示してありました。強烈なインパクトでした。



続いて、第2展示室には「美術館のご紹介」にある通り、橋本雅邦に始まり、河合玉堂、菱田春草、横山大観、下村観山、西郷孤月、堅山南風、山本丘人、児玉希望、菊池契月、池上秀畝らの作品が並びます。言うなれば日本画の巨匠たちの作品が、次々と並んでいます。日本画を形成した巨匠たち、橋本雅邦、横山大観、下村観山、そして菱田春草と、続けて観られたのはラッキーでした。どれをとっても甲乙つけがたく、なんて偉そうに言ってますが、素晴らしい日本画の代表にような作品の中で、あの横山大観の「鼬」は、なんとも形容がしがたく、可愛い鼬が描かれていました。


2階の第3展示室には、上記の画家たちの他に、比較的若いグループ、柳沢正人、橋本明治、山口蓬春、大山忠作、岩橋英遠、加倉井和夫、加山又造、等々の作品が並んでいます。美術館も新しくてきれいでしたが、出ている作品も比較的新しいこともあり、きれいな作品が多いように感じられました。ひとつだけ、加山又造の「白い太陽」という作品、ほとんど白黒だけで抽象画のように描かれており、他の作品と異なり、一際目立った存在でした。今回の展示は「錦の季節」という「秋」がらみのテーマでまとめられていましたが、水野美術館の一方の柱、松園・清方・深水らの「美人画」も別の機会に観てみたいと思いました。

















「水野コレクション 錦の季節」展:水野美術館ホームページより
澄んだ青空と紅や黄に彩られた木々との美しいコントラストは、まさに秋ならではの情景です。古来より私たち日本人は、この情景を愛で、やがて霜が降り木々の葉が散りゆく初冬の様にも「もののあはれ」を感じてきました。秋が織りなす情景は、今日に至るまで私たちはもちろん多くの画家たちを様々に魅了し続けています。例えば、近代日本画の巨匠・川合玉堂は、葉が落ちた冬枯れの木々を見て「葉は枯れ落ちたのではない 訪れる春に向けて萌えいづる芽が押し出したのだ」と、その奥に秘められた命を見いだし好んで描きました。今回は、当館コレクションより、秋から初冬にかけての情景や、この季節から自由にイマジネーションを広げて描かれた作品を紹介します。季節のうつろいに呼応する画家たちの多彩な感性や彩りへの美意識を、錦秋織りなす当館の日本庭園とともにお楽しみ下さい。

「水野美術館」ホームページ


とんとん・にっき-mizu2 「 水野美術館名品集」とんとん・にっき-mizu1

図録
平成14年7月初版発行

平成17年1月改訂版発行

編集・発行:財団法人水野美術館














次回開催

「水野コレクション 寿の美」

平成22年1月1日(祝)~2月28日(日)