神奈川県立近代美術館葉山で「マティスとボナール 地中海の光の中へ」を観る! | とんとん・にっき

神奈川県立近代美術館葉山で「マティスとボナール 地中海の光の中へ」を観る!


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正直に言ってマティスもボナールも、僕のなかではほとんど馴染みのない画家でした。しかし、観ておくのも悪くないと思っていました。「マティスとボナール」展、千葉の川村美術館で開催されていたことは知っていましたが、どうしても都合がつかなくて、観に行くことができませんでした。そのかわり、と言っては変ですが、神奈川県立近代美術館・葉山館で「マティスとボナール 地中海の光の中へ」を観てきました。葉山館は、「アルベルト&アネットジャコメッティ――矢内原伊作とともに」を観て以来2年ぶりでした。


美術館の案内には、「本展は、20世紀の巨匠と呼ばれ現代の美術にまで大きな影響を与えているふたりの画家、アンリ・マティス(1869-1954)とピエール・ボナール(1867-1947)を取り上げ、彼らの歩んだ軌跡と、色彩の輝きに溢れる絵画世界を紹介するものです」とあります。また、ボナールは「最後の印象派」、マティスは「最初の現代芸術家」と呼ばれている、とも言われています。今回の展覧会、マティスとボナールは生涯にわたる友情を築いた、ということを強調しています。南仏に制作の場を求めたとか、手紙での交流を示す展示はありました。


しかし、2人の作品を観た限り、作品の傾向はほとんど異なっており、美術史的な流れでも重なることは少なく、2人の友情が作品に与えた影響は特に指摘するようなことは見あたらないように思いました。過去にはマティスとルオーを結びつけた展覧会もありましたが、無理して結びつける必要はないと思います。いずれにせよ、観ないよりは観た方がいいに決まっています。マティスとボナール、総計約120展の作品は、見応えがありました。どちらかというと、僕はボナールの作品の方が好きなようです。マティスの晩年、切り紙を張り付けたような作品は、理解しがたいこともあります。


面白かったのは、マティス、ボナールそれぞれの制作風景を、ロバート・キャパやアンリ・カルティエ=ブレッソンらが撮影した写真は、時代を写していて貴重なものでした。また、写真が珍しかった時代、ボナールの撮影した写真は、画家の思考や内面が現れていて、興味深いものでした。いつもの如く、以下に僕が興味を持った作品の画像を載せておきます。2人の代表作であろう2作品は、意識して除外しました。それはボナールの「花咲くアーモンドの木」1946-47年と、マティスの「赤い室内、青いテーブルの上の静物」1947年です。


Ⅰ ボナール1867-1908 ジャポニズムのナビ アンティミスムと装飾






Ⅱ マティス 1869-1929 フォーヴの実験から成熟の時代へ


Ⅲ ボナール 1909-1924 地中海の光に導かれて


Ⅳ マティス 1930-1942 主題と変奏 新しい探求


Ⅴ ボナール 1925-1947 視神経の冒険



Ⅵ マティス 1943-1954 究極の開花へ

   マティス「仰向けに横たわる裸婦」1946年

   マティス「赤い室内、」青いテーブルの上の静物」1947年 

Ⅶ マティスとボナール 絵画への賛歌


神奈川県立近代美術館・葉山館