「金子勝の仕事道!」を読んだ! | とんとん・にっき

「金子勝の仕事道!」を読んだ!


shigoto


通常ならこのような本は僕の場合、絶対に読まないと思う部類に属する本なんですが、ちょっと必要があって読んでみました。金子勝、慶応義塾大学経済学部教授という肩書きで、最近ちょくちょくテレビで見ることが多くなっています。人は見かけで判断してはいけないのですが、つるりとした顔立ち、やや禿げ上がりつつある頭髪で、はっきり言ってテレビ映りはよくありません。コメントは回りくどくて、話がすぐには理解できにくい言い回しです。慶応エリートの嫌みなヤツ、といった印象で、僕は勝手に思いこんでいました。


が、しかし、現体制にもの申す姿勢はそのコメントの端はしによく現れています。どんな経歴を辿ってきたのか?この本の初めに、「振り返って本音で考えてみたい」として、自分の父親を例にひき、生い立ちを含めて、彼自身の考え方などを赤裸々に記して、僕の疑問に答えるような形の文章が載っていました。


「本の内容」は、以下の通りです。
人を使い捨てる時代に、人はいかにして成長するのか―。かつて、人は職場によって、仕事によって成長していったものだった。しかし、格差社会といわれて久しい現在の社会に、そんな余裕は、ない。けれども人は、それでも仕事の場において、何かを求め、怒り、壁を壊そうとし、もがき苦しみ、何かを得、そして何者かになる。もがいた人たち、本音でぶつかって生きている人たちの群像から、著者が感じとったものとは?いま、現場で踏ん張る人びとへ贈る、著者からの応援歌。


まあ、簡単に言ってしまえば、読者は若者を対象にした、その道の成功者との対談本ですが、そこは反骨精神旺盛な金子勝、対談相手の選定はなかなか巧妙に組み合わされています。その辺は以下の「目次」を見ればよく分かります。


序 時代と生きる価値
1 振り返って本音で考えてみたい
2 職を極める(本間輝夫、林家正蔵、門倉有希)
3 人を支え、人と生きる(岡本敏子、色平哲郎)
4 内部告発者たち(天木直人、串岡弘昭、長村中)
5 道を切り拓く(市川次郎、林葉直子)
6 時代と向き合う知性(難波和彦、辻井喬)


将棋の林葉直子などあれっという人選もありますが、それぞれの対談の中から、人生についての様々な価値観が浮かび上がってきます。最後に「時代と向き合う知性」として、建築家で東大教授の難波和彦、そして作家で元西武セゾングループを率いていた辻井喬との対談が、この対談本の総まとめといった感があります。元もと「週刊金曜日」の連載された対談を元に作られた本だそうですが、なぜ「岩波書店」から出版されているのかわかりません。偉そうに言いたくはありませんが、若い人にぜひ読んでもらいたい一冊です。