長八美術館で「漆喰鏝絵」を観た!
今回の旅の路線を示しました。
「伊豆の長八美術館」
「伊豆の長八美術館」には二棟の展示室に、長八の代表的作品約60点が展示してあります。いただいたチラシを参考に、入江長八の経歴や漆喰について、以下に記しておきます。
入江長八は、文化12年(1815)伊豆国松崎村明地に、農家の長男として生まれました。生来の手先の器用さで腕を持って身を立てようと志し、12歳のとき松崎の左官棟梁のもとに弟子入りし、19歳のとき江戸へ出て絵を狩野派の喜多武清に学びました。かたわら彫塑の技を修めてこれを左官の業に応用し、漆喰を以て絵を描きあるいは彫塑して色彩を施し、長八独特の漆喰芸術を完成しました。
日本橋茅場町の不動堂再建にあたって当時26歳の長八は選ばれて表口御拝柱に一対の流を描き、一躍名人として名声を博しました。浅草観音堂、目黒祐天寺、成田不動尊など各地に名作を残し、鏝で伊豆長が日本一と全国に名を讃われました。しかし関東大震災において東京の遺作はほとんど焼失しました。「伊豆の長八美術館」に展示するものの他は、現在では三島の龍沢寺、松崎の浄感寺、春城院、岩科学校などに遺香をとどめるのみとなりました。
長八の漆喰鏝絵は、西洋のフレスコに優とも劣らない壁画技術として、高く評価されています。両者は共に漆喰の湿材上に図絵する技法で、フレスコは漆喰面と顔料溶液との化学的融合により堅古な画面を作り出すのに対して、長八は特殊な方法で下地を作り、色彩を自由に駆使する鏝画で、薄肉彫刻を併用する長所があります。
「伊豆の長八美術館」