武蔵野市立吉祥寺美術館で「原研哉デザイン展 本」を観た! | とんとん・にっき

武蔵野市立吉祥寺美術館で「原研哉デザイン展 本」を観た!

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いつも読んでいる本ですが、その本の装幀のデザインは、当然、誰かがデザインしているわけですが、普段はなかなか意識するものではありません。文庫本のカバーを変えたら馬鹿売れしたという話もあります。しかし、良いデザインもあれば、悪いデザインもあります。本の内容を表しているものもあれば、まったく無関係にデザインされたものもあります。組織でデザインしているものもあれば、個人の名が表面に出ているものもあります。手づくり感を前面に押し出しているものもあれば、無機質感を意識して出すものもあります。こうして考えると、単に本の装幀といってもなかなか難しいものです。


というわけで、武蔵野市立吉祥寺美術館で「原研哉デザイン展 本」を観てきました。ロビーの展示も会場内の展示も、さすがに良くデザインされていて、小さな美術館の小さな展覧会でしたが、気持ちのいい素晴らしいものでした。


無印良品のアートディレクションや松屋銀座リニューアルプロジェクト、愛知万博のプロモーションなどで知られるグラフィックデザイナー原研哉。2000年以降には展覧会の企画制作を手掛け、日用品のデザインを考え直す「RE DESIGN 日常の21世紀」や、人間の感覚の探求をテーマとした「HAPTIC 五感の覚醒」、日本の人口繊維の可能性を表現する「TOKYO FIBER 07 SENSEWARE」を世界各地で開催するなど、デザイナーの枠にとらわれない独自の活動によって注目を集めています。2004年には「デザインのデザイン」を上梓、デザインということばが横行する現代をスマートに分析し、デザインの原点を提示した同書によってサントリー学芸賞を受賞。さらに2008年には同氏のデザインを象徴する色でもある白についての考察を著した「白」が刊行され、話題を呼んでいます。本店では、わたしたちにとって最も身近なもののひとつである「本」のデザインをテーマに、これまでに手掛けた小説や作品集などの装幀を展示します。電子メディアの普及した今日、書籍とは、紙とは何か、推敲を重ねて生み出された「情報の彫刻」により、原研哉のデザイン哲学をご紹介します。(チラシより)


友人、原田宗典がモノ書きだったおかげで。

そもそも僕がグラフィックデザイナーになったきっかけは、古い友人、原田宗典が高校二年の頃から既に作家を目指していたことに遠因があるような気がする。文学青年であった僕らは、互いにすすめあう小説を、喫茶店で読んでは感心し、また読んでは放心しという幸福な読書を堪能していた。既にこの頃から原田は小説を書いており、手のひらに収まるような小さな原稿用紙に小さな文字で書かれた小説を、僕は読まされていた。自分も何か表現する芸術的な仕事をやらなければ、と、その頃にうっすらと決意を固めていたのかもしれない。やがて原田は早稲田に僕は武蔵美に進み、20代の半ばに作家としてデビューを果たした原田の本の装幀を任された。文学好きの僕らの理想的なコラボレーションに思われたが、何かもの足りない思いがあった。表現の端緒を自分自身のなかにもちたい。そう思ったのかもしれない。その頃にはじまったデザインを、今、ひもといてみる。(チラシより)





武蔵野市立吉祥寺美術館


日本デザインセンター原デザイン研究所