日本橋高島屋で「日本の美と出会う―淋派・若冲・数寄の心―」展を観た! | とんとん・にっき

日本橋高島屋で「日本の美と出会う―淋派・若冲・数寄の心―」展を観た!

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日本橋高島屋、前回、「追悼103歳 天に献げる地上の花 片岡球子展」を観た時に、今回の「日本美と出会う―淋派・若冲・数寄の心―」のチラシを貰っているので、心待ちにしていました。そんなわけで行ったのは初日、しかも6時過ぎに行けば入場料が半額という、それを狙って時間を調整して行ってきました。なにしろ6時過ぎですから会場は空いていて、ゆっくりと観ることが出来ました。


細見美術館については、僕は初めて知りました。開館10周年だというから、比較的新しい美術館です。初代から三代にわたって、60年の間に蒐集した日本美術のコレクションです。京都にある細見美術館の写真を会場で見て、この建物は知っていました。何度かホームページで調べていて、京都へ行ったらいってみようとは思っていましたが、それが細見美術館だったとは!印象的な色彩と形態の美術館、建築は大江匡の設計、茶室は中村外二棟梁の手になるそうです。



今回の「日本美と出会う」展、前半はやや盛り上がりに欠けましたが、中盤から後半に掛けて俄然盛り上がり、僕にとっては満足のいく展覧会でした。どれもこれも名品揃いでした。酒井抱一の作品は、安定した魅力があります。なかでも伊藤若冲にはどれもこれもが圧倒されました。ここには挙げていませんが、共に六曲一双の「花鳥図押絵貼屏風」と「鶏図押絵貼屏風」、近くで観ても遠くで観ても、それは素晴らしい。鶏がいまにも動き出しそうです。水墨であれだけ生き生きと描くのは、若冲の他はいないでしょう。と思って観ていたら、「鶏図押絵貼屏風」の方は「伝 伊藤若冲」とあります。僕ら素人の目にはほとんど区別が付きません。よくよく観れば「花鳥図押絵貼屏風」の方がやや力強い感じがしますが。


「対決・巨匠たちの日本美術」展で観た若冲の細密な色彩のある作品、「仙人掌群鶏図襖」や「旭日鳳凰図」、「雪中遊禽図」とはまた違った趣の作品でした。「踏歌図」は足を踏みならしながら歌い踊る人々を描いています。府中の「山水に遊ぶ」展で観た「石嶺寺図」の境内に集う石像群?を思い出しました。「鶏図」はもちろん、それ以外にも、「虻に双鶏図」や「鼠婚礼図」はほのぼのとして素晴らしい小品です。


俵屋宗達や尾形光琳、尾形乾山など有名どころもあり、酒井抱一や鈴木其一、丸山応挙もあり、それぞれ楽しめましたが、結局シメは葛飾北斎、「夜鷹図」と「五美人図」が出ていましたが、北斎はなにをやらせても上手い、と僕が言うことではありませんが、いや、あの北斎の研究家・辻惟雄先生もそうおっしゃっていますが、見事なものです。また、ここでは挙げていませんが、最後のコーナー、「数寄の美とかざり」では、細見古香庵の厳しい鑑識眼をくぐり抜けた茶道具の数々も出品されていました。特に「芦屋亀甲繫文真形釜」と「芦屋松藤図真形釜」の文様は見事なものでした。細見美術館、京都に行った時はぜひとも立ち寄ってみたい美術館の一つです。



淋派の花づくし

典雅なる京淋派

江戸淋派の洗練








若沖・北斎と江戸絵画の世界

若沖と自然へのまなざし

京と江戸の遊楽

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「糸瓜群虫図」伊藤若冲       「踏歌図」伊藤若冲







数寄の美とかざり



日本美と出会う―淋派・若沖・数寄の心―

千年の都・京都で多彩な美を発信し続ける細身美術館。昭和の実業家 細見良(初代古香庵)に始まる細見家三大が60年余りを費やして蒐集した日本美術の名品から、珠玉の淋派・若沖と江戸絵画の代表作、そして遊び心と美意識が感じられる細見古香庵好みの数寄スタイルを、約90点でご紹介します。コレクターが出会った日本の美の数々。多彩なコレクションから人気の高いジャンルを精選した、宝石のような展覧会をどうぞお楽しみ下さい。(チラシ裏より)


「日本橋高島屋」


京都・細見美術館


とんとん・にっき-hosomi 「細見美術館開館10周年記念展

日本の美と出会う―淋派・若冲・数寄の心―」

図録

編集:細見美術館

制作・発行:毎日放送