たばこと塩の博物館で「幕末の浮世絵と絵師たち」展を観る! | とんとん・にっき

たばこと塩の博物館で「幕末の浮世絵と絵師たち」展を観る!









たばこと塩の博物館の企画展「幕末の浮世絵と絵師たち」展を観てきました。たばこと塩の博物館には年に2~3回は行っているんですが、「江戸の出版仕掛け人part4」という、このシリーズで企画展が開かれていたことは知りませんでした。このpart4の「幕末の浮世絵と絵師たち」展のチラシがよくない。週刊誌の電車の中吊りのようで、しかもなんとなく暗い。まあ、対象の世相が暗いからなのか、たしかにコレラや麻疹が流行ったようで、その上、外国船が攻めてくるかもしれない時代です。でも、これが浮世絵展のチラシとはとても思えません。配布されている16ページほどの小冊子は、これは嬉しい、企画展の内容が丁寧によく書かれています。








幕末の江戸ということで、先日、千葉市美術館で観た「芳年・芳幾の錦絵新聞」と同じ時代です。共に、事件や災害に関連させた絵が多く描かれています。ちなみに今回の「幕末の浮世絵と絵師たち」展には、リストに上げられているものが(前期と後期の展示替えもありますが)117点、そのうち芳幾の作品が16点、芳年の作品が16点、出展されていました。幕末の絵師たちは、役者絵や美人画、風景画も多く残していますが、人々の好みに合わせるという、世相を反映させた作品も残しています。まさにニュース三面記事、「錦絵新聞」です。今回の展示では、幕末に活躍した絵師、芳幾、芳年の他に、貞秀、国周、二代目広重、三代目広重らの作品が紹介されています。絵師の名前が不明な作品もあります。そうそう、河鍋暁斎の風刺の効いた「狂斎百狂 どふけ百万編」という作品もありました。




「江戸の仕掛け人part4 幕末の浮世絵と絵師たち」の展覧会の構成は、始めに「幕末の浮世絵とパトロン」と題して、浮世絵出版と三谷家八代目当主長三郎の関係を解き明かします。当主長三郎は、は役者絵出版に出資したり、長三郎の注文により描かれたと考えられる図もあります。また、画帖類も多く残されており、色の指示や指示を書き込んだ付箋が添付された図もありました。こうしたことから、幕末のパトロンと絵師の関係をうかがうことができます。次ぎに「幕末の世相と浮世絵」と題して、「横浜の開港」「麻疹の流行」「生麦事件の影響」「将軍家茂の上洛」「攘夷運動」「物価の高騰」「戊辰戦争」などに分けて、それらの描かれた図を提示しています。最後に「幕末の浮世絵師たち」と題して、「三代目豊国、国芳、初代広重のあと」「三代目豊国の弟子、貞秀」「三代目豊国の弟子、国周」「国芳の弟子、芳幾」「国芳の弟子、芳年」そして「初代広重の弟子、二代目広重」「初代広重の弟子、三代目広重」など、弟子筋の系譜ごとに図を提示しています。




「江戸の出版仕掛け人」のシリーズ、過去のものも観たいと思い、1階のショップで探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。それにしても、いつもながら入館料が100円とはオドロキです。じっくり観て、十分堪能できた「幕末の浮世絵と絵師たち」展でした。









たばこと塩の博物館


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