「建築家は住宅で何を考えているのか」を読んだ! | とんとん・にっき

「建築家は住宅で何を考えているのか」を読んだ!

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PHP新書のカラー版「建築家は住宅で何を考えているのか」定価:本体1400円(税別)という本を読みました。というか、一通りざっと斜め読みですけれども。カバーの内容紹介には「これからの住宅にとって鍵となる10のテーマに沿って、豊富なカラー写真と図面とともに41の作品を紹介。現代建築における住宅が果たす役割とあり方を考える」とあります。この本は「東京大学建築デザイン研究室」編とあります。見開きには下の写真と、著者3人のプロフィールが載っています。


難波和彦は、1947年大阪府生まれ、61歳。東京大学建築学科卒業、同大学院博士課程修了。一級建築士事務所界工作舎主宰。、大阪市立大学建築学科教授を経て、2003年9月より東京大学大学院建築学専攻教授となりました。「箱の家」の連作で知られています。ニューヨーク近代美術館で開催されている「HOME DELIVERY」展(プレファブ住宅の歴史展)に、日本からは黒川紀章の「中銀マンション」、石山修武の「幻庵」、岸和郎の「KIM HOUSE」などと共に、難波たちが開発した「MUJI-INFILL木の家」が取り上げられました。知る人ぞ知る映画「ブレードランナー」好きです。


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「現代の住宅を考える10のテーマ」は以下の通りです。01家族像とプランニング、02ライフスタイル、03集住/かたち、04街/風景、05工業化と商品化、06リノベーションの可能性、07エコロジカルな住宅、08素材/構法、09ちいさな家、10住み続ける家、です。テーマも、個別には今まで言われ続けてきたものばかりですが、こうして一堂に並べられると、なるほどと納得してしまいます。取り上げられた41の作品についても、僕はそのほとんどは知っていましたが、こうしてテーマごとに整理されると、取り上げられた作品も新鮮に見えました。


最後の10住み続ける家に取り上げられた東孝光の「塔の家」、安藤忠雄の「住吉の長屋」は今さらの感がしましたが、逆に言えば、その住宅が今でも多くの問題を提起している住宅だということでしょう。もうひとつ、街並みの生成として槇文彦の「ヒルサイドテラス」が取り上げられているのは、今に至ってもこれを越える作品がないというお寒い事情であるともいえます。たかが住宅と言うなかれ、この本は一般の読者に対しても、もちろん建築の専門家に対しても、多くの問題を提起している、時代を画する建築の本だと言えます。